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経営に悩む美容師

独立開業で失敗する美容師の例と解決策【美容室経営者の経験談】

更新日:2022/05/31
美容室社長中村英二

よくある独立して失敗する美容師さんの例を挙げ、その解決策をお話しします。自分には当てはまらないか?失敗しない為にはどうしたら良いのか?

実際に複数店舗美容室を経営している私の経験談をもとにお話しさせていただきます。独立を考えている方にはぜひ、一読いただきたいです。

理念や想いが無い

独立する事に対して「なんとなく独立したい」という漠然とした考えで独立をしてしまう人や、「今の職場が嫌だから独立する」というネガティブな考えだけで独立する人は失敗している方が圧倒的に多いです。

逆に『自分はショートカットが得意だからショートカットを極めた尖ったデザインサロンを出店して色々な人にショートスタイルの素晴らしさを知ってほしくて独立』や『拘りのインテリアがあってそれらの販売もするサロン兼小物屋さんのお店をこの街でオープンしたいから独立』と具体的に理念や想いがある人は強いですね。そういう所にはコアなお客様やスタッフも集まっているように感じます。

独立前に自身の理想や独立の意義を要確認!

ゴール地点の設定をしてない

世の中で独立する美容師さんでゴール地点を決めないで独立をしてしまう人が本当に多い印象です。そういう人は必ずと言って良いほど失敗しています。

なんとなくお店を開業して、なんとなくスタッフが集まってきてくれたから採用して、なんとなくスタッフが減って行って、、そして気づいたら1人になって、、、という人が多いのです。

お店を増やす事が偉いわけでもなんでもありません。『カットを極めたお店を地域に根差して40年1人で運営する』や『夫婦2人で家兼お店をオープンさせて、子供達が成人してからも生涯現役でハサミを持ち続けて、お客様が来ている限りは一つのお店を営業しつづける』というのは、一つのゴールですし、志があって素敵だと思いませんか?

ゴール地点を決めないとフラフラしてしまいますし、不安がつきまとうものです。しっかりゴール地点を決めてから独立したらそれに向かって突き進んで行くことをおすすめします。

ゴール地点を設定して、その逆算で美容室を開業しよう!

集客の先読み予測が不十分

「前に勤めていたサロンでお客様がひっきりなしにいらしていたので、自分でお店を出店したら簡単に集客できるし、自分が担当していた顧客もみんな来てくれるだろう。」と思ってる美容師さんは危険です。

前のお店での集客力はそのお店の総合的な『力』であってあなただけの力ではありません。また、お客様は美容師さんが思っているよりもドライなので「新店舗出来たら必ず行くね♪」と言ってた方がオープンしてから来てくれないなんて事はよくある事です。

逆に自分には無関心っぽい方が、オープンしてから何故か追っかけて新店舗に来てくれたりなんて言うのは、美容師のあるある中のあるあるのお話ですね。

中村英二

集客の先読みは、お店を続けていく上で大事な要素です。たとえ初めは顧客が付いてきてくれたとしても数年後も通い続けてくれるとは限りません。

前もってポータルサイトやSNS、リスティング広告などの集客ツールについて学んでおきましょう。各ツールの集客力がどうなのか、エクセルなどで数値を出して比較検討することをおすすめします。

既存客に甘えずに、集客ツールの勉強を!

求人や離職に関して定量的に判断できない

人口減少社会で店舗数だけが増え続けている日本の美容業界は、慢性的な人手不足が続いてます。そしてこれは今後もより加速するでしょう。どこも人手が欲しい状況なのです。その中で、求人や離職について定量的に判断や行動出来ない美容師さんは失敗してしまいますね。

求人費については、投資回収の目線で設定してみるのもおすすめです。例えば、スタイリスト1人採用するのに求人サイトで30万円かかったとします。ではその30万を回収するのには入店してくれたスタイリストが、いくらぐらい何カ月売り上げてくれたら回収できるのでしょうか?そういった目線で考えると、適切な費用を捻出できると思います。

また、離職についても、ただ単に『あいつ辞めやがった』では進歩がありませんね。職場を辞める時は辞めるなりの理由があります。人間関係なのか、給料なのか、やりがいなのか、何故辞めてしまったのかを深堀しましょう。退職理由をデータとしてストックしておけば次の求人に活かせますし次の離職を防げる可能性はあるので、定量的に判断して行きましょう。

入店理由・離職理由はデータを溜めて、次に活かそう!

