美容師アシスタント1年デビューと3年デビューはどう違う?
美容師アシスタントとして勤める職場を探す際に、美容室によって「3年デビュー」や「1年デビュー」など、スタイリストデビューできる目安期間が大きく異なることに疑問を抱いた方は少なくないでしょう。
一体どうしてそんなに期間が違うのでしょうか?このページでは、その仕組みと違いを詳しく解説します。
これから美容室に就職予定の美容学校の学生のあなた、最後まで読めばご自分に合う美容室はどちらなのか分かります!
よくある3年デビュー美容室の勤務内容
スタイリストデビューまでの目安期間が3年の美容室の場合、アシスタントの方の日中の勤務内容は、基本的にスタイリストの補助業務がメイン。シャンプーや、ドライ等です。
また、受付でお客様のお出迎えや電話対応するレセプション業務もアシスタントの大事なお仕事ですね。
営業時間が終了し、お客様がお帰りになったら、技術レッスンがスタートします。
このようなサロンの給与欄を見ると「みなし残業代15時間分含む」や「固定残業代20時間分含む」というように、残業して練習をすることがはじめから想定された記載があります。
「練習=勤務時間外」というお店に注意!
古い考え方のお店ですと、未だに「練習=勤務時間外」むしろ「スタイリストに練習を見てもらっているだけありがたく思いなさい!」という美容室があります。
そのような場合は、営業時間後の技術レッスンは給与が発生しません。
私が若い頃の美容室業界では、このような考え方が一般的でした。アシスタント時代は、8時間の労働が終わったらまず店長に「タイムカードきってね。その後練習するよ。」と言われたものです。
スタイリストは掛持ち施術が基本
3年デビュー美容室のスタイリストの働き方は、お客様を複数名同時施術する掛持ちスタイルが基本です。
スタイリストは、お客様のカウンセリングとカット、薬剤選定等がメインで、シャンプーやドライ、マッサージ等は全てアシスタントにお願いするスタイル。
アシスタントの補助業務ありきで予約が組まれていますので、よほどお客様の予約が少なくお店が暇ではない限り、営業時間中にアシスタントが練習することはできない仕組みなのです。
デビューしたのにアシスタント業務ばかり!?
繰り返しになりますが、3年デビュー美容室はアシスタントの補助業務有りきで成り立っています。
その為、後輩アシスタントが入社しないと、あなたがスタイリストデビューできた後もシャンプーマンをしなければならず、スタイリストとしてお客様をなかなか担当できないというケースがあります。
このような事態を防ぐには、常に新卒採用に力を入れている美容室企業を選ぶ必要がありますね。
よくある1年デビュー美容室の勤務内容
「1年デビュー」を謳う美容室の場合、アシスタントの方は営業時間中もずっと技術レッスンと練習を行います。
勤務時間(基本は8時間)が終わったら、お店が営業中でも自分の身の回りの片づけをして帰るというスタイルが基本。
3年デビュー美容室と比べて、毎日の技術レッスン&練習時間は圧倒的に長いのがお分かりいただけると思います。だから1年という短期間でデビューが可能なんですね。
スタイリストはマンツーマン施術が基本
こういった美容室は、スタイリスト1人に対しお客様1人のマンツーマン施術をしており、アシスタントの補助業務があることを想定していません。だからこそアシスタントの方は、営業時間中に練習ができるというわけです。
スタイリストの補助業務は、あくまでも「アシスタントが現場に慣れる為にやってもらう。」という考え方です。
サロン内の場合とアカデミー併設の場合がある
同じ「1年デビュー」のお店でも、サロン内の一角でレッスンが行われる場合と、その美容室が併設するアカデミーでレッスンが行われる場合があります。
レッスンに集中して、専門学校の延長のようにアシスタント時代を過ごしたいならアカデミーが良いでしょう。
一方で、レッスンしながら間近でスタイリストの技術や接客の仕方を見て学びたいなら、サロンに出勤して一角でレッスンを受けるスタイルがおすすめ。
営業時間中に練習できないのに「1年デビュー」を打ち出している美容室は要注意!
まれに、営業時間中はあくまでもアシスタント業務で練習は営業時間外という仕組みなのにもかかわらず、「1年デビュー」を打ち出している美容室があります。
その場合、営業時間後の夜20時~23時まで練習をして、さらに営業時間前の朝8時~10時まで練習を要請されたりするケースも…。
そういう働き方を続けると、美容師に憧れてアシスタントになったものの、スタイリストデビュー前に疲労で心が折れてしまうなんてことになりがちです。
募集要項には良いことばかりが書かれてありますが、面接を希望する前に詳細をしっかり確認して、自分に合う美容室を選んで下さいね!
