【11項目で検証】ソープオブヘア1-ROを使用&実験した結果は?

更新日:2024/03/01
毛髪診断士由樹

オブ・コスメティックスの美容室専売品シャンプー『ソープオブヘア1-RO』を美容室に取り入れるか検討している美容師さんやオーナーさんに代わって、実際に使用&実験を行い徹底解析しました。

検証項目は、泡立ち・液質&泡質・シャンプー残留性・洗浄力・水分量の変化・タンパク質変性・50回洗髪した後の毛髪の手触り・実際に人間の頭髪で洗った際の使用感・一週間以上使用しての髪や頭皮の状態・香り・成分の全11項目。毛髪診断士認定講師と美容師が忖度せずに公平公正に解析します!美容室専売シャンプーの購入を検討している一般のお客様もぜひご一読くださいね。

この記事を書いた専門家

毛髪診断士講師&日本化粧品検定特級・由樹

公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®講師、日本コスメティック協会のスキンケアマイスター兼、日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュを有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。

とろみが強く粘性のある液体&もちもちした柔らかい泡質

ソープオブヘア1-ROの液体はとろみが強く、粘性がある茶色い液体でした。

泡はもちもちした柔らかい泡質。ただすすいだ後にシャンプー剤が手に残るような感覚があり、気になりました。

泡立ち

泡立ち検査では、38℃のぬるま湯30mlにシャンプーを2.5ml入れて、電動泡立て器で2分間ブレンドし、どのくらいの泡の量が出来るのかを計測しました。計3回実施した結果、ソープオブヘア1-ROは4.80㎝。全35種類の美容室専売シャンプーの中でベスト3に入る泡量でした。

実際に髪で泡立てても、揉めばもむほどに泡がどんどん増えていき、泡立ちは良好でした。

シャンプー残留性

残留性テストでは、頭髪にシャンプーが残ってしまわないかを検証します。なにもつけていない人毛束の重さを量り、その後にシャンプーで洗浄&ドライして、再度計量。人毛にシャンプーがどのくらい残るのかを検査しました。より正確な値が出るように、0.001g単位で測れる風除け付きの計りを使用しています。結果は写真のとおり、洗浄前2.090g→洗浄後2.090gとなり差異は0g。

一方で、毛束を洗った手の方は若干”ぬめっ”とした感覚が残りました。良い言い方をすれば「しっとりする」ともいえますが、どんなに刺激性が低いシャンプーだとしても、刺激がゼロということはありませんので、しっかりすすぐことをおすすめします。

特に実際の頭皮は毛の生え際付近にシャンプー剤が残り易いので、念入りにすすいで下さいね。

洗浄力

続いて、汚れをどのくらい落とせるのかをチェックします。なにもつけていない毛束の重さを量り、その後にしっかりタイプのワックス「N.オムスタイリングワックス <ハード>」を塗布し計量。そのワックスがべっとり付いた人毛をシャンプー&ドライして、再度計量。ワックスがどれくらい落ちたかで、ソープオブヘア1-ROの洗浄力をチェックしました。なお、洗浄時は予洗い20秒、シャンプー20秒、すすぎ20秒で行っています。

計量結果

元の毛ワックス塗布後洗浄後
2.112g2.234g2.112g

洗浄前2.112gだった毛束が、ワックス塗布後2.234gで、ソープオブヘア1-ROで洗浄&乾燥後2.112gともとに戻りました。べっとり塗ったワックスがきちんと落ちており、洗浄力があると言っていいでしょう。

洗浄前後の肌の水分量の変化

肌にとっても髪にとっても、潤って水分量の多い状態が良いですよね。そこでシャンプー前と後で、肌の水分量がどう変化するか、業務用の精密機器を使用して2分おきに計測しました。天候や湿度によって結果が左右されることを鑑みて、日程を変えて3回行い中間の結果を正としました。さらに、2分毎の計測の度に3回ずつ計り、その平均をグラフにしています。

通常、洗浄直後は肌が潤うので水分量が上がり、その後急激に乾燥するため水分量が下がります。そして下がりきった後、肌の再生機能で元の水分量に戻っていきます。重要なのは、一番下がった時の値が、洗浄前と比べてどのくらい下がるかです。それでは検証結果をご覧ください。

洗浄前は肌の水分量の平均は66.7で、洗浄直後は76.0まで上がりました。その後、71.3→69.3→68.7と下がっていきました。8分後、10分後で数値が上がりますが、その後また下がり、洗浄後一番水分量が低くなったのは16分後の68.0となりました。

