インプライムシルキーモイストβを全11項目で検証した結果は!?

更新日:2024/03/30
毛髪診断士由樹

美容室専売品シャンプーの「インプライムシルキーモイストβ」を美容室に取り入れるか検討している美容師さんやオーナーさんに代わって、実際に使用&実験を行い徹底解析しました。

検証項目は、液質&泡質・泡立ち・シャンプー残留性・洗浄力・水分量の変化・タンパク質変性・50回洗髪した後の毛髪の手触り・実際に人間の頭髪で洗った際の使用感・一週間以上使用しての髪や頭皮の状態・香り・成分の全11項目。毛髪診断士認定講師と美容師が忖度せずに公平公正に解析します!美容室専売シャンプーの購入を検討している一般のお客様もぜひご一読くださいね。

この記事を書いた専門家

毛髪診断士講師&日本化粧品検定特級・由樹

公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®講師、日本コスメティック協会のスキンケアマイスター兼、日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュを有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。

わずかにとろみがある液体&キメが細かくしっとりとした泡質

インプライムシルキーモイストを手に取ると、ほんの少しだけとろみがある無色透明の液体でした。泡立てネットで泡立ててみたところ、キメが細かくクリーミーでしっとりとした泡ができました。

泡立ち

泡立ち検査では、38℃のぬるま湯30mlにシャンプーを2.5ml入れて、電動泡立て器で2分間ブレンドし、どのくらいの泡の量が出来るのかを計測しました。計3回実施した結果、インプライムシルキーモイストは4.30㎝。全35種類の美容室専売シャンプーの平均は4.45㎝でしたので、インプライムシルキーモイストβは平均より泡量が少ないという結果に。

泡量検査では泡立てている2分間の間に初めの方の泡がヘタってしまい、数値が伸びませんでした。

シャンプー残留性

シャンプーはあくまでも汚れを落とすための洗浄成分で、どんなに刺激がマイルドな商品だとしてもシャンプー剤が頭皮や髪に残ってプラスになることはありません。そこで髪にシャンプーが残るかどうかの実験を行いました。

なにもつけていない人毛束の重さを量り、その後にインプライムシルキーモイストで洗浄&ドライして、再度計量。人毛にシャンプーがどのくらい残るのかを検査しました。より正確な値が出るように、0.001g単位で測れる風除け付きの計量器を使用しています。結果は写真のとおり、洗浄前1.981g→洗浄後1.981gとなり差異は0g。しっかりシャンプーが洗い流せていることが分かります。

残留性テストではシャンプー残りはありませんでしたが、手で泡立てると、すすいだ後も手にシャンプーが残るような感覚がありました。良く言えばしっとりしているということなのかもしれませんが、実際の頭髪は毛の生え際にシャンプーが残り易いので、しっかりとすすぐことをおすすめします。

洗浄力

続いて肝心の汚れを落とす洗浄力はどうなのかをチェックします。なにもつけていない人毛の重さを量り、その後にしっかりタイプのワックス「N.オムスタイリングワックス <ハード>」を塗布し計量。そのワックスがべっとり付いた人毛をシャンプー&ドライして、再度計量。ワックスがどれくらい落ちたかで、インプライムシルキーモイストの洗浄力をチェックしました。なお、洗浄時は予洗い20秒、シャンプー20秒、すすぎ20秒で行っています。

計量結果

元の毛ワックス塗布後洗浄後
2.032g2.256g2.032g

洗浄前2.032gだった毛束が、ワックス塗布後2.256gで、インプライムシルキーモイストで洗浄&乾燥後2.032gともとに戻りました。べっとり塗ったワックスがきちんと落ちており、洗浄力があると言っていいでしょう。

洗浄前後の肌の水分量の変化

肌にとっても髪にとっても、潤って水分量の多い状態が良いですよね。そこでシャンプー前と後で、肌の水分量がどう変化するか、業務用の精密機器を使用して2分おきに計測しました。天候や湿度によって結果が左右されることを鑑みて、日程を変えて3回行い中間の結果を正としました。さらに、2分毎の計測の度に3回ずつ計り、その平均をグラフにしています。

通常、洗浄直後は肌が潤うので水分量が上がり、その後急激に乾燥するため水分量が下がります。そして下がりきった後、肌の再生機能で元の水分量に戻っていきます。重要なのは、一番下がった時の値が、洗浄前と比べてどのくらい下がるかです。それでは検証結果をご覧ください。

インプライムシルキーモイストβで洗浄前は肌の水分量の平均は62.3で、洗浄直後は73.0までアップ。2分後には68.0まで下がり、その後67、65、64と水分量が徐々に下がっていき、10分後には63.3まで下がりました。10分後を過ぎると肌の水分量の変化は落ち着き、63.7~64をいったりきたりしました。

