白髪が30代~40代で増える原因は?今からできる対策を毛髪診断士が解説!

更新日:2024/03/01
毛髪診断士由樹

30代~40代で白髪が増えはじめてお悩みの方は多いです。なぜ白髪になるのか?改善する為の対策はないのか?この疑問に毛髪診断士が答えます!さらに、最新の白髪ケア商品や、美容師が30~40代女性へおすすめしたい白髪を活かしたヘアスタイルもご紹介します。

この記事を書いた専門家

毛髪診断士講師&日本化粧品検定特級・由樹

公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®講師、日本コスメティック協会のスキンケアマイスター兼、日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュを有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。

白髪が気になる方は、30代で急増し40代が最も多い

2021年に美容室Anphiで行ったお客様アンケートの結果によると、「白髪に悩んでいる」と答えた方180人の内、10代が1.1%、20代が3.9%とごく少数であったのに対し、30代では23.9%へ急増し、40代が最も多く48.7%という結果となりました。つまり白髪で悩む約半数の方が40代ということになります。

ちょうど白髪が増えて目立ち始める頃が一番気になるという感じですね。

このページでは、白髪の原因やその対策方法を詳しく解説。また、30代~40代におすすめの白髪を活かしたヘアスタイルもお伝えします。

そもそも白髪とは?

髪の毛はもともと色が付いてない白色です。色素細胞・メラノサイトが作り出すメラニン色素が、髪を生み出す毛母細胞に供給されることで、毛髪が黒や茶色になります。メラニン色素が多ければ多いほど髪の毛も黒く、少ないほど白くなります。

何らかの原因でメラニン色素がなくなると、毛髪は色を失い、光を反射して白く見えるようになります。これが白髪です。

メラニン色素がなくなるのは、メラニン色素をつくる色素細胞・メラノサイトの機能低下や数の減少、メラノサイトの供給源となる色素幹細胞の機能低下や枯渇によるものと考えられています。

メラニン自体は作られているものの、うまく髪まで届けられていないケースも

白髪の初期では、メラニン色素自体は作られているものの、それがうまく髪まで届けられていないメラニン色素の輸送異常が起こっていることが分かってきています。

メラニン色素の輸送異常に大きく関わっているのが、メラニン色素を輸送する遺伝子の1つであるメラノフィリン(Slac2-aとも呼ばれる)。

メラニン白と黒が混ざったような「不完全な白髪」においては、メラノフィリンの働きが低下しているのです。

白髪の6つの原因

加齢

30~40歳で白髪増えるのは加齢が主な原因です。加齢に伴い色素幹細胞や色素細胞・メラノサイトの機能が次第に衰えていき、色素細胞がメラニン色素を生産できなくなることで白髪になります。 日本人の発症年齢は、男性が30歳代前半、女性が30歳代後半です。頭髪の半分が白くなるのは平均55歳ころで、女性の方が男性よりやや早いと言われています。ただし、個人差が非常に大きいです。

「老化菌」エンテロコッカス

株式会社ミルボンによる3000⼈を超える⽇本⼈⼥性の⽑髪と頭⽪の⼤規模調査の中で、髪や頭⽪の⽼化現象が進⾏した⼈では、頭⽪に「エンテロコッカス」が多く⽣息していることが分かっています。

エンテロコッカスは乳酸菌の一種で、もともとは腸管や口腔内に存在することが知られていました。これが、代謝の過程で過酸化水素をつくり出し、頭皮に酸化ダメージを与え、髪の薄毛、白髪を加速させてしまうという研究結果が出たのです。

この研究で、エンテロコッカスは20代では約30%の人の頭皮にごくわずかに存在する程度ですが、50代になると約93%の人の頭皮で検出されました。さらには、年齢とともにエンテロコッカスの占める割合も増えていることが明らかに。

