【美容師転職】よくある失敗例&成功への7つの法則

更新日:2024/03/21
美容室社長中村英二

「美容師は離職率が高い」と言われています。実際、厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果」では、美容師の属する「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は22.3%で、これは全産業のワースト2位。5人に1人以上が離職しているのです。

そして転職している美容師さんからよく聞くのが「勤めた美容室が思っていたのと違った…」というお話し。

そうならない為に、このページでは美容師の転職でよくある失敗談をもとに、そうならないためにどうしたら良いのか、転職で成功するための7つの法則をお伝えします。

ページの最後に、転職成功へのワークシートもpdfで用意しましたので、よければコンビニでプリントして、実際に記入してみて下さい。書き出すことで頭の中が整理されますよ!

美容師の転職でよくある失敗例

美容室から美容室へ転職した方で、「失敗した」と思った経験がある美容師さんに、その理由を聞いてみました。

今転職を検討しているあなたなら、1つくらい当てはまる項目があるのではないでしょうか?これらの失敗例は多くの場合、次の7つの法則を用いれば避けることが可能ですよ。

成功するための7つの法則

日本にはコンビニの数より多く美容室があります。ですので、探し方さえ間違わなければあなたに合う美容室は見つかるはずです!

それではいよいよ、美容師さんが転職で成功するための7つの法則を1つづつ解説していきます。

1,自己分析をし、職場選びで重視するポイントを明確にする

まず転職活動を始める前にみなさんに必ず行って欲しいのが「自己分析」。自分はどういう人間で、何が得意で何が苦手なのか、今後どういう働き方・生き方をしたいのかを明確にする作業です。

これがブレていると美容室選びで悩んでしまうでしょうし、選んだ後に「失敗した」となるリスクが高いので、面倒くさがらずにしっかり取り組んでみて下さい!

過去を振り返り、自分の得意なことや苦手なことを確認する

自己分析では、今までの人生で「努力し、成し遂げたこと」「失敗したこと・挫折した経験」を思い出して、ワークシートに書いてみましょう。社会人になってからの出来事はもちろん、学生時代のことも、思いつく限り書き出してみて下さい

それらのエピソードから、あなたの得意なことや苦手なことが見えてくるはずですので、それも書きましょう。

例えば、今の職場で売上がトップなら、あなたは美容師としての技術はもちろん、カウンセリング力やコミュニケーション能力に長けていると考えられます。まさに、美容師が転職のタイプでしょう。

もしくは、学生時代学級委員や部活の部長を任されたり、アルバイトリーダーを任された経験があるのなら、あなたはリーダーとして人をまとめる力があると認められていることがわかります。今はごくごく普通のスタイリストでも、店長になればよりあなたの能力が発揮できるかもしれません。

なぜ今転職したいのか?

続いて、「なぜ、今転職したいのか」を書き出してみて下さい。「思ったより稼げないから?」「思ったよりハードワークだから?」「人間関係がうまくいかないから?」等々、正直に思っていることを全て書きましょう。

そうすることによって、あなたが働く上で何を重視したいのか、次の転職先の美容室に何を求めるのかが明確になります。

理想の将来像

自己分析で分かったあなたの長所や短所、得意なことや苦手なことを踏まえた上で、今後どういう働き方・生き方をしたいのかを考えましょう。

ワークシートでは、転職後どうなりたいかをイメージするために1年後と、少し先の3年後とで記入欄を分けました。さらに先の将来まで考えられているなら、ぜひそれも追記してください。

例えば「とにかく稼ぎたい」のか、「プライベート重視で自由な働き方をしたい」のか。月何日休みでどのくらい稼ぎたいのか、お子さんのお迎え等がある場合には時短で何時~何時まで働けるのかなど、数字も書くと目標が具体的になり良いですね。

「将来独立したい」のか、「会社で出世してマネジメント職につきたい」のか「スタイリストとして同じ職場で長く活躍したい」のかも大事なポイント。

「スタイリストとして同じ職場で長く活躍したい」のなら、例えば「健康で身体が動く限り、指名のお客様に囲まれて、毎日笑顔で楽しくサロンワークを続けたい」のように、あなたの理想の将来像を具体的に書きましょう。

その理想像、本当にあなたに合っている?

