管理美容師の資格を取得する条件と方法、講習会の内容は?
従業員を雇って美容室を開業するなら、向き合わなければいけないのが「管理美容師」の資格。名称をご存じの美容師さんは多いと思いますが、そもそも何をする人なのでしょうか?
管理美容師とは何なのか?どうやったらなれるのか?資格を得ないで営業するとどうなるのか?など、詳しく解説します。
管理美容師とは?
管理美容師とは、一言で表すなら「美容室の衛生管理のスペシャリスト」です。公衆衛生と衛生管理の専門的な知識をもち、美容室にご来店されるお客様に、安心・安全なサービスを提供するために必要な環境整備や衛星措置を講じる役目を担います。
従業員の数が常時2人以上の美容室1店舗につき1人必要
美容室にいる従業員の数が常時2人以上である場合に、必ず管理美容師を置かなければならないとされています。(美容師法第12条の3)
従業員の数が常時2人以上の美容室1店舗につき1人の管理美容師が必要です。使いまわしはできませんので、新規出店する度に管理美容師を1人立てなければいけません。複数店舗経営を目指している方は注意して下さいね。
管理美容師はどんな仕事をするのか?
美容師の仕事は、お客様の髪や肌に直接触れる業務が中心で、必然的に至近距離で接するため、感染症の媒介となるリスクがあります。 またハサミなどの刃物を使用して施術を行うため、誤ってお客様の肌を傷つけてしまうリスクもあります。
これらのリスクを抑えるために、管理美容師は美容室の衛生状況をつねにチェックして、サロン内の環境設備や、お客様の皮膚に接するタオルやクシ、ハサミなどを清潔に保つ役割があります。
また、必要とされる消毒設備を設けたり、ハサミなどの刃物を扱うのに適した明るさか、換気がされているかを確認することなども、管理美容師の仕事です。
昨今のコロナウィルス感染症の流行により、衛生管理はより注目を集めていますので、管理美容師の仕事はますます重要になっていますね。
資格取得の条件
管理美容師になるためには、下記2つの条件を満たす必要があります。
美容師の免許を受けた後3年以上、美容の業務に従事した経歴がある
まず、美容師免許を取得した後に美容室で3年以上美容師として働いたことがあることが第一条件です。
都道府県知事が指定している講習会の課程を修了している
厚生労働大臣によって認められた基準に従い都道府県知事が指定している「管理美容師資格認定講習会」に申し込みをして、3日間の講習を受け、レポートを提出して、修了証書を受け取る必要があります。受講料は16,000円です。
講習会の開催は都道府県ごとに年数回!抽選に外れることも!
管理美容師資格講習会は、東京都などの人口が多い地域では年に5~8回程度開催されますが、地方だと年に1回しか開催されません。 さらに、講習会は定員があり、定員を超えると抽選となります。よって、条件を満たしていれば必ず講習会を受けられるわけではありません。
つまり、「来年店を開業しよう!」と意気込んでいても、それまでに管理美容師資格を取得できない可能性があるのです。
管理美容師資格講習会の内容は?
管理美容師資格講習会の講習科目は、公衆衛生と美容所の衛生管理の2科目で全18時間の内容となっています。大抵の場合3日間に分かれて開催され、最後に課題の提出が求められます。
公衆衛生(4時間)
- 講習衛生と衛生行政
- 感染症
美容所の衛生管理(14時間)
- 衛生管理総論
- 店舗の構造設備
- 店舗の衛生管理
- 従業者の健康管理
- 消毒法とその用途
- 美容業務に使用する医薬部外品等
- 事故等の対応
- 衛生管理計画と自主点検
- 自主点検による問題点と改善点
- 美容業に関わる各種の届出・申請
- 衛生水準向上のための支援策
資格取得までの流れ
続いて、管理美容師資格取得までの5つの流れを順を追って解説します。
【1】受講申込エントリー
まずは、下記の公益社団法人理容師美容師試験研修センターの公式サイトから、ご自身の都道府県における講習会の開催日程を確認し、WEB又は郵送で講習会受講を申込みましょう。
【2】受講申込書提出
エントリー人数が定員に達した場合は抽選となり、抽選が通った方にだけ「受講申込書類一式」が届きます。記入および必要書類を返信用封筒に入れて期日までに簡易書留で郵送しましょう。申込書類一式は、以下のとおりです。
受講申込書類
- 管理理容師・管理美容師資格認定講習会受講のご案内
- 受講申込書用紙(受講料は16,000円)
- 払込取扱票用紙
- 業務従事証明書用紙
- 受講者写真票用紙
- 受講申込書返信用封筒
【3】受講者票の交付
書類が受理されると、受講日の前に受講者票が届きます。
【4】講習会の受講
受講者票を持って会場に向かい、講習を受けてください。最終日にレポートの提出を求められます。
【5】修了証書の交付
無事に受講が修了すれば、修了証書が交付されます。
出席状況と、レポートの成績が著しく悪い場合は修了を認められない場合があります。事前に、講習会の日時を勤め先のサロンに伝えて予定を空けておき、集中して講習会に臨みましょう!
管理美容師を設けないと罰則がある?
先に述べた通り、美容師法には「美容師の従事者が2名以上常勤している美容室の開設者は、衛生管理のために美容室ごとに管理美容師を置かなければならない」と記されており、美容師2名以上となる美容室を開設する場合、管理美容師をおくことを明記した届け出を提出しなければいけません。
従業員が2名以上であるにもかかわらず、管理美容師がいない状態で美容室を営業している場合や届け出を出していない場合、または虚偽の届け出を出しているなどの法律違反が発覚した時は、期間を定めた閉鎖命令が出され、30万円以下の罰金に処せられます。
美容師法第18条
次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
- 第6条の規定に違反した者
- 第11条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
- 第12条の規定に違反して美容所を使用した者
- 第14条第1項の規定による当該職員の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
- 第15条の規定による美容所の閉鎖処分に違反した者
自分のお店を早く開業したいからと焦って、管理美容師資格を持っていないのに美容室をオープンしてしまうと、法律違反となってしまいます。「将来は自分もお店を…」という気持ちがあるなら、早めの内から講習会を受講しておきましょう。
管理美容師資格は、オーナーや店長が所持しなければならないという決まりはありません。もし講習会の抽選に外れてしまっても、資格保有者を雇えば大丈夫ですよ。
まとめ|持っていて損はない資格&講習会は抽選なので、前もってエントリーを!
管理美容師資格を取得するには、美容師免許取得後3年以上の実務経験と、講習会の終了が必須です。講習会は定員を超えると抽選となり、外れることもしばしばありますので注意が必要ですね。
新型コロナウィルスが猛威を振るった昨今、衛生管理はより注目を集めています。持っていて損はない資格ですので、今すぐ開業する予定がなくても取得しておくことをおすすめします。