今回の実験では10分と比較的早い段階で肌の数値が洗浄前+1で落ち着き、それ以降下がりませんでした。この+1という数値は、全35種類の美容室専売シャンプーの中でも上位の結果です。

このことからインプライムシルキーモイストβは肌や髪にうるおいを与えられる、保湿性の高いシャンプーだといえます。

タンパク質変性

卵白を使用したタンパク質変性のテストを3回実施。10mlの卵白に、38℃のぬるま湯で5倍に薄めたシャンプー剤を2ml投下し、30秒混ぜた後5分放置。シャンプー投入前後のビフォーアフターを写真で撮影しました。

タンパク質変性率が高いものは白濁した凝集物がたくさんできますが、インプライムシルキーモイストはほどんど白濁した凝集物は見当たらず、卵白の透明度が高かいという結果に。今回の実験結果では、タンパク質変性率は少ないと判断しました。

今回はとても綺麗は結果でした。タンパク質変性率が高いもので卵白はどうなるのかが気になる方は、タンパク質変性実験ページをご覧ください。今回の全35種類の実験結果が見ることができます。

50回洗浄した後の毛髪の手触り

人毛の毛束をホームカラーで染めた後に、インプライムシルキーモイストで洗浄→ドライヤーで乾かすという工程を約1カ月かけて50回繰り返しました。

コンディショナーやトリートメントをせずに、シャンプー&ドライを50回繰り返した毛束は、通常パサついていることが想像できますが、インプライムシルキーモイストでシャンプー&ドライを50回した後の毛束は、まとまりがあってしっとりしている印象でした。

なお、元の毛髪の状態によって50回洗浄後の手触りは大きく左右されます。その為、同じ結果がどなたの髪でも起こるものではありませんので、その点はご了承ください。

構成成分

  • ラウロイルシルクアミノ酸K
  • コカミドプロピルベタイン
  • コカミドDEA
  • ラウロイルメチルアラニンNa
  • BG
  • 加水分解カゼイン(牛乳)
  • シア脂
  • 加水分解シルク
  • アルガニアスピノサ核油
  • トレハロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド
  • ハイブリッドサフラワー油
  • ダイズ種子エキス
  • イソアルキル(C10-40)アミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート
  • ヒメフウロエキス
  • ジラウロイルグルタミン酸リシンNa
  • ポリクオタニウム-51
  • (メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー
  • ノバラエキス、ラベンダーエキス、ローズマリーエキス、タイムエキス、セイヨウノコギリソウエキス
  • セージエキス
  • セラミド2
  • コレステロール
  • グリコシルトレハロース
  • 加水分解水添デンプン
  • ココイルアルギニンエチルPCA
  • クオタニウム-18
  • クオタニウム-33
  • セテアレス-60ミリスチルグリコール
  • PEG-20ソルビタンココエート
  • ポリクオタニウム-10
  • グリセリン
  • DPG
  • PG
  • クエン酸
  • クエン酸Na
  • EDTA-2Na
  • メチルクロロイソチアゾリノン
  • メチルイソチアゾリノン
  • フェノキシエタノール
  • メチルパラベン
  • プロピルパラベン
  • 香料

シャンプーを含む化粧品は、全成分表示が義務付けられており、誰でも内容成分を確認することができます。含有量が1%を超えるものは、多く含まれている成分順に記載することが義務付けられているので、成分表示の初めの方をチェックしていきましょう。

ラウロイルシルクアミノ酸K

インプライムシルキーモイストβで「水」の次に多く配合されているのは「ラウロイルシルクアミノ酸K」。シルク(絹)を加水分解して得られるアミノ酸を素に作られている洗浄成分で、アミノ酸系の洗浄成分よりさらに高価な成分です。

クリーミーな泡質で適度な洗浄力があり、髪や頭皮の潤いを保ちながら洗えます。シルクに含まれる吸着性、保湿性の高いタンパク質が、傷んだキューティクル表面の凹凸を整え滑らかな手触りに仕上がります。ダメージヘアにおすすめの洗浄成分です。

一方で洗浄力はとても低いため、単体だとスタイリング剤を付けている方には不向きです。

コカミドプロピルベタイン

「コカミドプロピルベタイン」は、非常に多くのシャンプーで洗浄補助剤として配合されるベタイン系両性界面活性剤です。

単体としての洗浄力はマイルドで、高い増泡力と泡安定性を持ち、強い洗浄力の洗剤と組み合わせて使うことで洗浄力を穏やかにしたり、帯電防止効果によって指通りを改善するといった効果が期待されます。また、液体にトロみを付与する増粘作用も。

コカミドDEA

「コカミドDEA」も「コカミドプロピルベタイン」同様、洗浄補助剤として配合される成分です。単体としては洗浄力はそれほど強くなく、主にアニオン界面活性剤と組み合わせて泡立ちをよくしたり、クリーミーできめの細かい泡にするために洗顔料やシャンプーに配合されます。また、水分の粘度を調整する作用もあるため、使用感が良くなるという特徴があります。