ここで注意していただきたいことが1つあります。それが、あなたが思い浮かべた理想の働き方・生き方が、あなたの性格・適正に合っているかということです。

というのも、美容師さんには「将来お店を持ちたい。」「何歳まで体がもつか分からないからハサミを置いてマネジメント側にいきたい。」という方が多くいらっしゃいますが、スタイリストとして仕事ができる人でも、マネジメント職には不向きな方というのが一定数いらっしゃるからです。

私の昔からの友人で、今美容室オーナーとして5年目になる人がいます。お店は現在きちんと黒字ですが、オーナーである彼が稼いでいるからこその黒字だそうです。

彼は採用やマネジメントに向き合うことに疲れてしまい、今お店の売却を検討しています。気楽なフリーランス美容師に戻りたいそうです。

彼が「経営の勉強が全く面白くなく、本を読んでみたけど頭に入ってこない。カットやカラーの教材の方がずっと面白い。」と言っていたのが印象的でした。

人には誰しも「向き不向き」があるものです。

あなたの理想の働き方・生き方は、自己分析で書いた自身の長所が活きる働き方・生き方でしょうか?次のステップに進む前に、今一度自問自答してみることをおすすめします。

2,求人情報の給与額をうのみにせずに、詳細を質問する

自分の理想の働き方・生き方が定まったら、それを叶えられそうな美容室を求人情報サイトで探しましょう。

ただ、求人情報サイトでは、残念ながら“事実より良く書く”という事が横行しています。特に、給与などの待遇面はうのみしないことをおすすめします。

例えば、求人情報に「高待遇!指名60%バック」のように書かれていても、実際はそこから材料費10%分引かれたり、「60%なのは長年勤めた人だけで、初めは40%スタートです」なんて話はあるあるです。

待遇面の正否はサロン見学で聞くのでも良いですが、求人サイトの問い合せフォームから事前に質問するのも良いと思います。

美容室業界は現在人手不足で、どのサロンもスタイリストを採用しようと躍起になっており、その為に一部のサロンでは、実際とは大きく離れた待遇や働き方を謳って人集めをしているケースがあるのです。

「うまい話には裏がある」とはよく言ったもの…。ですのであなたも、すごく良さそうに書いてあったとしても真に受けずに、ご自身でしっかり確認をすることをおすすめします。

正社員雇用と業務委託契約で迷ったら?

給与や待遇を大きく左右するのが、その雇用形態&契約形態。美容師の場合、正社員、パート、業務委託のいずれかが多いですね。

それぞれにメリット、デメリットがありますので、一概にどちらが良いとは言えません。

ですので今転職を検討しているなら、この機会に正社員やパート雇用している美容室も、業務委託契約の美容室もどちらも調べて、自分の理想の将来像を叶えられるのはどれなのかを検討することをおすすめします。

下記のページでは、正社員サロンと業務委託サロンの違いについてかなり詳しく解説していますので、良ければご覧になってみて下さいね。

3,入客以外でどんな業務内容があるか質問する

待遇面について質問をする際、入客以外で必須の業務は何かも聞いておきましょう。一スタイリストでもやる業務はお店によって違います。

よくあるスタイリストの必須業務例(給与内)は以下の通りです。

  • サロンワーク
  • 掃除
  • 月1回のミーティング
  • 口コミ返信
  • SNS投稿(ブログ投稿)
  • 月1回の勉強会
  • アシスタント指導
  • コンテストの参加
  • 撮影会の参加

上記のどこまでが、給与内でやらなければいけない必須業務なのか、確認しておきましょう。

お店によって、「全部給与内でやってください。」という美容室もあれば、「給与内の必須業務は、入客・掃除だけで、後は全て自由参加。参加してくれた方にプラスで報酬を払います。」という美容室もあります。

転職した後に「私はSNSとかすごく苦手なのに、1週間に1回は投稿しなくちゃいけなくてすごく苦痛…」なんてことにならないように、事前に質問しておきましょう!

4,ホットペッパーで、メニュー価格や予約状況をチェックする

求人情報に「高還元率」「業界最高水準のバック率」なんて書かれていて、実際にバック率が高かったとしても、そもそも入客できなければ意味がありませんよね?

「転職したのに全然入客できなくて稼げない!」とならないように、事前にホットペッパービューティーで予約枠の空き状況をチェックしてみましょう。

例えば、カット+カラーを選択して、当日や翌日にどのくらい空きがあるのかは簡単にチェックができます。この時、当日も次の土日も「◎」ばかりで予約できる状態だったら要注意、あなたが入店してもフリー客をまわしてもらえない可能性があります。

また、もし枠が埋まっていたとしても、長年運営しているお店だとしたら、昔からの常連さんが来てくれているだけで、フリーの新規のお客様はほとんどいらっしゃらない場合も…。そうすると、結局スタイリストで入店してもアシスタント業務ばかりで、「思っていたより稼げない!」ということになってしまうでしょう。

ですので、当日・翌日枠が埋まっているお店でも「新規フリーはどのくらいくるのか?」「毎日どのくらいお客様を断っているのか?」を事前に聞いておくことが、「入店後に思っていたより入客できない!」という事態を防ぐ為には必要です。

メニュー価格から平均客単価を算出してみよう!

