紫外線量は顔の2倍以上!?髪と頭皮こそ紫外線対策を!

更新日:2024/05/26
毛髪診断士由樹

紫外線を浴びると肌の日焼けやシミの原因になることは、皆さんよくご存じですよね?そのため、最近では季節に関係なく毎日顔に日焼け止めを塗ったり、UVカット成分が配合されたメイク用品を使用するなど、顔の紫外線対策に熱心な方は多いです。

ですが、顔よりもどこよりも紫外線の影響を受けるのは、太陽に最も位置が近い髪と頭皮。

紫外線が乱反射して当たる顔と比べて、ダイレクトに浴びる髪や頭皮の紫外線量は顔の2~3倍と言われています。

このページでは紫外線の髪や頭皮への影響と、やるべき対策について解説します。

この記事を書いた専門家

毛髪診断士講師&日本化粧品検定特級・由樹

公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®講師、日本コスメティック協会のスキンケアマイスター兼、日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュを有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。

髪の毛への影響

紫外線の髪への影響は、表面のキューティクルはもちろん、内部のコルテックスにも及びます。

髪表面のキューティクルへの影響

まず、髪が紫外線によって酸化ダメージを受けると、髪の表面にあるキューティクル同士の隙間が開き、浮き上がってしまいます。

毛髪表面のめくれが進むと、ガサガサと手触りが悪くなり、ツヤが低下そして、より小さな摩擦でキューティクルが削れたり、はがれたりしやすくなってしまいます。

キューティクルにはメラニン色素が無いため、紫外線の影響を直接受けやすいのです。

髪内部のコルテックスへの影響

髪の毛に多く含まれるメラニン色素には紫外線を吸収する働きがあるため、日本人は髪内部へのダメージは少ないと以前は考えられていました。

しかし、紫外線はメラニンで全て吸収されるわけではありません。さらに近年ではヘアカラーをする人が多く、髪のメラニン色素は減少傾向にあることからも、髪内部への紫外線の影響は少なくありません。

紫外線がキューティクルを通過して、髪内部に到達すると「フリーラジカル(活性酸素)」と呼ばれるケラチン組織に影響を及ぼす不安定な分子が発生しやすくなります。

このフリーラジカルは、髪を構成しているタンパク質の形を保つS-S結合(シスチン結合)を切断する作用があります。

S-S結合は、いわば毛髪細胞の間のハシゴ。ハシゴが分断されると、毛髪細胞同士はバラバラになってしまいます。そのため、髪の毛は弾力・コシを保てなくなり、切れ毛が起こりやすくなるのです。

また、細胞と細胞の隙間から毛髪に必要な栄養が流出しやすくなるため、髪の毛のダメージはさらに進みます。

結果、髪の毛のツヤがなくなったり、パサパサ・ゴワゴワに。

また、紫外線によって髪の色素が分解されるため、カラーリングをしている人は退色するなど髪の色にも影響を与えます。

頭皮への影響

頭皮は髪に守られていますが、分け目の部分は紫外線にさらされています。

頭皮も皮膚ですから、紫外線ダメージを受ければ毛穴の炎症、乾燥やフケ、かゆみ、皮脂の過剰分泌などさまざまなトラブルを引き起こします。

さらに、紫外線の中でも波長が長いUVAは、髪の成長にかかわる毛根にある毛球内の毛母細胞にまで達するとされています。

長期間紫外線ダメージが毛母細胞に蓄積されると、髪の正常な成長を妨げ、抜け毛や薄毛の一因になるリスクも

UVAは肌の真皮中層まで到達して、コラーゲンやエラスチン線維などを分解する酵素の産生を促進し、頭皮の弾力を低下させます。頭皮がたるむと、顔のたるみの原因にも…!

髪と頭皮の紫外線対策方法

外出する時は日傘・帽子を使用して

紫外線から髪や頭皮を守るには、まずは直接紫外線を浴びないようにすることが何よりも大切です。

春と夏は、日中10時から14時までの間に1日の約半分の紫外線が地表に降り注ぎます。可能であれば、外出はなるべく避けた方が賢明。

外出する時は、UVカット加工のされた帽子をかぶったり、日傘をさしたりと、紫外線対策をしましょう。

また、髪には専用のスプレータイプの日焼け止めを使うのも一案。髪の生え際や分け目には顔用の日焼け止めを使ってもいいでしょう。

髪の毛の分け目を変える

常にUVカット率99%以上の日傘をさせれば良いですが、できない状況もあるでしょう。それを踏まえて、髪の分け目は定期的に変えることをおすすめします。

いつも髪の分け目を同じ位置にしていると、そこの部分にダメージが蓄積されてしまい、そこから炎症や乾燥、薄毛やたるみなどがはじまってしまいます。分け目をちょくちょく変えていれば、ダメージも分散され、頭皮トラブルが発生しにくくなるでしょう。

UVカット成分が配合されたヘアケア製品を使用する

ヘアケア製品の中には、紫外線を防ぐためのUVカット成分が配合されているものも多数存在します。

そういった製品を取り入れれば、紫外線によるダメージを軽減することができる可能性もありますよ。

日焼けしてしまったら?