通常では洗浄前より水分量が下がりますが、ソープオブヘア1-ROは、一番下がった時で+1.3と肌が乾燥せずに潤った状態であることが分かります。

タンパク質変性

卵白を使用したタンパク質変性のテストを実施。10mlの卵白に、38℃のぬるま湯で5倍に薄めたシャンプー剤を2ml投下し、30秒混ぜた後5分放置。シャンプー投入前後のビフォーアフターを写真で撮影しました。

ソープオブヘア1-ROはうっすらと白いモヤが見えますが、タンパク質変性率が高い時に見られる白濁した凝集物ほどではなく、タンパク質変性率は少なめと言って良いでしょう。

卵白のアルブミンタンパクでこの程度でしたら、髪の毛のケラチンタンパクでタンパク質変性が起こる心配はまず心配しなくて良いでしょう。

なお、タンパク質変性率が高いもので卵白はどうなるのかが気になる方は、タンパク質変性実験ページをご覧ください。今回の全35種類の実験結果が見ることができます。

50回洗浄した後の毛髪の手触り

人毛の毛束をホームカラーで染めた後に、ソープオブヘア1-ROでシャンプー→ドライヤーで乾かすという工程を約1カ月かけて50回繰り返しました。なお、コンディショナーやトリートメントは使用していません。

ソープオブヘア1-ROで洗浄&ドライを50回繰り返した毛束は、しっとりまとまりがありました。ただ特別手触りが良いというわけでもなく、評価としては平均ラインという所感に。

構成成分

  • ココイルグルタミン酸TEA
  • スルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na
  • コカミドプロピルベタイン
  • グリセリン
  • セテアレス-60ミリスチルグリコール
  • ポリクオタニウム-10
  • ココイル加水分解コラーゲンK
  • 加水分解ケラチン(羊毛)
  • 加水分解コラーゲン
  • ヘマチン
  • ポリクオタニウム-51
  • カンゾウ根エキス
  • ウイキョウ果実エキス
  • ホップエキス
  • カミツレ花エキス
  • セイヨウノコギリソウエキス
  • セイヨウヤドリギ葉エキス
  • メリッサ葉エキス
  • ダマスクバラ花油
  • (ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテル
  • PEG-60水添ヒマシ油
  • 塩化Na
  • クエン酸
  • リン酸2Na
  • エタノール
  • フェノキシエタノール
  • 安息香酸Na
  • メチルパラベン
  • 香料

シャンプーを含む化粧品は、全成分表示が義務付けられており、誰でも内容成分を確認することができます。含有量が1%を超える成分は含有量順に記載されていますで、成分表示の初めの方をチェックしていきましょう。

ココイルグルタミン酸TEA

ソープオブヘア1-ROで「水」の次に含有量が多いのは、ヤシ油脂肪酸とグルタミン酸からなるアミノ酸系アニオン界面活性剤「ココイルグルタミン酸TEA」。

この成分は、アミノ酸系洗浄成分の中でもとりわけ洗浄力が弱く、泡立ちも弱いという特徴を持ちます。髪への吸着性が高く、しっとりとした仕上がりになります。名前が似たもので「ココイルグルタミン酸Na」がありますが、ココイルグルタミン酸TEAはそれと比較しても、さらに脱脂力や洗浄力が低い洗浄成分です。

弱酸性で脱脂をしすぎないため、乾燥肌に向いていると言えますが、逆に汚れや皮脂が多い頭皮、整髪料をつけた髪では泡立ちが悪く、汚れを落としきれない場合があります。皮脂汚れが残ることで地肌のかゆみの原因になることも。そのため、通常他の補助界面活性剤と併用されます。

スルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na

4番目に多く配合されている「スルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na」は、アミノ酸系界面活性剤と硫黄系界面活性剤の中間的な位置にある陰イオン界面活性剤です。

アミノ酸系より洗浄力と泡立ちがよく、皮膚に対する刺激は中程度なので、よく汗をかく人やハード系のスタイリング剤を使用している髪、脂性の肌に向いています。

通常洗浄補助剤として配合される「ココイルグルタミン酸TEA」の洗浄力や起泡力の弱さを「スルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na」が補っている印象ですね。

コカミドプロピルベタイン

「コカミドプロピルベタイン」は、その使い勝手の良さから数多くのシャンプーに洗浄補助剤として配合されるベタイン系両性界面活性剤です。

単体としての洗浄力はマイルドで、高い増泡力と泡安定性を持ち、帯電防止効果によって指通りを改善すると言った効果を期待されます。また、刺激の強いアニオン界面活性剤と併用してその刺激を緩和させたり、液体にトロみを付与する増粘作用も。