3年デビュー美容室に向いているのはこんな方
社会人経験を3年以上してから、スタイリストデビューしたい方
美容学生さんの多くが21歳の年に入社するでしょう。1年デビューだと22歳の年にはスタイリストとしてお客様の施術を担当することになります。
22歳という若い年齢でスタイリストとしてお客様に向き合うことに抵抗がある方や、卒業後3年はしっかりと社会人経験を積んでからスタイリストになりたいという方は、3年デビューの美容室に勤める方が良いでしょう。
デビュー後はシャンプーやドライヤーなどはアシスタントにやってもらいたい
先に記載した通り、3年デビュー美容室のほとんどは、スタイリストはお客様を複数人同時に施術する「掛持ちスタイル」。スタイリストはカウンセリングとカット、薬剤配合決めのみで、シャンプーやドライなどはすべてアシスタントに任せるのが一般的です。
そのような働き方は、多くの場合1年デビュー美容室では叶いませんので、3年デビュー美容室に勤めるべきでしょう。
スタイリストになった後、「正社員」として美容室に勤務したい方
1年デビュー美容室も3年デビュー美容室も、アシスタント時代は「正社員」雇用です。
しかし、スタイリストデビュー後も「正社員」として雇用してもらえるのは、基本は3年デビュー美容室。1年デビュー美容室の多くは、スタイリストデビューと同時に「業務委託」契約に切り替えとなります。
もちろん例外もあり、1年デビューの美容室で、スタイリストになった後も正社員雇用してもらえるお店もあります。逆もしかりです。
いずれにせよ、「正社員」で働き続けたい方はその美容室のアシスタントの待遇だけでなく、スタイリストの待遇をしっかり確認しておきましょう。
1年デビュー美容室に向いているのはこんな方
効率良く練習して、なるべく早くスタイリストデビューしたい方
なるべく早くスタイリストデビューしたいなら、まず間違いなく1年デビューを打ち出している美容室を選ぶべきでしょう。
先にお伝えした通り、1年デビューできる理由は、カリキュラムや練習時間を短縮するからではなく、勤務時間のほとんどをレッスンと練習に充てられるからです。
ただし、1年デビューと打ち出していても、技術試験に受からなければデビューはできません。あなた次第で、1年未満でできる場合も、1年半かかる場合もあることは、心にとめておきましょう。
私はアシスタント時代、3年デビューが基本の美容室に勤めていましたが、先輩アシスタントでアシスタント10年目の先輩がいらっしゃいました…。
収入を早く増やしたい方
現在、美容師アシスタントの月収の相場は首都圏だと20万円前後。そこから食費やスマートフォン代金、洋服代、練習に使うウィッグ代等を支払うことになります。
1人暮らしの場合は、さらに家賃に水道光熱費等がかかりますから、物価高の今、なかなか“余裕のある生活”ができるとは言えないでしょう。
給与を増やしたいなら、まずはスタイリストデビューすることが必須。その上で指名顧客がついてくれば、収入が上がっていきます。
なるべく残業をしたくない方
1年デビュー美容室では多くの場合、アシスタントは練習をすることが仕事。お客様への施術はアシスタントの労働力に頼っていません。そのため、アシスタントは勤務時間の練習を終えたら残業せずに帰るのが基本です。
営業時間中はアシスタント業務をこなして営業時間終了後に残業して練習するというのが嫌な方や、18時以降は友達と食事に出かけたり自分の趣味の時間を持ちたいという方は、1年デビュー美容室がおすすめです。
「みなし残業時間」に注意!
例外もあって、スタイリストデビュー目安期間が1年の美容室でも残業を毎日のようにさせるお店もあります。
募集要項の給与欄に「みなし残業代20時間を含む」「固定残業代20時間を含む」というような記載がある場合は、それ以上の残業が毎月あると思っておいた方が賢明です。
1年デビューを謳っているからと安心せずに、きちんと確認をしましょう。
ちなみに手前味噌ですが、私が運営している美容室Anphiでは、アシスタントの方の平均残業時間は前年実績で0時間です!もちろん、給与の21万円には「みなし残業代」は含まれていませんので、1時間でも残業したらその分残業代が発生します。
スタイリストになったら、マンツーマン施術をしたい方
スタイリストデビューした後、「掛持ち施術ではなく、お客様1人1人と向き合えるマンツーマン施術をしたい。」のなら、1年デビューサロンを選びましょう。
3年デビューサロンは、基本的にはアシスタントの補助業務有りきで予約を取るシステムですので、マンツーマン施術はできないと考えた方が良いです。
今回は、3年デビュー美容室と1年デビュー美容室の働き方や仕組みの違いについて解説しましたが、あなたはどちらを選ぶか決められましたか?
「新卒」は人生で一度きり。入社後に「失敗した~。」と思わないように、事前の下調べをしっかりとして職場選びをしてくださいね。みなさんの美容師人生が輝かしいものになることを祈っています!