【フリーランス美容師必見】開業届の書き方や必要な手続きとは?

更新日:2021/11/26
美容室社長中村英二

正社員サロンから業務委託サロンへ移る際や、シェアサロンへ移る場合、もしくはご自身のお店を開業する等、フリーランス美容師になる時には様々な手続きが必要です。ここではフリーランス美容師になる時に必要な手続きや、開業届等の必要書類の書き方を詳しく解説します。

この記事を監修した人

公認会計士・中小企業診断士 齊藤悟志

会計士二次試験に合格後、講師として会計士試験の受験生に会計学を教える。その後、監査法人に入所し、上場企業の会計監査業務に従事するほかベンチャー企業に対する内部統制構築支援や上場準備支援業務に従事。2年ほど内閣府に出向する経歴も持つ。監査法人時代の株式上場支援業務を通じてクライアントとして出会ったGYRO HOLDINGS株式会社に誘われて入社を決意。現在はCFOとしてグループの財務を一挙に担う。

フリーランス美容師に必要な5つの手続き

フリーランス美容師になるということは、雇われている「会社員」ではなく「個人事業主」になるということです。個人事業主になったら、それまで会社でやってくれていた、税金や保険料、年金の支払いなども全てご自身で行う必要があります。まず必要な5つの手続きを詳しくご紹介します。

国民健康保険へ加入する

フリーランス美容師になる前に、まずは国民健康保険へ加入しましょう。加入しないと、病院で診察・治療を受けた際の支払い額が高額になってしまいます。

国民健康保険の手続きは、住んでいる住所地の役所で行えます。会社員からフリーランス美容師になる場合、下記の持ち物が必要になります。退職後14日以内に下記を持って役所へ行きましょう。

  1. 健康保険資格喪失証明書
  2. 本人確認書類(免許証・パスポート・マイナンバーカード等)
  3. 保険料口座振替用のキャッシュカード(または通帳と金融機関の届出印)

①の健康保険喪失証明書は、辞めた職場からもらってください。③の保険料口座振替用のキャッシュカードは、保険料を口座振替にしたい場合のみ必要です。振込用紙を郵送してもらって都度コンビニや銀行などで支払うこともできます。

国民年金へ加入する

国民健康保険へ加入する際に一緒に行いたい手続きが国民年金保険への加入です。日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の方は、退職により厚生年金から抜けた場合に国民年金への加入が必要です。下記の1~3を持って、退職後14日以内にお住まいの住所の役所で手続きをしてください。

  1. 退職日がわかる証明書(雇用保険被保険者離職票、社会保険資格喪失証明書、退職証明書、退職辞令書など)
  2. 年金手帳
  3. 本人確認のできるもの(免許証・パスポート・マイナンバーカード等)

開業届を提出する

開業届とは、正式には「個人事業の開業・廃業等届書」と言い、事業の開始のほか、事務所・事業所の新設や増設、移転や事業の廃止を行った際に、税務署へ提出する書類です。フリーランス美容師になるにはこの提出が必要です。これは開業後1カ月以内に、お住まいの住所の税務署へ提出しましょう。

齊藤悟志

開業届けを出さなくても罰則はありませんが、後述する青色申告ができなかったり、屋号での口座開設ができない、補助金・助成金の申請ができないなどのデメリットがあります。

確定申告方法を決める。青色申告・白色申告

確定申告とは、もうけ(所得)に対してかかる税金を自分で計算して、年に1回税務署に申告する手続きのことです。開業届を出す前に決めておきたいのがこの確定申告を青色・白色どちらで行うかです。

「青色申告」で確定申告をする場合は事前に「青色申告承認申請」を税務署に提出する必要があるので、青色申告にするなら、開業届けと一緒に手続きを済ませましょう。

中村英二

「青色申告」は最大65万円の控除が受けられるため、私は当社で働いてくれているフリーランス美容師さんにはそちらをおすすめしています。青色申告と白色申告について詳しいお話はこちらのページをご参照下さい。

美容室を開業する場合は保健所で美容所登録をする

業務委託サロンやシェアサロンで働くのではなく、ご自身で美容室を開業する場合は、お店を「美容所」もしくは「理容所」として登録する必要があります。

美容所登録するには、まず保健所に行って申請書を書き、後日お店に保健所の人が来て、構造設備等について基準を満たしているかをチェックしてもらいます。

この検査に合格するまでは営業をすることはできません。また申請して今日明日にお店に検査に来てくれる訳ではないので、オープン予定日の2週間前までには申請することをおすすめします。もしも検査に合格しないまま営業を開始してしまった場合、美容師法により30万円以下の罰金が科せられ、営業停止処分となります。

開業届の書き方・提出方法・期限について

開業届けはどこで手に入る?提出方法は?