グリセリン

優れた保湿性を持ち、多量に配合しても不快な感触が出ません。皮膚への刺激性も低く、その上安価なことから、国内の化粧品の約9割に配合されています。

5番目に保湿成分である「グリセリン」が配合されているのは好ポイントです。

セテアレス-60ミリスチルグリコール

「セテアレス-60ミリスチルグリコール」は植物系(ヤシなど)や動物系(クジラや牛)の脂肪酸から作られる成分。シャンプーなどにとろみをつけるための増粘剤として使用されることが多いです。

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優秀な保湿&毛髪保護成分を配合

保湿や毛髪保護効果があり、いわゆる「PPT」と呼ばれる「加水分解ケラチン(羊毛)」や「加水分解コラーゲン」が含まれています。

さらに「リピジュア」と呼ばれ保湿、ヘアコンディショニングに優れた作用が期待できる「ポリクオタニウム-51」が配合されていることから、乾燥毛やダメージ毛におすすめできます。

成分からかなり重めの使用感でしっとり系の仕上がりになることが予想されます。髪のパサつきや広がりが気になるダメージ毛の人にはおすすめできますが、脂性肌の方には向かないと考えられます。

美容師が自身の頭髪で洗った時の感想

神奈川県の美容室Anphiの現役美容師さんにシャンプーを自宅で一定期間使用してもらい、感想を教えてもらいました。なお、商品名やパッケージの印象に感想が左右されないように、トラベル用の使い捨て容器に入れたものを使ってもらっています。

スタイリストSAYAKA

髪質・肌質
剛毛/ブリーチ毛/普通肌
シャンプー選びのポイント
ブリーチを繰り返しているので、保湿とハイダメージの修復を第一に考えたシャンプー選びをしています。

マネージャー野口翔一朗

髪質・肌質
カラー毛/フケ・痒み
シャンプー選びのポイント
頭皮のフケ・痒みが気になるので、なるべくマイルドなものを選ぶようにしています。

洗っている時の使用感

美容師SAYAKA

スタイリング剤ががっつりついていてもしっかり泡立ち、洗い易かったです。すすぎ時もなめらかでちゅるんとした手触りで◎。

美容師野口翔一朗

シャンプーの液体自体がねっとり重い印象。泡立ちは良かったですが、泡残りが若干気になりました。

一週間以上使用しての髪や頭皮の状態

美容師SAYAKA

私の髪質は剛毛でハイトーンですが、こちらのシャンプーを一週間使用したところしっとりとまとまりました。ハイダメージ毛には合う気がします。

美容師野口翔一朗

髪はまとまって重めの仕上がりに。頭皮が若干痒くなりました。

香り

美容師SAYAKA

オーガニック系の香り。ちょっと癖があり、好みが分かれそう。

美容師野口翔一朗

香りが独特、かつ濃厚。好みではありませんでした。

総評

それでは最後に、ソープオブヘア1-ROの今回の実験についての評価をまとめます。なお、レーダーグラフの数値は今回実験した美容室専売シャンプー全35種類の中での相対評価。数値が高いほど評価が良いという意味です。

ソープオブヘア1-ROは、今回検証した35種類のシャンプーの中で一番のしっとり系のシャンプーで、まとまりのある重めの仕上がりとなります。そのため、ダメージ毛で髪が広がりがちな方や、何はともあれパサつきを抑えたいという方におすすめのシャンプーです。

高評価となった項目は泡量と、肌の水分量測定です。泡量測定では全35種類中ベスト3に入る結果となり、実際に使用したところ頭皮揉めばもむほどに泡立ち、洗いやすいシャンプーでした。

肌の水分量測定では、洗浄前と洗浄後での差異が+1.3で、こちらは全35種類中ベスト1となりました。

評価が伸び悩んだ項目は、残留性と香りです。残留性検査では、毛束を使った実験では問題なかったものの、すすいだ後に手にシャンプー剤が残っているような感触があったことから、点数が上がりませんでした。評価が二分されました。香りは癖があり、しかも強いため、今回の調査員は男女どちらも「好みでない」という評価に。

また、仕上がりも評価が分かれ3点どまりに。一週間以上使用してた髪や頭皮の状態を聞いたところ、ハイダメージ毛の方には「まとまった」と好評でしたが、頭皮に悩みがある方にとっては「痒くなった」という意見が出ました。

全体的にかなり特徴のあるシャンプーで、ある意味平均的なシャンプーよりも、記憶に残り易いシャンプーと言えそうです。

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