美容室がやるべき経費削減!純利益を年間300万円アップする方法

更新日:2024/01/10
美容室社長中村英二

美容室を経営しているけれど「思ったより経費がかさんで利益が出ない…。」とお困りのオーナーさんに向けて、経費削減できる項目と項目毎の削減方法を詳しく解説します。経費は削減すればまるっと純利益になりますので、純利益を年間300万円アップさせることも可能ですよ!記載している方法は全て私が運営している美容室で実証済みの経費削減方法ですので、ぜひお試しくださいね。

経費削減で純利益年間300万円アップも可能

美容室で電卓で計算する人の手

美容室経営の経費の項目と言えば、人件費、家賃、材料費、宣伝広告費、水道光熱費、雑誌代金、印刷物費、タオル代金、ゴミ処理代金、備品代金などが挙げられます。

その中で、経費削減が行い易いのは、材料費、印刷物、雑誌、ヘアスタイル本、宣伝広告費、水道光熱費、タオル代金です。これらは全て実際に私が経営している美容室で経費削減を実施できている項目です。

では、上記を経費削減するとどのくらいの額になるのでしょうか?スタイリストが3人で売上が月210万円の美容室の場合、この項目でいくら経費を削減できるのかを算出してみましょう。

【例】売上月210万円の美容室の経費改善例

経費項目通常/月削減後/月
材料費315,000円210,000円
印刷物・雑誌・ヘアスタイル本等18,500円5,000円
宣伝・広告費168,000円63,000円
水道光熱費50,000円25,000円
タオル15,000円6,000円
合計566,500円309,000円
削減額/月257,500円

私の推奨する方法で経費削減をすると仮定して算出したところ、合計で月間約25万円、年間なら309万円を経費削減できる計算となりました。

純利益年間300万円アップはオーナーさんにとって非常に魅力的な数字ではないでしょうか?ここから項目毎に、実際に行っている経費削減の内容を紐解いていきますよ。

材料費

美容室において薬剤、スタイリング剤、店販等はなくてはならないものです。これらをまとめて「材料費」と言います。お店の売上規模にもよりますが、一般的には売上の10%程であれば適正と言えるでしょう。材料費で売り上げを割ってみて15%や13%といった数値なら、まだまだ改善の余地があります。

ディーラーさんへの価格交渉もやるべきですが、それにも限界がありますから、次の手段としては発注・棚卸の仕方を見直すことをおすすめします。数字でしっかり管理をしていくと「このカラー剤発注しすぎかも…。」という箇所が必ず出てくるはずです。材料費を適切に経費削減する手順は下記の通りです。

材料費を適切に下げるための5つのステップ

  1. 売上予算を、スタイリストのシフトベースで作成する
  2. 売上予想から、材料費に使って良い金額を算出する
  3. 材料毎の適正な発注数を仮定する
  4. 発注、つまり棚卸は週に2回以上とする
  5. 発注した金額はエクセル等で管理する

上記の手順を踏んで材料費率を売上の15%から10%へ削減できれば、月の材料費31万5千円が21万円となり、つまり月10万5千円削減できる計算となります。

材料費を売上に対して15%から10%に削減できれば105,000円の経費削減

私が運営している美容室Anphiでは、材料費を10%から6%台に引き下げた実績があります。より詳しい方法や、材料費削減に必須の考え方等は下記のページで紹介してますので、ぜひご覧になってみて下さい。

印刷物・雑誌・ヘアスタイル本等

美容室の現場にて必要な印刷物はスタッフ名刺、ショップカード、メンバーズカード、メニュー表、カウンセリングシート、店内ポップ、リーフや求人用のパンフ等でしょう。また、雑誌やヘアスタイル本も美容室のマストアイテムですね。

最近ではペーパーレス化の流れで、上記の物をなくしたり、IT系のサービスに置き換えたりするお店が増えてきました。Anphiでも、ポイントカードとカウンセリングシート、メニュー表、雑誌・ヘアスタイル本はペーパーレス化しています。

ポイントカードはLINE公式アカウントのショップカード機能を採用

当社ではポイントカードは以前は印刷していましたが、現在はLINE公式アカウントのショップカード機能を利用しています。ショップカード機能だけでしたら無料で使用できるので大変便利です。

印刷したポイントカードだとお客様が忘れることもありますが、LINEならスマートフォンを忘れない限りは大丈夫ですので、そういった意味でもおすすめです。

3年程前だと、まだまだ50代以降のお客様はガラケーの方が多かったですが、2022年現在だとご来店されるお客様の9.5割以上がスマートフォンです。同じようにお客様のスマートフォン所持率が高ければ、ポイントカードの印刷代金から削減してみてはいかがでしょうか?

