円形脱毛症の原因はストレスじゃない?早く治す方法は?

更新日:2021/11/29
毛髪診断士由樹

ある日突然気づくことが多い円形脱毛症は、本人のショックが大きく、また「人に気づかれるのが恥ずかしい」という気持ちや「このまま抜け続けたらどうしよう」と不安な気持ちになる方が多いようです。どういった症状を辿るのか、原因は何なのか、早く治したいならどうしたら良いのか、円形脱毛症の対処方法を解説します。

この記事を書いた専門家

毛髪診断士・由樹

公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®兼、日本化粧品検定1級取得のコスメコンシェルジュ、スキンケアマイスターの資格を有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。

円形脱毛症の症状

円形脱毛症は、脱毛症の中でも最も頻度の高いものの一つです。

多くの場合、頭部に円形や楕円形の脱毛斑が突然生じます。脱毛症状は頭部だけでなく、眉毛や、まつげ、あご髭、脇毛など、身体の毛髪が存在する あらゆる部位に発生することもあります。

自覚症状がないのが普通ですが、まれに脱毛前や活動期に軽い痒みや違和感を覚えたり、軽い赤班が見られることがあります。

症状が進行している時には脱毛斑に黒い黒点が見られ、木の切り株状の短く太い硬毛が出てきます。これは障害を受けた毛包が休止期に入り、毛を排出したものです。

爪に症状が出ることも

爪の変化は円形脱毛症の1症状で、中でも多い症状は点々と針で突いたような窪みです。これを点状凹窩といいます。

合併しやすい病気

円形脱毛症に合併しやすい病気として、アトピー性皮膚炎や、甲状腺機能異常、尋常性白斑、関節リウマチなどの自己免疫性疾患があげられます。

円形脱毛症の種類

円形脱毛症と言えば、「10円ハゲ」と言われるように、コインのように円く脱毛する「単発型」が基本ですが他にも様々な種類があります。

単発型・多発型・蛇行型
種類概要
単発型円形または楕円形の脱毛斑が出来る
多発型円形脱毛斑が2つ以上発生するタイプ。さらに脱毛斑が結合し拡大する「多発融合型」もある
蛇行型首筋近くの後頭部や耳の周りの側頭部などが脱毛する
全頭型脱毛斑が頭部全体に広がり、頭髪のすべてが抜ける
汎発型まゆ毛や脇毛など体毛も抜けてしまう

脱毛斑の少ない場合は、ほとんどが自然に治り、治療も不要なくらいです。しかし、広く抜けている場合ほど、脱毛が長引き、全頭型や汎発型では数年以上続くこともあります。

原因

円形脱毛症の原因について見ていきましょう。

自己免疫疾患

近年原因として有力視されているのは、自己免疫疾患です。円形脱毛症では、頭髪に「自己免疫反応」というものが起きています。通常の免疫反応は、体内にウイルスや細菌などの異物が入ってきた際にTリンパ球という細胞が異物を攻撃するものですが、このTリンパ球が異常を起こし、正常な細胞を攻撃してしまうことがあります。

円形脱毛症の仕組み

円形脱毛症の頭髪では、Tリンパ球の激しい攻撃により毛を包む組織である毛包が壊され、毛根が傷んで、元気な髪の毛でさえ突然抜け落ちてしまうのです。

しかしどうして、自分のリンパ球が自分の毛包を攻撃してしまうのかは、まだ完全には明らかになっていません。

遺伝

最新の大規模疫学調査(中国)では, 円形脱毛症患者の 8.4%に家族内発症があり,患者との関係 (親等)が近いほど発症率が高いという結果がでています。また、欧米の調査でも 1 親等内での 円形脱毛症患者は一般に比べて 10 倍であるというデータがあります。 メカニズムなどはまだはっきりしていませんが、このデータからなりやすい素質が遺伝していると考えられています。

ストレス

以前は「円形脱毛症=ストレス」というイメージが強かったのですが、現在ストレスは直接的な原因というより、円形脱毛症を発症する間接的な要因と考えられています。診療の現場では、強い精神的ストレス後に脱毛したと感じる人がいる一方で、全く強いストレスを自覚しない患者さんもかなり多いのです。

