この抜け毛は薄毛の前兆?危険な本数と正しいシャンプー方法は?
シャンプー時に髪の毛が沢山抜けると「薄毛になるのでは?」と不安になりますよね。髪の毛は“生えては抜けて”を繰り返しますので、抜けるのは自然なことですが、あまりにも多いと、AGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症など、薄毛の前兆かもしれません。
抜け毛は1日何本までなら大丈夫なのか、毛根での異常な抜け毛の見分け方や、間違ったシャンプー方法のせいで抜け毛を増やしてしまっている方向けの正しいシャンプー方法まで詳しく解説します。
この記事を書いた専門家
公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®講師兼、日本化粧品検定特級取得のコスメコンシェルジュ、スキンケアマイスターの資格を有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。
抜け毛は1日100本までなら問題ない
人の髪の毛は約10万本あり“生えては抜けて”を繰り返しています。毛髪には1本1本寿命があるのです。その為、1日100本程度まで抜けるのはごく自然なことで、心配する必要はありません。
100本と聞くと多いと感じるかもしれませんが、髪の全体量は10万本ありますので、「1日に髪の毛全体の0.1%が抜けている」と考えれば、多くないですよね。
秋口は抜け毛の本数が200本以上になることも
夏が終わり秋に入ると、抜け毛の量が多くなり、1日に200~300本ほど抜けることもあります。秋に抜け毛が増える理由としては、夏の間に蓄積した紫外線ダメージの影響が現れはじめるからというのが主な原因と考えられます。
異常な抜け毛の見分ける為の毛根チェック方法
1日の抜け毛が100本程度なら問題ないとお話しましたが、秋口でもないのに、毎日200本以上の抜け毛が続くようなら注意が必要です。
その場合、毛根をチェックしてみましょう!
正常な毛根
まず、自然に抜けた健康毛は、毛根の部分がマッチ棒のように丸みをおびた形をしており、先端は白っぽくなっています。
また、正常な抜け毛の毛根部には、「毛根鞘」と呼ばれるゼリー状の半透明の塊が付着しています。これは髪の毛が簡単に毛包から抜け落ちないようにする機能の一つです。
毛根の膨らみが小さい
毛根の膨らみが小さい場合は、髪の毛に十分な栄養が行き届いていない可能性があり、注意が必要です。
さらに、毛根に膨らみがなく毛が細くて弱々しい抜け毛の場合や、産毛のように細くて短い毛が多いという場合は、髪の毛が十分に成長しない内に抜けてしまっているということになります。
成長期の段階で抜け落ちていることが考えられますから、AGAなど、休止期性脱毛症の可能性が高いです。
萎縮毛・切れ毛
抜け毛の毛根先が毛幹よりも細く先細りになっている「萎縮毛」や、尖っていたりギザギザしている「切れ毛」が多い場合、頭皮の中の毛根や毛包で異常が起きている可能性が高いです。
「円形脱毛症」の進展期の方も、このような抜け毛が増える傾向がありますね。
毛根や毛幹にべったりと付着物がついている
毛根の白い部分が上まであり、べたついている場合は、皮脂が過剰に分泌している可能性があります。
皮脂は時間が経つと頭皮のタンパク質と結合し硬くなり、角栓として毛穴を詰まらせます。場合によっては抜け毛や薄毛のリスクを高めるため注意が必要です。
上の絵の右から2番目は、皮脂は毛根部分には付着していませんが、髪の表面にべっとりついている状態です。皮脂が毛穴の外で固まり角栓として毛穴をふさいでいますので、皮膚や頭皮トラブルにつながります。
毛根が黒い
通常、毛根鞘によって毛根は白っぽく見えますが、毛根が黒い場合もあります。これは、毛根にまで栄養が行き届いていないことや、ヘアサイクルが乱れている可能性が高いです。
栄養が行き届かない
栄養が毛根まで行き届かない場合、色素細胞に異常が生じ、毛根を黒くすると考えられています。ところが、血行不良によって栄養が不足した場合、白くあるべき毛根が黒くなった状態で抜け落ちるのです。
ヘアサイクルの乱れ
髪の毛の成長期には、髪へと色素細胞が送らるため、髪の毛が黒くなります。一方で、髪の毛の成長期が終わり、休止期を迎えると、色素細胞の供給がストップし毛根が白くなります。正常な場合は、休止期を迎え抜け落ちることになりますので、毛根が白いのです。
つまり、抜け毛の毛根が黒い場合、髪の毛が成長期の時に抜けてしまったと考えられるのです。
あなたの抜け毛の量や毛根の形はいかがでしたか?