開業届、正式には「個人事業の開業・廃業等届書」は税務署に置いてある他、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。ですので、最寄りの税務署に行って提出するのでも、ご自宅で開業届けをダウンロード&プリント&記入したものを郵送するのでも、お好きな方を選べます。また会計ソフトによっては開業届けをネットから提出できるものもあります。

開業届は開業してから1カ月以内に提出する

開業届は開業してから1ヶ月以内に提出することが推奨されています。1ヶ月を過ぎても罰則はありませんが、忘れない内に早めに手続きすることをおすすめします。

フリーランス美容師の開業届の記入例と書き方

開業届の記入例

【1】税務署名・提出日

提出先の税務署名と提出日を記入します。提出先の税務署名は納税地によって決まります。国税庁の税務署検索ページで納税地を入力すれば、税務署名がわかるので確認しましょう。

【2】納税地

業務委託サロンやシェアサロンで働くフリーランス美容師なら、「住所地」に印を付けて自宅の住所を記入して下さい。

【3】上記以外の住所地・事業所等

【2】の納税地以外に住所地や事業所があれば記入します。ご自身でお店を構える場合は記入が必要ですが、それ以外は基本は空欄で大丈夫です。

【4】氏名・生年月日・個人番号

ご自身の氏名とフリガナ、生年月日、個人番号を記入しましょう。

【5】職業

職業は「美容師」でOKです。

【6】屋号

屋号は決まっていたら記入して下さい。なければ空欄でも問題ありません。

【7】届出の区分

届出の区分は「開業」にチェックを付けて下さい。

【8】所得の種類

所得の種類は「事業(農業)所得」に丸を付けて下さい。

【9】開業・廃業日等

開業した日を記入して下さい。

【10】開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

青色申告を希望する方は、「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」には「有」に丸を。消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」は基本的には「無」に丸を付けて下さい。

【11】事業の内容

事業の内容を記入してください。美容師さんなら「ヘアスタイルの提案、カット等の施術業務」などでOKです。

【12】給与等の支払の状況・給与支払を開始する年月日

【12】は、従業員を雇う場合に記入が必要です。業務委託サロンやシェアサロンで働く美容師さんはこちらは記入する必要はありません。

【13】関与税理士

税理士と年間契約していれば、その方の名前と電話番号を記入しましょう。

青色申告承認申請書の書き方・提出方法・期限について

青色申告承認申請書はどこで手に入る?提出方法は?

青色申告承認申請書も税務署に置いてある他、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。ですので、最寄りの税務署に行って提出するのでも、ご自宅から郵送するのでも、お好きな方を選べます。

青色申告承認申請書は3月15日までが提出期限

青色申告承認申請書は申告をしようとする年の3月15日までに提出する必要があります。開業年から青色申告をお考えの方は開業届けと同時期に提出しましょう。

フリーランス美容師の青色申告承認申請書の記入例と書き方

青色申告承認申請書の記入例

【1】~【6】は開業届と同じなので割愛します。

【7】青色申告開始年度

青色申告を開始したい年を記入しましょう。通常はこの申請書を提出する年の年号となります。

【8】事業所又は所得の起因となる資産の名称及びその所在地

複数店舗がある場合は「◯◯美容室 渋谷店」のように記入しましょう。店舗や事務所が1つしかなければ、空欄でOK。

【9】所得の種類

フリーランス美容師なら、所得の種類は「事業所得」です。不動産所得や山林所得がない場合は、事業所得のみにチェックをつけましょう。

【10】いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無

過去に青色申告承認の取消しを受けたり、取りやめをしたことがある場合はチェックをつけて年月日を記入します。特にない場合は「無」にチェックをしましょう。

【11】本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日

開業届とこの青色申告承認申請書を同時に提出するなら、開業届に記入した開業年月日をこちらに記入しましょう。以前から事業運営している場合には、空欄でOKです。

【12】相続による事業継承の有無

家族から美容室を相続されていなければ「無」にチェックを付けて下さい。

【13】簿記方式

青色申告の最大のメリットともいえる65万円の控除を受けたいなら「複式簿記」にチェックをしてください。10万円控除の場合は「簡易簿記」にチェックを入れます。

【14】備付帳簿名

備付帳簿名はあくまでも「使う可能性があるもの」ということでしかありません。その為神経質になる必要はありませんが、55・65万円控除を受けるには最低限「総勘定元帳」と「仕訳帳」にチェックをしておきましょう。10万円控除の場合は、現金出納帳だけでOKです。

以上で開業時に必要な手続きは終了です。お疲れ様でした!年度末に確定申告をする流れや確定申告書の記入例、どういったものが経費で落とせるかは下記のページで詳しく紹介していますので、参考にしてみて下さい。

まとめ

ここまで、これからフリーランス美容師になろうと考えている皆さんへ向けて、必要な手続きや必要書類の書き方について解説してきましたが、理解は深まりましたでしょうか?ぜひ必要な手続きは早めに済ませて、美容師のお仕事に専念してくださいね。これからのご活躍を祈念しております!

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

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