ただ過度な精神的ストレスは、自己免疫疾患や内分泌疾患の引き金となりえます。また、ストレスをためこんだ状態が続くと、交感神経に異常をきたす可能性があります。交感神経が活発に働くと血管が収縮した状態になり、頭皮の血流が悪くなります。髪や頭皮への影響が十分に行き届きにくくなることから、脱毛が発症しやすくなります。つまり円形脱毛症の原因というより、薄毛の原因になりうると考えられてます。

この脱毛は広がる?それとも回復期?進行度チェックの方法

ご自身の円形脱毛はこれからより悪化し広がるのか、それとも回復に向かっているのか気になる方の為の、チェック方法をお伝えします。

悪化している状態では切れ毛の跡が見れる

今まさに円形脱毛症が悪化している状態の方の脱毛斑を観察すると、ポツポツと黒い点、つまり毛が切れた跡があります。この切れ毛跡がなくなり、薄毛の状態になってくると、これは円形脱毛症が回復傾向にあると考えられます。

円形脱毛症は毛が抜ける病気ではなく、毛が切れる病気

Tリンパ球が異常を起こし、毛包を攻撃すると、毛の毛包に包まれていた部分はイラストのようにガタガタになり、出口のところで切れて脱落します。その為、脱落してすぐの毛の毛穴には、残った毛が見えた状態になるのです。この残った毛は、新しい毛が生えてくる時に押し出されます。

由樹

円形脱毛症は毛が抜ける病気ではなく、毛が切れる病気という方は意外と多いですね。もう一つのチェック方法として、毛の牽引検査がありますので、そちらについてもご紹介しましょう。

抜け毛の毛根の形で進展が予測できる

円形脱毛症の部分の抜け毛は、先が細くなった委縮毛の形状であるのが特徴です。その為、委縮毛の多さで、今後円形脱毛症が広がるのか、それとも自然治癒しはじめているのかを確認することができます。

自然な抜け毛は棍棒毛、円形脱毛症の抜け毛は委縮毛

自然に抜けた正常な毛の毛根は棍棒毛で毛球に白いふくらみがあります。一方で、円形脱毛症の頭髪では毛母細胞が強い障害を受けて、毛の成長が急激に阻害されるため、抜ける毛は毛根部が細くなった委縮毛となります。

周辺の毛根の形による進展の予測

脱毛斑の周囲の毛を軽く引っ張ってみて下さい。

  1. 委縮毛が抜けると脱毛はまだ進展期にあり、拡大することを意味します
  2. 棍棒毛のみが抜けると緩解期に入っており、拡大したとしても程度は低いことを意味します
  3. 毛がほとんど抜けなければ進展は止まったことを意味します

脱毛斑が一つでも、抜け毛が多く、脱毛斑周囲から委縮毛がたくさん抜ける時には、一見正常に見える部位の毛も牽引してみましょう。そこにも委縮毛が認められれば、多発型に進展する可能性が、そして髪の生え際の毛に委縮毛が認められれば全頭型に進展する可能性が高くなります。

治療方法

円形脱毛症はTリンパ球の異常が止まり、毛包の炎症が収まれば治り、毛はまた生えて来ます。医療の現場では、その炎症を抑える対処療法が主流です。

初期で脱毛斑が小さい場合の治療法としては、ステロイドやミノキシジル、塩化カルプロ二ウムなどのぬり薬や、グリチルリチン、セファランチンなどの内服薬で治療を行い、およそ3か月~半年ほど経過を見ます。また、脱毛斑が小さいなら、脱毛している部分にステロイドを注射する「ステロイド局所注射」という治療を行うことも多いです。広く脱毛いている場合は、局所免疫療法が適応となります。

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインで推奨されている治療とは?