勘で出店地域・物件を決めてしまう

勘で出店地域や物件を決めてしまうというのも世の中の美容師さんが陥りやすい失敗例です。「なんでその街で出店するのですか?なんでその物件ですか?」と聞かれた際に定量的に説明できない人が多いのです。なんとなくオシャレっぽい街だから、なんとなく富裕層が住んでそうだから、なんとなく家から近いから、、ただ単に前の職場が近くてお客様を連れてきやすいからetc…。

『なんとなく』で商売に関する事を決めてしまうのはとても危険です。きちんと事業設計をして、その逆算で街や物件を選んだ方が失敗は少ないでしょう。

街の商圏と競合店の割り算で考える

私がサロンを出店する時に見るのは、その街の商圏、うちのサロンのメインの顧客層の30代女性が何人住んでいるかの常住人口やその街に日中働きにくる昼間人口等のデータと、競合の美容室がいくつあるかです。

単純に、人口÷お店の数値が高ければ、まだ出店の余地がありますが、低ければ失敗する可能性が高いですよね。美容室が本当に沢山あるなかで新規出店をするので、必ず数値で出店戦略を立てるようにしています。

市区町村毎の年代・性別毎の人口は政府が公開していますし、無料の商圏調査ツールもありますので、上手に活用して下さいね。

身の丈に合った物件選びをする

出店時の失敗例として、物件選びで身の丈に合わない高級物件を選んでしまうことがしばしばあります。

「駅前の好立地で!」「一等駅で!」「新築のビルで!」など、割高な物件を選ぶと、赤字になるリスクが高くなります。もちろん初めからお客様がたくさんきて、予定通りの売上が上がれば何にも問題ありません。ただし、少しでも予定より下回ると、家賃が重くのしかかってきます。家賃は毎月必ず発生する固定費です。お客様が来なくても払わなければいけないのです。

先に話した事業設計をする際に、身の丈に合った物件選びをすることをおすすめします。

1人サロンでやる場合はマンパワーでどうにかなる事もありますが、仲間を集めての多店舗展開を考えてる美容師さんは勘での出店は絶対に止めましょう。仲間を不幸にする可能性は少しでも少ない方が良いですよね。

勘ではなく、街の商圏や競合店等の数値で出店場所・物件を決めよう!

資金不足

運転資金が少ない状態で美容室をオープンしてしまうのも、よくある失敗例です。

自分のお店を開業するとなると、「おしゃれで素敵な内装にしたい!」と思い、ついつい開業資金にお金を掛け過ぎてしまい、結果として運転資金があまりない状態でオープンしてしまう方がいらっしゃいますね。

初めからたくさんお客様が来店する保証はありません。また、ご自身が風邪をひいたり怪我をしてお店を急遽休まなくてはいけなくなったり、美容機器が壊れたりと、不測の事態はいくらでも起こり得ます。

集客や求人を強化する必要が出てきたら、予定より経費がかかる可能性もありますよね。そんな時、資金が足りないと、お店の経営は回らなくなってしまいます。

不測の事態に備えて、運転資金はしっかりと蓄えておく必要があります。1人美容室なら100万円、3人美容室なら150万円くらいは運転資金として確保しておくことをおすすめします。

不測の事態に備えて、運転資金の確保を!

美容師の技術ばかり勉強して経営の勉強をしてない

カットやカラー等の美容の技術の練習や勉強ばかりして、【美容室経営】の勉強を全くしてない人は大体失敗してしまいます。自分1人だけでプライベートサロンを運営する場合は特に美容室経営の勉強はしなくても良いですが、仲間を集めて複数人で美容室経営をしたり、その仲間達と一緒に多店舗経営を目指して行くのであれば必ず美容室経営の勉強が必要になります。

経営者として勉強が必要な項目は、財務、税務、労務、人事、マーケティング、ブランディングなど多岐にわたります。会社規模が大きくなれば、それぞれの分野ごとに担当者を設ければいいですが、はじめのうちはそうはいきません。全てを経営者であるあなたが行わなければいけないのです。