カウンセリングシートはタブレット&Googleフォームを活用

ご新規のお客様に記入してもらうカウンセリングシートはタブレットを活用しています。

タブレットの購入代金はかかりますが、最近では1台2万円ほどで購入できますので、一々お店のプリンターでカウンセリングシートをプリントしたりする手間も考えれば、私は断然タブレットでカウンセリングシートを表示させる方がコスパが良いと考えます。

Googleフォームを活用すれば、お客様はポチポチ押すだけでシートの記入ができますし、そのデータは管理画面に蓄積されて一覧やグラフで全体を確認することも可能です。

紙に記入してもらっていた時は、いちいちエクセルなどにデータを書き写さなければ、マーケティングデータの蓄積ができませんでしたが、Googleフォームを使えば初めからデータで管理できるというわけです。

雑誌・ヘアカタログはタブレットで電子書籍を利用

dマガジンやビューンなど、電子書籍が定額で読み放題のサービスがあり、私たちもこれを利用しています。月額500円ほどと雑誌1冊程の価格で、お客様がご自分の好きな本を選んで読んでいただけます。

雑誌の取り合いが発生することはありませんし、「雑誌の間に髪が挟まってた…」なんてこともありませんね。タブレットさえ綺麗にしておけばOKです!

印刷物を電子ツールに置き換えれば13,500円の経費削減

美容室の宣伝広告費といえば、大きくわけて集客用と求人用の2種類に分けられます。

集客用の宣伝広告費を紐解くと、ホットペッパービューティ等のポータルサイトへの掲載費用、リスティング広告やSNS広告の費用、地域のタウン誌への掲載や折り込みチラシの費用などが挙げられます。経費削減したいなら、まずはどの媒体が効果があるのか検証しましょう。

媒体事に効果検証を行い、費用対効果の低い媒体を止める

媒体事に効果検証を行います。WEB系なら月額費用に対して、その媒体から何人集客できたのかを算出して下さい。紙媒体も同様です。

例えば日本の郊外住宅地なら、タウン誌や折り込みチラシがまだまだ強い場合もありますよね。その場合の効果検証方法としては、「このチラシを見た方限定のクーポン」などと謳って、切り抜きを持ってきてもらうのも良いでしょうし、新規ご来店時のアンケートに「来店理由」の欄を設け、選択肢として「チラシ」や「タウン誌名」を書いておくのもいいですね。

そして、集客できた人数・売上と、掲載費の金額を割って、費用対効果を算出しましょう。これを行わないと、肌感で「なんとなく、チラシを見てきたお客様が増えたかな?」という話で終わってしまいます。

すべて数字で定量的に分析することがポイント

すべて数字で定量的に分析して、媒体事に1人辺り集客費用が出せれば、自然とどの媒体で広告を出すべきか見えてきます。そして、1人辺りの集客費用が高い媒体は切って、低い媒体に寄せていけば、費用対効果が高くなっていき経費削減につながります。

一つの媒体の中でもプランが色々とありますので、プラン毎の効果検証も必要となります。求人用も同様のことが言えますね。

無料でできるSNSやGoogleマイビジネスの運用を頑張るのもGood

多くの方が既にやっていらっしゃるとは思いますが、広告費を経費削減したいのなら、無料のツールを最大限活用するのもおすすめです。

SNSやGoogleマイビジネスはやりはじめると奥が深く、ある程度時間を費やさないと効果は期待できませんが、一度は試してみたいですよね。スタッフでSNS等が好きな人や得意な人がいれば、任せてみて対価を支払うのも良いでしょう。