※引用元:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf

上の画像は日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版のものです。ここでは日本の毛髪疾患の診療に詳しいお医者さんが議論の末に出来た、円形脱毛症診療のガイドラインで、治療方法の推奨度を示しています。このガイドラインで「B」判定以上となっており、推奨されている治療方法について、ご紹介します。

ステロイド外用薬

ステロイドは、もともと体内の副腎という臓器でつくられているホルモンで、このホルモンがもつ作用を薬として応用したものがステロイド薬です。ステロイド外用薬は、局所(塗った部分)の炎症を鎮める作用にすぐれており、湿疹・皮膚炎を中心に、皮膚疾患の治療に幅広く用いられています。

ステロイド外用薬はドラックストアでも購入が可能です。ただしステロイド外用薬には様々な種類があり、作用がとても強いものは医師の診察を得て処方してもらう必要があります。

ステロイド局所注射

脱毛斑の部位にステロイド剤注射液を局所注射する方法です。日本皮膚科学会診療ガイドラインは、ステロイド注射は発毛効果があると推奨しています。ただし注射時は痛みを伴い、また皮膚が萎縮し陥没する場合があります。広範囲の脱毛には適しません。また、原則として小児には行ってはいけません。

局所免疫療法

広く脱毛している場合は、局所免疫療法が適応となります。これは、かぶれを起こす特殊な薬品、SADBEやDPCPを脱毛部に塗って、弱いかぶれの皮膚炎を繰り返し起こさせる治療法です。1~2週に1回行います。

有効率は60%以上で、現在、全頭型や汎発型の方に第一選択しとして勧められている治療方法です。年齢制限はなく、小児でも治療可能です。ただし中止すると再び脱毛し、治療を繰り返し何年も行うこともあります。

使う薬品は医薬品ではなく研究試薬ですので、保険適用外となります。副作用として、人によってはひどいかぶれが起きることがあるので注意を要します。

円形脱毛症を早く治すには?今日から家できる対策

繰り返しになりますが、脱毛斑が小さい単発型や2個ほどの多発型の円形脱毛症は、Tリンパ球の働きが正常に戻り、毛包の炎症が治まりさえすれば自然に治ります。それでも治るまでは本人にとってはストレスで、「なるべく早く治したい」と思う方は多いでしょう。ここでは今日から家できる対策についてお話します。

清潔で健康な頭皮を保つ

なるべく悪化させないためには、頭皮と髪の毛の状態を清潔に保ち、健康な状態であることが望ましいです。

毛が抜けるのが怖いからと、洗髪を怠たると、頭皮に余分な脂やフケが出て、脂漏性皮膚炎などにつながり脱毛を促進してしまう恐れがあります。一方で、洗髪のしすぎや、血流を促すために硬いブラシなどで頭皮を叩く等の間違ったヘアケアを続けていると、頭皮の健康状態が悪化してしまうでしょう。

お肌に優しいシャンプーを使い、1日1回温かめのお湯で優しく洗髪をし、しっかり水分をタオルで取ってから、ドライヤーで乾かしてあげて下さい。シャンプーの選び方や、正しい洗髪方法は下記のリンクをご参照下さいね。

回復期は育毛剤も◎

症状が回復に向かっている場合、育毛剤で栄養分を補給したり、血流促進を促すことは、早く毛を伸ばすことにつながるでしょう。

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円形脱毛症で育毛剤を使う際、間違って「男性型脱毛症」用の成分であるフィナステリドやデュタステリドの成分が入ったものを買わない様に気を付けて下さい。脱毛する仕組みが異なるので、円形脱毛症には有効ではありません。

病院に行くべき?行くなら何科?

「剥げているのがすごくストレス!一刻も早く治したい!」という方は、病院に行くことをおすすめします。科は皮膚科となります。初期なら外用薬を処方してもらって、様子をみることになるでしょう。お医者さんに「治りますよ」と言ってもらうだけでも、気持ちはずいぶん楽になりますよね。

また、多発融合型以上の広範囲に脱毛斑が広がる場合は、非常に治りにくく、まれには10年以上も毛が生えてこない例もあります。牽引検査で広がる兆候に気づけたのなら、早めに病院に行くことをおすすめします。

まとめ

円形脱毛症は1~2個程度でしたら、基本的に自然に治ります。正しいヘアケアを心掛けて、あまり思い詰めずに過ごして下さいね。一刻も早く治したい場合は、皮膚科に行って相談することをおすすめします。

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