異常な抜け毛の原因
続いて「異常な抜け毛」の可能性がある方へ、異常な抜け毛の原因についてお話しします。異常な抜け毛の原因は多岐にわたります。
- 男性型脱毛症(AGA)
- 遺伝
- 脂漏、フケ
- 糖化
- 間違ったヘアケア
- 頭皮の血液循環不良
- ストレス
- ダイエット
- 喫煙
- 自己免疫疾患
- 女性ホルモンバランスの減少
- 菌
- 紫外線
- メタボリックシンドローム
男性ならAGA、女性なら女性ホルモンの減少、他にも円形脱毛症や、脂漏性脱毛症、糖化による脱毛、生活習慣の乱れによる脱毛、疾患による脱毛など、様々な可能性があります。
抜け毛を増やさないための正しいシャンプー・ヘアケア方法
抜け毛が多い原因のひとつとして、普段の洗髪やヘアケア方法が間違っていることが考えられます。
特に、頭皮がかゆかい、頭皮に赤みがある、フケが出る、頭皮が脂っぽい、頭皮が突っ張るなど感じている場合は、シャンプーが合っていなかったり、ヘアケア方法が間違っている可能性が高いです。ここではシャンプーの選び方や、正しい洗髪方法をお伝えします。
経費吸収
「すぐ洗い流すシャンプーやコンディショナーでそんなに影響あるの?」と考える方も多いかもしれませんが、「経皮吸収」という考え方があります。
皮膚は角質層、有棘層、顆粒層、基底層という強固なバリア機能を備えているので、表皮に塗った物、例えばクリームなどの成分は身体の奥深くまで入り込まないと、かつては考えられてきました。
ところが、最近の研究では、一部の成分が体の深くまで入りこむことがわかってきました。これを「経皮吸収」といいます。
泡立ちをよくする加水分解小麦を多量に配合した石鹸を使用したことで、多くの人が小麦アレルギーになってしまった『茶のしずく石鹸事件(2010年頃)』はCMに某大物女優を起用していたこともあり当時大変話題になりました。すぐに洗い流してしまう石鹸でさえ、成分がそれほど体内に浸透してしまうということです。
髪の健康のためには、口から入れる物だけではなく、頭皮から入ってくる物にも気を付けることが大切です。経皮吸収とは、つまり塗った物を肌が吸収するということ。まさに「お肌の食事」です。ぜひ「お肌の食べ物」として口に入れたくなるものが配合されている物を選んで下さいね。
シャンプーの選び方
シャンプーは頭皮を洗うためのもので、頭皮に直に付けるため頭皮への影響は甚大です。
まずは、ご自宅のシャンプーの裏面の全成分に書かれている洗浄成分である界面活性剤をチェックして下さい。界面活性剤はシャンプーに含まれる率が高いため、大抵表記では水の次など、はじめの方に書いてあります。
爽快感のあるシャンプーや硫酸系シャンプーは要注意
硫酸系界面活性剤は安価なためしばしばシャンプーに含まれていますが、洗浄力が強すぎて刺激も強いため、抜け毛が気になる方にはおすすめできません。具体的には下記の成分です。
- ラウリル硫酸Na
- ラウリル硫酸アンモニウム
- ラウレス硫酸Na
- ラウレス硫酸アンモニウム
- パレス3硫酸Na
- パレス3硫酸アンモニウム
硫酸系ではありませんが、オレフィンスルホン酸Naもラウレス硫酸Naと同等の洗浄力があり、おすすめできません。
おすすめは低刺激のシャンプー
では、何の界面活性剤なら良いのか?と言いますと、おすすめはアミノ酸系や酸性石鹸系シャンプー。
アミノ酸系界面活性剤や酸性石鹼系界面活性剤は弱酸性で低刺激。髪や頭皮のタンパク質を守りながら洗浄ができます。特におすすめの成分名は下記の通りです。
- ラウレス-3酢酸アミノ酸
- ラウレウス-4酢酸Na(ラウレス-4カルボン酸Na)