宣伝広告費は工夫すれば売上に対し8%程のところを3%程にすることも可能です。

宣伝・広告費を費用対効果の高い媒体に絞れば105,000円の経費削減

水道光熱費

水道代は、シャンプー台に節水のシャワーヘッドを付ければ、結構簡単に経費削減になります。

プロシャワークリアで節水・節ガス

節水・節ガスが最大50%経費削減できるという優れもの。当社でも採用していますが、水流が細かいため肌当たりが柔らかいですし、跳ね返りも少なくおすすめです。

電気・ガス代は一度業者の見直しを

電気・ガス代は、近年規制緩和により色々な会社が参入してきていますので、まずは現在より安くなる会社がないか比較検討することをおすすめします。

複数店舗の美容室の場合や、美容室以外にも色々とお店をやっている場合は、まとめて一社に契約すれば「包括契約」と言って割引が利きますので活用しましょう。

節水・節ガスで水道光熱費25,000円経費削減

タオル費

毎日何枚も使用するタオル代金もメスを入れれば経費削減が可能です。

基本的に、個人で営業している小さな美容室なら、タオルはリースではなく、購入して毎回お店で洗うのが一番安く済む方法です。美容室でタオルを洗う場合、乾燥機は家庭用ではなく、業務用のガス乾燥機にすることをおすすめします

家庭用の乾燥機は、毎日何回も使用する想定で作られていないため、すぐに壊れてしまって、修理業者を呼んだり、買い替えたりと、手間と追加費用が結構発生します。その為初めからガス乾燥機を導入しましょう。

1店舗にスタッフが7人以上いるお店だと、洗うのだけだと間に合わなくなるので、リースを入れることをおすすめします。全部リースだと結構お金がかかってしまいますので、経費削減をしたいなら、半分はお店で買ったタオルを洗って使うようにした方が良いでしょう。

タオルをリースのみから半分店洗いにすることで9,000円の経費削減

経費削減が難しい項目

ここまでで経費削減可能な項目と、その方法を解説してきました。他の項目はどうなのか?人件費やゴミ処分費、家賃など、すぐには経費削減が難しいと考える項目とその理由についてもお話します。

人件費

美容室は属人性が強く美容師の数と売上が直結するビジネスです。人件費を削減してしまうと現場の美容師の士気が低下してしまい離職に繋がる恐れがあります。

ですので、基本的にはスタートで決めた設定からは削減出来ないですし、削減してはいけない項目だと私は考えます。

それでもテコ入れをする方法を考えるとしたら、唯一アシスタントやスタイリスト、役職者の給与の評価制度の見直しは出来るでしょう。ただし、こちらも査定を厳しくしすぎると離職のリスクが高まりますので注意が必要です。

ゴミ処分費

お店を営業している以上は、毎日ゴミが出ますよね。そして事業ゴミの処分は有料ですので、こちらも可能なら経費削減したい項目でしょう。

事業ゴミの処分は行政機関から「一般廃棄物収集運搬業」の許可を得ている業者しか行えないため、新規参入はめったになく、それ故に価格競争もない業界です。その為、「業者を変えれば経費削減になる。」ということは起こりにくいのが実情です。

安すぎる事業ゴミ業者には注意が必要

行政から許認可を得た業者しかなれず、価格競争が起こっていない業界なのに、ネット上で安さを売りにしている事業ゴミ業者をたまに見かけることがあります。

あまりにも安い場合、認可を得ていないのに勝手に営業していたり、不法投棄をしている等の法律違反の業者である可能性があります。そういった業者とは関りを持たない方が良いでしょう。

ということで、事業ゴミの処分経費はあまり削減できないと認識しておいて下さい。

賃料

普通は一旦契約したら、賃料の値下げは難しいです。ただ契約更新のタイミングでしたら、できることはあります。

  • 更新料を値下げしてもらう
  • 賃料の値下げ
  • 更新期間を長くする

更新料を値下げしたり無しにしてもらえないかの交渉や、次回の更新期間を長くする交渉、更新後の賃料の値下げ交渉など、経費削減をしたいなら、ダメ元で聞いてみるものありでしょう。

ただし、家主さんとの関係が悪化しないようにくれぐれも注意して下さいね。長くその場所でお店をやりたいのなら、引き際も肝心ですよ。

スタッフのモチベーションアップに繋げよう

経費削減を行い、それまで発生した無駄な経費を削減できたら、その分サロンの純利益が上がります。それを丸ッと貯蓄に回すのも手ですが、おすすめはスタッフへ還元することです。

経費削減は、スタッフの協力なしには成し得ません。協力してもらって、利益がアップした分給与としてスタッフへ還元すれば、モチベーションアップに繋がります。そしてまた、経費削減への取り組みや、サロンを盛り上げることに積極的になってくれるでしょう。

経費を削減してスタッフに還元すると好循環が生まれます。経費削減はなかなか大変な作業ではありますが、ぜひ頑張ってみて下さいね。

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

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