日焼けは火傷!ドライヤーの冷風で髪を乾かそう

髪の毛や頭皮の日焼けは、一種の火傷ともいえる状態です。紫外線を浴びた後にドライヤーをする時は、冷風や低温で髪の毛を乾かしてあげましょう。

日焼けした頭皮と髪をしっかり保湿する

紫外線のダメージを受けた髪の毛と頭皮は、乾燥しやすい状態です。放置しておくとパサつきやゴワつきの要因になるため、できるだけその日のうちに保湿して下さい。

洗浄力が強すぎず、保湿成分がしっかり入ったシャンプーやトリートメントを使うことをおすすめします。紫外線を浴びるとケラチンは減少しやすいため、髪の毛を構成する主成分である「ケラチン」を含んだ商品も◎。

洗髪後は、ドライヤーの前に頭皮に頭皮用エッセンスを塗って保湿して。

顔ばかり化粧水やクリームを塗って、頭皮のケアはおろそかにしがちですが、頭皮も同じ皮膚です。

日頃から頭皮にも化粧水や頭皮用エッセンスを塗って、乾燥から頭皮を守ってあげましょう。

紫外線の強い時期や天気は?季節や天候で紫外線量が異なる!

降り注ぐ紫外線の強さや量は地域、季節、天候、そして一日のなかでも時間帯により大きく異なります。

時期

※引用元:国立環境研究所 有害紫外線モニタリングネットワーク事務局 2018年 つくば局観測データ

UVBは夏の7月~8月の間が特に強く、冬になると一気にその量が減ります。

一方、UVAは4月~9月まで強い時期が続き、冬になっても半分程度しか下がりません。つまり、UVAは1年の変動が少なく、年間を通して気を付けなければなりません。特に雪国では雪による反射が増えるため、注意が必要です。

天気

続いて天気の変化によって、どのくらい紫外線量が変化するのか見てみましょう。基本的に、晴、薄雲、曇、雨と天気が変化するにつれ、快晴の場合と比べて紫外線量は減少していきます。しかし、雲があるからといって安心はできません。

ほぼ全天を雲が覆っていても、薄曇りの場合、快晴時の約8~9割の紫外線が地上に降り注いでいます

曇りの場合は快晴時の約6割、雨の場合には快晴時の約3割まで減ります。

晴の日はもちろん、薄曇の日でも紫外線対策をしっかりしましょう。

紫外線量は年々増加傾向に!

※引用元:気象庁 | オゾン層・紫外線の診断情報 | 紫外線の経年変化

実は近年、日本では紫外線量が徐々に増加しています。1990年以降、継続的に紫外線の観測が行われていますが、増加率は10年あたり+4.6%(33.4 kJ/m2)。

なお、オゾン全量は1990年代から2000年代前半にかけて緩やかに増加した後、近年は有意な長期変化傾向はみられません。にもかかわらず紫外線量が増加傾向を示すのは、紫外線を散乱・吸収するエーロゾル(大気中の微粒子)等の影響が原因として考えられています。

これらの情報から、今後はさらに季節や天気にかかわらず、紫外線対策を行った方がよさそうです。

髪と頭皮の紫外線の影響&対策まとめ

紫外線対策といば顔や腕ばかりを熱心にしがちですが、髪や頭皮の分け目部分は顔の2~3倍もの紫外線量を浴びています。

そのダメージはキューティクルのめくれによるツヤの低下にはじまり、悪化すると影響は髪内部のコルテックスにおよび、ゴワツキや切れ毛の原因にも。

さらに、紫外線ダメージが毛根に蓄積されると抜け毛や薄毛の原因になったり、頭皮の真皮層に蓄積されると頭皮のたるみから顔のたるみへとつながります。

日中の外出時は日傘や帽子で、なるべく紫外線を浴びないようにしましょう。また、UVカット成分の配合されたヘアケア製品を使ったり、髪の分け目をちょくちょく変えるのも効果的です。

1990年の観測開始以降、紫外線量が増え続けていることからも、今後は一層の紫外線対策が必要になりそうです。

これを機会にぜひ、髪や頭皮の紫外線対策をはじめてください!1日でも早くはじめて髪や頭皮のダメージを防ぎましょう。