- ラウレウス-5酢酸Na(ラウレス-5カルボン酸Na)
- ココイルメチルタウリンNa
- ココイルメチルアラニンNa
お肌に良い成分が入っているものを使用するとなお良い
シャンプーは頭皮を洗うものです。頭皮を健やかな状態にするための、お肌に良い成分が入っているものを使用するとなお良いです。
保湿成分であるセラミドやグリセリン、ヒアルロン酸やコラーゲン、オリーブ油。昨今の再生医療でも注目されているヒト幹細胞培養エキス。また、脂漏性皮膚炎やフケ症には抗炎症成分であるグリチルリチン酸2K(ジカリウム)も有効です。
薄毛を気にする方におすすめのシャンプー
リーブ21 アクティシャンプーR|PR
「発毛専門リーブ21」で実際に使われているシャンプー「アクティシャンプーR」は、メインの洗浄成分にお肌に優しいアミノ酸系界面活性剤の「ココイルグルタミン酸TEA」を使用。さらに保湿成分でもあるBG、ココイル加水分解コラーゲンK、グリコシルトレハロースなどもしっかり配合されている、頭皮と髪を健やかに保つことに特化したシャンプーです。
正しい洗髪方法
シャンプーは特に問題がないものを使っていても、洗髪方法に問題があると、頭皮を傷めてしまいます。
すすぎが不十分でシャンプーやコンディショナーが頭皮に残ってしまっていたり、熱すぎるお湯で頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまっていたり、強くこすり洗いをして頭皮を傷つけている方は意外と多いです。正しい洗髪方法をお伝えしますので、ぜひ今夜から試してみて下さいね!
髪のもつれと汚れをとる
シャンプーをする前に、髪のもつれと汚れをとりましょう。目の粗いブラシを使って軽くブラッシングをするのがおすすめ。
温かめのお湯で髪と頭皮を十分に予洗いする
髪の汚れを落とし、シャンプーの泡立ちをよくするために、温かめのお湯で髪・頭皮を十分に流します。目安は1分30秒以上。ロングで剛毛の方は2分30秒以上は予洗いをしてください。これがきちんとできていないとシャンプーが泡立ちにくくなります。
温度は38度程度がおすすめ。40度以上のお湯だと、必要な皮脂まで奪ってしまい、頭皮乾燥の原因に。
シャンプーを泡立たせながら、頭皮になじませる
シャンプーをする時、まず適量を手に取り、軽く泡立ててから頭皮の何カ所かにわけてなじませましょう。整髪料を付けていた場合には髪にもなじませてください。シャンプーの泡は髪同士の摩擦を防いでくれます。
泡立てネットで泡立てるのも手です。面倒な方は後頭部の耳の後ろ辺りにシャンプー剤を付け、泡立ててから全体に泡をなじませましょう。
頭頂部で泡立てるのはNGです。なぜなら、毎日紫外線にさらされてダメージを受けているから。泡立てる時が一番肌や髪にダメージを与えますので、頭頂部は避け、紫外線が最も当たりにくい耳後ろで泡立てましょう。
爪を立てずに、指の腹で頭皮を洗う
髪に指を差し込んで、爪を立てずに指の腹をやさしく使って、頭皮を揉むように、手を小さく上下左右に動かしながらまんべんなく洗います。
この時、髪をこすり洗いしないように気を付けて下さい。髪が傷む原因となります。
洗い残しがないようによくすすぐ
髪に指を通しながら、頭皮まで洗い残しがないように丁寧にすすいで下さい。特に耳の後ろから襟足はすすぎが不十分になり易いですので、よく洗い流しましょう。
トリートメントは髪の毛だけにつける
トリートメントやコンディショナーは、頭皮には付けず、髪だけに付けるようにしてください。毛先の傷んだところを中心に塗り、少しのあいだ放置するとより効果的。トリートメントの後も、よくすすいで洗い残しがないようにしましょう。