プロの業者に任せれば良いと考えている方は要注意

もちろん、お金を払ってプロに依頼するのはありですが、それでも丸投げして上手くいくことはないと考えていた方が良いです。

業者の言うがままにやっていたら、「費用だけどんどん嵩んだけど期待していた成果が得られなかった…。」なんてことはよくある失敗例です。あなた自身にある程度の知識がないと、業者選びに失敗してしまいますし、どういうプランでやってもらうのを決定する際も選択を誤る可能性が大です。

例えば、「お金のことは税理士に任せればOK。」と考えていたら失敗します。税理士さんはあくまで税務のプロであって、財務のプロではありませんし、ましてや経営コンサルでもありません。あなたのお店の収入や支出、保険などを計算して、適切な税金を払うアテンドをしてくれますが、それだけです。それなのに、税理士さんからのお金の報告を聞いて「お金のことはバッチリだ。」と考えたら、いずれ財務内容が大変なことになりますよ。

開業前から経営の勉強を!

通常の美容師が一人前と言われるようになるのに年数を要するのと一緒で、美容室経営も色々な勉強と経験とスキルが必要で一朝一夕で身に着けられるものではありません。美容室を開業する前から勉強をスタートさせるべきです。

こちらについては話始めると長くなってしまいますので、詳しくは別ページにまとめてます。私のおすすめの本なども紹介していますので、宜しければご覧くださいね。

技術の勉強ばかりでなく、経営者として経営の勉強を!

組織の構築が出来ない

組織造りの勉強をしていないために、独立して多店舗経営を目指すものの失敗してしまう人も多いです。

仲間を集めてオープンしたら、その仲間内で既に組織を造らないとならないですし、2号店目を造るとなるとその2つのサロンの組織編制やユニット、人財の配置や給与体系はしっかり構築しないといけないでしょう。3号店、4号店と増やして行くのであれば、尚更ですね。

世の中の美容室を見渡してみると、美容師じゃない人が経営している美容室の方がそういった組織の構築が上手な印象です。恐らく、職人美容師じゃないからこそ『ヘアサロンビジネス』を客観的に見れるのではないでしょうか?

中村英二

組織力の勉強をするには、自分より一歩先を進んでいる美容室オーナーに話を聞く方法がおすすめです。

2号店目の出店に悩んでいたら既に2店舗出店してる美容室。3号店目に悩んでいたら既に3店舗出店している美容室と、自分よりも少し先に進んでいる所の仕組みを勉強しましょう!

自分より一歩先を進んでいる美容室オーナーに話を聞こう!

儲かったら調子にのってお金を使い込みすぎる

お店をオープンさせて、お客様やスタッフも順調に定着してきて毎月残るお金に余裕が出て来ると「安定している」と感じるようになります。それは良い事なのですが、そうなるとついつい気が大きくなり、身に着けてる物が派手になったり、高級車を乗り回したり、必要ない飲み歩きをして、これらの事を全て経費にしてしまいがちです(ある程度の高級品は減価償却の対象にはなりますが)。

高級な車等は確かに自分のモチベーションの原資にもなりえますし一概に全て良くないとは言いきれませんが、どちらかと言うと、自店舗のスタッフが高級な車に乗れるような給与水準を目指した方が良いと思います。

また、個人事業主だとお店のお金と自分のお金を区分けしずらくなってしまいますね。通帳でもお店用とプライベート用はしっかり分けて毎月の給与もお店用の口座からプライベート用に振り込む等して、まずはお店と自分とでお金を分ける事から始めた方が良いでしょう。

中村英二

ちなみに僕はボコボコの中古ステップワゴンをずっと乗り続けてます(笑)

会社のお金は増やすのが失敗しない経営の鉄則

調子に乗って自分にお金をつぎ込むタイプではなくても、「所得が多いと払う税金が多くなるから、税金対策でお金を使っている。」という方も多くいらっしゃいます。それが必要経費で使用しているのであれば良いのですが、税金対策のために余分なものを購入したり、飲み会のし過ぎなどで経費を削るのは、正しい経営とはいえません。