この時、メニュー価格もホットペッパービューティーでしっかり確認しておき、平均客単価がどのくらいかご自身で計算してみてください。

求人情報には「平均単価10,000円の高単価!」なんて記載されていても、実際のメニュー価格で計算してみたらどう考えても10,000円はありえないだろうなというお店が多々ありますよ。

5,必ず複数へサロン見学に行き、お店の雰囲気や客層をチェックする

下調べをして、ある程度希望の美容室をしぼったら、いよいよサロン見学へ行きましょう。

この時、1サロンだけではなく、複数サロンを見学することをおすすめします。同時期に複数のサロンを見比べることで気づくことがありますよ。

サロン見学時には、先にお話しした給与などの待遇面の確認や、サロンワーク以外の業務内容について確認するのはもちろん、お店の雰囲気や客層をチェックしましょう。

サロン見学は平日がおすすめ!

土日の美容室は混んでいて当たり前。ですので、あなたが「土日だけ働きたい。」という場合をのぞいて、サロン見学は平日に行くことをおすすめします。

平日に行ってみて、お店がどのくらい混んでいるのか、お客様の客層はどうかをチェックしましょう。あなたの得意な性別・年代のお客様が多そうなら、転職後もすぐに指名顧客が付けられますよね。

スタッフはいきいきと働いているか、入客方法はどうかなども観察してみましょう。

6,美容室の出店予定があるか、今後の会社の方針を確認する

出世してマネジメント職にいきたいと考えている方は、サロン見学時に今後の出店予定や会社の方針(今あるお店を守っていく方針or拡大する方針)も確認しておきましょう。

出世したいタイプなら、拡大中の美容室へ

その会社が今あるお店を守っていく方針なら、現職の店長やマネージャー陣が辞めない限りはあなたが管理職になるチャンスは巡ってきません。出世したいタイプなら、直近1年以内に出店していたり、出店予定のある拡大中の美容室を転職先に選ぶことをおすすめします。

1~3年以内の独立を希望するなら、独立への理解がある美容室へ

1~3年以内に独立を考えている方は、サロン見学時にその旨を伝え、それを応援してくれる美容室を選びましょう

美容室によっては「顧客の持ち出し禁止」というお店もいまだにあります。それよりも「開業時には顧客を持って行っていただいて構いませんよ。」というスタンスのお店を選んだ方が、独立時スムーズに開業できるでしょう。

そもそも今のSNS時代「持ち出し禁止」というのはナンセンスだと思いますし、美容師1人に持ち出しされたらお店の経営が傾くようでは経営が上手くいっているとは言えません。

そこで働いてもマネジメントや経営の成功事例は学べないでしょうから、入店しない方が賢明でしょう。

経営が上手くいっている美容室というのは、売れっ子美容師1人に辞められてもきちんと黒字営業を続けられるお店です。

低リスク・低コストで開業したいのなら、独立支援制度のある美容室へ

あなたが今貯金が100万円もないのに1~3年後に独立したいと考えていたり、独立後の廃業リスクが不安なら、独立支援制度のある美容室へ転職するのも手でしょう。

ただし、「独立支援制度」と言っても、その内容は各社様々。開業資金0円で開業できる場合もあれば、お店とあなたで開業資金を折半する場合もあります。

また、一度契約したらその後、2店舗目、3店舗目もその会社を通して出店しないといけないというしばりがあるケースもあります。

転職成功の法則と同様に、制度内容をしっかり調べ、あいまいな点・良すぎる点は質問し、各社の違いを表にまとめて、メリット・デメリットを書き出してみることをおすすめします。何事も重要なのは事前の下調べですよ。

7,体験入店をして、薬剤や入客方法をチェックする

できれば1日体験入店をしてから転職を決めることが、失敗しないための大事な法則です。

もちろんサロン見学時に全てを確認できればいいのですが、実際に施術をしたり、他のスタッフと会話をしてみないと分からないことは多いもの。

よくある失敗例の「施術で使う薬剤を薄めて使うように指示された。」というのは、体験入店をしてさえいれば転職前に気づけたはずです。

また、「スタイリスト1人で同時に3人以上の掛け持ち施術が当たり前で疲弊した。」というのも、体験入店で長時間お店にいれば、他のスタイリストの働き方がみれますから、事前に気づくことができます。

えてして掛け持ちがハードなお店は、サロン見学時に担当者に質問しても「場合によっては複数人掛け持ちになることもありますが…」くらいに濁されることが多いです。

1時間のサロン見学では分からないことも、5~8時間の体験入店でなら気づける可能性があります。今の職場のお休みの日に体験入店をさせてもらえないか聞いてみましょう!

ワークシートのダウンロードはこちらから

美容師が転職で成功する為のワークシートpdfは下記のURLからダウンロードいただけます。pdfをコンビニ等でプリントアウトして、実際に記入してみて下さい!書くことにつまった方は、上の記入例も参考にしてくださいね。

今の職場が不満で転職したいけど、美容室が多すぎて決められない方、また失敗すんじゃないかと不安な方はぜひご活用ください。あなたが次は良い職場に出会えますように!応援してます!

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

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