髪をタオルではさむようにやさしくドライ
タオルでやさしくはさむような感じで水気を拭き取りましょう。このとき髪同士をこすりあわせるとキューティクルがダメージをうけますので注意して下さい。
ドライヤーは一カ所に当て続けないで
ドライヤーを当てるとき、一カ所に長時間あてないように注意して下さい。理由は熱で髪の毛のキューティクルを破壊したり、頭皮に炎症をおこすことにつながりかねないからです。
同様の理由から、頭皮との距離が近すぎるのもNG。20㎝以上離して、まんべんなくしっかり乾かしてください。
髪を手でかき分けて、ドライヤーを左右に振るように動かしながら頭皮を乾かし、最後に髪を乾かしましょう。
髪を生乾きのままにしてはいけない理由
髪をしっかり乾かさずに生乾きのまま寝てしまうのはNGです。理由は2つあります。
まず、髪の毛は実は乾いている状態より濡れている状態が傷つきやすいから。濡れた状態の髪は、キューティクルが水分によって柔らかくなっており、ブラシで梳かすだけでも簡単に傷ついたり剥がれたりしてしまいます。ですので、生乾きのまま寝ると枕と髪がこすれる圧だけでも傷んでしまいます…。
また、生乾きのまま寝ると、雑菌が繁殖し易い状況を作り出し、頭皮が臭うようになってしまうのです。
忙しい子育てママは、風呂上がりに吸水性の高いタオルで髪をしっかり巻いて固定
お子さんがまだ小さいママさんから、「風呂上りは子供を拭くので手一杯で、髪を乾かす時間なんてない。」というお話を聞きます。
そういう方におすすめなのが、給水性の高いタオルを使う方法。風呂上り、なるべく早めにご自身の髪を吸水性の高いタオルで巻き、しっかり固定しましょう。そうすることで、濡れたまま髪の摩擦が起こることを防げます。
そしてお子さんを寝かしつけた後に、ドライヤーで乾かして下さい。すでに、タオルに水分はかなり吸収されていますので、短い時間で乾かせるはず。いつも、子育てお疲れ様です。
髪を洗うのは朝と夜どっちが良い?
よく聞かれる質問ですが、答えは「夜」です。夜の寝ている間に髪の毛は成長します。ですので、その前に髪と頭皮を清潔な状態にしておくことが大切です。
日本人は世界から見てもシャンプーをよくする傾向がありますが、シャンプーは1日1回で十分。それ以上すると頭皮を守るのに必要な脂まで取ってしまうので、気を付けましょう。
意外と「自分もやっていた!」とか「心当たりがある…」なんて方が多いのではないでしょうか?
慣れるまでは少し大変かもしれませんが、習慣にしてしまえば大丈夫です。ぜひ頭髪の健康のためにも取り入れることをおすすめします。「今まで気にしていなかったから分からない」という方は、ご自身がどんな洗髪方法なのか、ぜひこれを機会にチェックしてみて下さいね。
まとめ
異常な抜け毛と自然な抜け毛の見分け方や、正しいヘアケア方法についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか?まとめますと…
- 抜け毛は1日100本までならOK!
- 秋の抜け毛シーズン以外で、1日200本以上が毎日続くようだと危険
- 抜け毛の原因は様々
- 自然な抜け毛は棍棒毛。それ以外の毛根の形は要注意
- 切れ毛や萎縮毛が多い場合は、円形脱毛症の場合あり!
- 細くて短い毛が多い時は、AGAなどの休止期脱毛の場合あり!
- シャンプーはアミノ酸系などの低刺激のものがおすすめ
- 洗髪方法で髪を傷めていることも!正しい方法を覚えて、習慣にして
まずは毛根チェックをし、今夜の洗髪から見直してみて下さい。あなたの頭皮や髪質の状態が改善されたらとても嬉しいです。