会社のお金は増やすのが経営を失敗しないための鉄則です。できるだけ経費を削減して会社にお金を残しましょう。

例えば、お店は7~8年もしたら古くなります。改装を行う必要も出てきたり、美容機器を買い替える必要が出てくるでしょう。その時のために、会社にお金を残しておく必要がありますよね。

また、例えば5人のスタッフを雇っていたとして、突如3人が辞めて近所にお店を出されたりしたら、一気にお店の売上が半分近く下がってしまうでしょう。黒字から赤字に旧転落なんて可能性もあります。そんな時会社にお金が残っていれば、次のスタイリストを雇用するまで赤字が続いても耐えることができますよね。

「税金対策」だからと言って、お金を使いこみ過ぎないで、会社にお金が残る経営を目指しましょう。

「経費!経費!」と言ってお金を使いこまずに、未来の為の蓄えを!

共同経営

前の職場の同僚や美容学校時代の同級生と共同経営にて美容室を開業する美容師さんもたまにいらっしゃいますが、大抵は失敗して別々のサロンになってしまってますね。何で上手く行かないのかと言うと、どうしてもやり方や意思決定で揉めてしまうからです。

美容室の現場は意思決定の連続

美容室の現場は、理念にはじまり内装、メニューの価格設定、卸す材料の種類、備品のボールペン1つ買うのも全て意思決定の連続です。

それらの意思決定は基本的に全てオーナーが行うものですが、そのオーナーが2人いたら2人分の思惑がありますよね。両方が『自分の店』と思っているからこそ何かの意思決定で片方の意見が通らないと、その片方にフラストレーションが溜まってしまいますし、それが積みあがっていって『なんでこいつとお店やってるんだっけ』となり、自分が思っていると言う事は相手も思ってる事でもあり、そこのお店は近い将来別々の道を歩んで行く事になります…。

大事なのはお金を出してリスクを背負うのはオーナー1人であり、そのお店の意思決定者はオーナー1人だけ。そこに尽きると思います。とは言え、共同経営する当人同士は盛り上がってますし、周りにも散々反対はされてるでしょうけど、もう止める事が出来ないんですよね…。

この記事を共同経営にて美容室開業しようとしてる美容師さんには一読してもらって一旦冷静に考えてもらえたらと思います。その共同経営は本当に必要ですか?

夫婦や兄弟経営は上手くいくケースが多い

とは言え、共同経営だと100%上手くいかないという訳ではありません。上手く行くケースもあります。それは夫婦や兄弟での経営です。特に統計をとった訳ではないですが、夫婦で美容師だったり兄弟揃って美容師だと高い確率でその2人でお店を開業する傾向があります。夫婦でお店やってると毎日喧嘩が絶えないですが、なんだかんだで妻は夫を立てますし、赤の他人ではなく家族で、2人の共通して守るべき子供もいたりで結束力は強いですね。兄弟も、弟は兄を立てますしね。コンビニチェーンやその他の店舗型FCでも夫婦経営のFC加盟を推進してるのは、そのような理由からではないでしょうか。

お友達と共同経営を考えているあなた、その共同経営は本当に必要ですか?

まとめ|失敗しないためのチェックリスト

さて、ここまで僕自身の実体験や、色々な美容師や美容室を見たり、オーナー仲間から聞いた話を元にして、美容師さんが独立で失敗する例を挙げてきました。最後に、失敗しない為の注意点をまとめておきます。

  • 独立前に自身の理想や独立の意義を要確認!
  • ゴール地点を設定して、その逆算で美容室を開業しよう!
  • 既存客はずっとついてくるという考えはNG!集客ツールの勉強を!
  • 入店理由・離職理由はデータを溜めて、次に活かそう!
  • 勘ではなく、街の商圏や競合店等の数値で出店場所・物件を決めよう!
  • 不測の事態に備えて、運転資金の確保を!
  • 技術の勉強ばかりでなく、経営者として経営の勉強を!
  • 自分より一歩先を進んでいる美容室オーナーに話を聞こう!
  • 「経費!経費!」と言ってお金を使いこまずに、未来の為の蓄えを!
  • 友達との共同経営は再検討を!

あなたは大丈夫そうですか?失敗の定義も様々ですが、1人でも多くの美容師さんが独立時~独立してからも失敗しない人生を歩んでくれたらと思います!

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

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