エンテロコッカスは髪の老化の加速に関与しているだけではなく、顔にいるとシワなどの老化現象も加速させることから、「老化菌」と呼ばれ、注目されています。

遺伝

白髪には遺伝的な素因もあります。特に、両親や親族に10代後半から20代後半くらいの若い内から白髪が多いと、自分も白髪になりやすいです。いわゆる「若白髪」です。遺伝するのは、メラニン色素をつくるメラノサイトの生存・維持がしにくい体質や、メラニン色素が髪に取り込まれにくいといった体質です。

精神的ストレス

過度のストレスも白髪の原因となります。ストレスは活性酸素を増やしたり、血管を収縮させて血流の流れも悪くしてしまいます。そうすると、色素幹細胞がダメージを受けたり、メラニン色素をつくるメラノサイトに栄養が届かなくなり活動不全を引き起こしてしまい、結果白髪となってしまうという訳です。

ストレスによって「白髪」になるメカニズムが、ハーバード大学の実験結果で明らかに

2020年にハーバード大学の研究で、マウスを使った実験を行ったところ、強いストレスは交感神経に働きかけて「ノルアドレナリン」を放出させ、それを色素幹細胞が取り込んで過剰活性することにより、色素幹細胞が枯渇してしまうという実験結果が明らかになりました。

これまでもストレスと白髪の相関性は指摘されていましたが、研究結果として化学的に証明されたのはこれが初めてでした。

栄養不足

メラニン色素はアミノ酸のチロシンという栄養素を原料にして細胞の中で作られます。言い換えるとチロシンがないと黒髪となるメラニン色素は生成されません。チロシンは、魚類のアジ、サバ、イワシや、チーズや大豆に多く含まれる栄養素です。

また、チロシンをメラニン色素に変える際に作用するのがチロシナーゼという酵素です。このチロシナーゼを活性化する銅イオンを多く含むのは、甲殻類のエビ、カニやココアなどです。

健康な髪や体を保つにはバランスのとれた食事が基本ですので、偏った食生活にならないように気を付けましょう。

紫外線

大量の紫外線は髪のメラニン色素を破壊してしまいます。真夏の晴れの日に一日中外にいると髪が少し茶色くなったことはありませんか?実はこれは紫外線によって髪の色素が破壊されて起こる現象なのです。

また、紫外線は頭皮の細胞にも到達します。そのため、毛根の毛包にある色素細胞が紫外線でダメージを受けて、髪に色を付けることができなくなり、白髪になってしまうこともあるのです。

紫外線を多く浴びることで、肌で活性酸素が増えます。活性酸素が増えると肌の細胞や遺伝子が正常に働きにくくなり、肌の老化が進みます。それによってメラノサイトの働きもうまくいかなくなり、白髪の原因になります。

病気

白髪を増やすことがある主な病気としては悪性貧血、甲状腺機能低下症、腎不全があります。特に甲状腺機能低下症は40代以降の女性に多い病気です。

また、尋常性白斑(白なまず)などの皮膚疾患の場合は、その部分の色素が抜けてしまうため髪も皮膚と一緒に白くなることがあります。尋常性白斑はどの年代でも起こり得ますが、主に30代以前の方に多いです。

白髪だけでなく、肌や身体に不調を感じたら、早めにお医者さんに相談して下さいね。

対策①食生活を見直す

食生活は、メラニンの元となるアミノ酸のチロシンを含む魚類のアジ、サバ、イワシや、チーズを取るように心がけましょう。チロシナーゼを活性化する銅イオンを多く含む、甲殻類のエビ、カニやココアなども必要です。

また、そもそも髪はたんぱく質でできていますから、肉や魚、大豆、卵といった、高タンパクかつ低脂肪のものをしっかりとってください。それ以外はビタミンミネラルの補給として、緑黄色野菜含めたさまざまな野菜を食べつつ、キノコやワカメ、ひじきといったミネラル豊富な食材も積極的に取り入れましょう。

最終的にはバランスの良い食事をとることが一番大切です。

対策②ストレスをこまめに発散させる

前項にて、急なストレスによって色素幹細胞が枯渇するというハーバード大学の研究結果についてふれましたが、その後2021年6月に発表されたコロンビア大学の研究結果により、「ストレスが緩和されると白髪が元の色に戻ることがある」と初めて科学的に証明されました。

ストレスの原因を生活から排除するのはなかなか難しいでしょうから、まずはストレスを発散させることを心がけましょう。ストレスを解消させるにはウォーキングやジョギング、サイクリングなど、同じリズムを反復するような運動がおすすめです。こういった運動は、心を穏やかにしてくれる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を高めるといわれています。

また、ストレッチやヨガなども良いです。ヨガで行うポーズや深くゆったりとした呼吸は緊張を解きほぐし、自律神経の働きを調整してくれます。

笑うことにはさまざまな効果があり、ストレスに対しても科学的に有効だとされています。笑うと副交感神経が優位に働くようになり、安心感や安らぎを感じるようになるとされています。仲の良い友達と話したり、お笑い番組やコメディ映画などを見て思いっきり笑うと良いでしょう。

対策③質の良い睡眠を心掛ける

睡眠は脳や身体の休養、疲労回復などの役割がありますので、質の良い睡眠を取れば日中の毛根へのダメージも回復させることができます。ぐっすり眠ることは、ストレスを解消するためにも非常に重要なのです。

必要な睡眠時間は6~8時間が目安といわれています。しかし、一人一人の体質や生活内容で大きく異なるため、日中眠くて困ることがない程度の時間を目安にするのがよいでしょう。むしろ大事なのは時間よりも睡眠の質です。

対策④紫外線対策をする

黒髪の元となるメラニン色素にダメージを与える紫外線はできるだけ浴びない様にしましょう。とくに髪の分け目は紫外線を集中的に浴びてしまうため、定期的に分け目を変えたり、UVスプレーをしたりして対策をとりましょう。最近では、髪用の紫外線防止スプレーやミルクなどがあります。お出かけ前にサッと使用するといいでしょう。

5月ころから夏場にかけては、紫外線は特に強まります。髪のためだけでなくお肌のためにも、外出するときは帽子を被ったり、日傘をさしたりすることをおすすめします。

もし、紫外線を浴びて頭皮が赤くなってしまった場合は、シャンプー後に炎症を抑えるタイプの頭皮用化粧水を塗って保湿するなどしてケアして下さい。

対策⑤頭皮マッサージで頭皮環境を整える

髪の毛は毛細血管から直接栄養をもらっているので、せっかく頭皮に良いものを食べても、血流が悪いと栄養を受け取ることができません。

また頭には筋肉がなく、自分では動かせません。その為、マッサージで血行を促進して栄養の届きやすい頭皮をつくりましょう。マッサージで心地よさを感じれば、ストレス解消にも繋がるでしょう。

ポイントは頭皮を強くこすったり、爪を立てたりしないことです。指の腹を使って頭皮を持ち上げるイメージでマッサージして下さい。

対策⑥エッセンスで頭皮に栄養を

お風呂上りにはみなさん顔には化粧水や美容液を塗ってケアをされていますよね?頭皮にも同じように頭皮用の化粧水やエッセンスを塗ることをおすすめします。つけるタイミングはドライヤーをする前。そうすることで、ドライヤーの熱ダメージも軽減できます。

頭皮用エッセンスを買うなら、保湿成分の「セラミド」が配合されているものや、老化菌エンテロコッカスに有効な「グリシン」や「フィチン酸」が配合されているものや、細胞老化を防ぐ「ビタミンC」「ビタミンE」が配合されているものなどがおすすめ。

初期白髪の方は、メラニン自体は作られているのに、メラニンを運搬する「メラノフィリン」の働きが低下している可能性があります。

その働きを活性化するには「葛根エキス」「カモミールエキス」「タイムエキス」などが有効だという報告がありますので、そのような成分を配合した頭皮用エッセンスで頭皮ケアをしましょう。

白髪を見つけても抜くのはNG!

白髪は黒上より太い場合が多いため目立って気になるので、抜いてしまう気持ちも分かりますが、抜いたら黒い毛が生えてくるわけではありません。

むしろ、無理やり毛を引き抜くことで毛根を痛め、そのせいで毛が生えなくなることもあるので、絶対に抜いたりしないで下さい。気になる場合は短く切るか、カラーリングをすることをおすすめします。

白髪を活かすヘア!30~40代女性の白髪ぼかしハイライト

30~40代の女性は、白髪がほんの少ししかないので白髪染めに抵抗がある方も多いですし、今風の色にしたいという方も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、白髪を活かした「白髪ぼかしハイライト」です。

下の写真は、美容室Anphiの現役トップスタイリスト・大地さんが実際にお客様へ「白髪ぼかしハイライト」を施術した実例です。大地さん、白髪ぼかしハイライトの特徴を教えていただけますか?

通常の白髪染めとは違い、白髪を『染める』のではなく『ボカして』目立たなくするのがこの白髪ぼかしハイライトの大きな特徴です。髪を明るくする事で白髪と馴染ませ、伸びてきても気になりづらくなるのがメリット。

通常の白髪染めは、黒や濃い茶色などの暗い色しかできません。一方で、白髪ぼかしハイライトは、白髪染めではなくオシャレ染めを使って染めていきますので、明るい色にする事ができます。ぜひ皆さんも試してみて下さいね。

暗い色にしたいなら、白髪染めがおすすめ

自毛に近い暗い色に染めたい場合は、通常の白髪染めがおすすめです。白髪染めは、黒髪用のヘアカラーに比べて染料の含有量が多く「染毛力」が高いのが特徴です。

ムラなく綺麗に、かつダメージを抑えて染めたいなら美容室で、安く済ませたいなら市販の白髪染めを購入して自宅でセルフカラーするのも手でしょう。

市販の白髪染めヘアカラー以外にも、最近では毎日の洗髪時に使用する白髪染めトリートメントや、気になるところだけカバーする白髪用ファンデーションなども数多く販売されています。一先ず白髪を隠したい方は、前述した白髪対策と並行して使ってみるのも良いかもしれません。

白髪を抑制・改善する商品はある?

2022年2月現在の日本では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」において、医薬品、医薬部外品、化粧品としての白髪改善効果・白髪防止効果は承認されていないため、残念ながら「抗白髪」と銘打った商品は販売されていません。一方で、白髪関連の研究は様々な団体、企業で行われています

公益社団法人日本毛髪科学協会が2021年9月に出版した会報誌「皮膚と美容vol.53,No.3」によると、協会が行った試験により「ヤ―バサンタは色素幹細胞の枯渇を抑制する可能性があるため、白髪防止効果と、メラニン色素の生産能力を回復させて白髪を黒髪へと改善する白髪改善効果を併せ持つことが分かった。」と発表しました。

ブラックリバース™処方の商品に注目が集まる

「ブラックリバース™」処方は、株式会社ネイチャーラボの研究開発部門「セルラボ」と、分子・細胞生物学を専門とした新たな機能性基材に注力し、医薬品や化粧品などをパーソナルケア業界向けに展開する開発メーカーであるルーカスマイヤーコスメティックス社が共同開発した独自処方で、注目を集めています。

株式会社ネイチャーラボは、2018年5月にこの「ブラックリバース™」処方を採用した商品を開発。毛髪科学のボズレー社と共同開発した頭皮改善ヘアブランド「ボズレー」からは「ボズレーブラックリバースエッセンス」を発売中です。

ボズレーブラックリバースエッセンス

日本人女性のための成分と処方に徹底的にこだわり、日本独自の処方として植物幹細胞由来成分を配合。

ブランドボズレー
原産国日本
内容量50ml

薬機法との兼ね合いから「抗白髪」と銘打った商品が販売されるにはまだ時間がかかりそうですが、いずれ効果が認められれば「白髪改善・防止」商品をドラックストアなどで手に取れる日も遠くないかもしれませんね。今後の大学や団体、企業の研究、商品開発に期待しましょう!

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