皮膚刺激を有するアニオン界面活性剤と組み合わせると、その刺激性を低下させることも報告されています。

その一方で、シャンプー製品に配合する場合は髪にきしみ感が残る場合がありますが、この問題は「ポリクオタニウム-10」などカチオン化セルロースを併用することで解決できることが知られています。

インプライムシルキーモイストβにもしっかり「ポリクオタニウム-10」が配合されていますので、基本的にきしみ感を心配する必要はないでしょう。

一方で実際にシャンプーを使用した人の中には「洗髪時やドライヤーの時にキシキシした。」と感じた方もいらっしゃいました。その方は剛毛&ブリーチ毛でしたので、同じタイプの方はきしみを感じるかもしれません。

ラウロイルメチルアラニンNa

次に多く配合されているのは、洗浄成分であるアミノ酸系のアニオン界面活性剤「ラウロイルメチルアラニンNa」。

洗浄力とコンディショニング効果のバランスが良く、皮脂を取りすぎずに洗えます。単体ではさほど起泡力はありませんが、弱酸性下で両性界面活性剤と同時に配合すると泡立ちが非常によくなります。また、泡質がクリーミーで、コンディショニング効果もあることから、洗髪中の髪の指通りが良くなることが期待されます。

BG

「BG」は保湿成分で、かつ菌が育ちにくい環境をつくる働きに優れているため、BGを配合すると少ない防腐剤で品質を保つことができるという特徴を持ちます。そのためさまざまな化粧品に配合されますが、シャンプーでこのくらい前の方に書かれているのは珍しいです。

保湿成分である「BG」の配合割合が高いシャンプーは、他の配合成分を見ても肌や髪に配慮したものが多いです。このインプライムシルキーモイストβもその一つで、タンパク質系アニオン界面活性剤の「ラウロイルシルクアミノ酸K」をメインの洗浄成分としている点からも、肌や髪へのやさしさを考えたシャンプーだと言えます。

「加水分解シルク」「加水分解カゼイン(牛乳)」などの毛髪補修&保護成分配合

「BG」のすぐ後ろに表記されている「加水分解シルク」や「加水分解カゼイン(牛乳)」はいずれも、保湿作用や毛髪補修、保護作用があり、いわゆる「PPT」と呼ばれる成分の一つです。

キューティクルの表面の凹凸を整えなめらかにし、髪にツヤを与えてくれますので、髪のパサつきやダメージが気になる人におすすめの成分です。

メインの洗浄成分からサブの成分まで、全体的にとてもしっとりしてまとまりのある髪にしたい方向けの成分構成です。インプライムはこのシルキーモイストβの他に、スムースがあり、そちらも他社製品と比べると重めのテクスチャー&仕上がりですが、このシルキーモイストはそれよりさらに重め。

ダメージ毛で髪のパサつきや広がりがとても気になる方、かつまとまりのある仕上がりが好みの方向きのシャンプーです。

美容師が自身の頭髪で洗った時の感想

神奈川県の美容室Anphiの現役美容師さんにシャンプーを自宅で一定期間使用してもらい、感想を教えてもらいました。なお、商品名やパッケージの印象に感想が左右されないように、トラベル用の使い捨て容器に入れたものを使ってもらっています。

スタイリスト&店長JUNPEI

髪質・肌質
カラー毛/乾燥肌/フケ・痒み
シャンプー選びのポイント
泡立ち、使用感、香り、仕上がり、価格、頭皮に異常が出ないかどうかで総合的に判断しています。

スタイリストSAYAKA

髪質・肌質
剛毛/ブリーチ毛/普通肌
シャンプー選びのポイント
ブリーチを繰り返しているので、保湿とハイダメージの修復を第一に考えたシャンプー選びをしています。

スタイリスト力武涼子

髪質・肌質
ブリーチ・ダメージ毛/普通肌
シャンプー選びのポイント
ブリーチの繰り返しで髪にダメージがあるので、それをカバーしてくれるかどうかを重視しています。

洗っている時の使用感

美容師純平

泡立ち、泡切れ共に良かったです。泡質はしっとりとしていて、テクスチャーは重め。

美容師SAYAKA

オイルを付けているとあまり泡立たなかったです。

美容師力武

泡シャンプー後の洗い流しの時、しっとりうるおいがあります。愛用しているコタシャンプーよりも良いと感じました。

一週間以上使用しての髪や頭皮の状態

美容師純平

私は合わないシャンプーだと頭皮に痒みが出るのですが、このシャンプーを使用中は痒みが出ず、髪はまとまる感じで良かったです。

美容師SAYAKA

私はブリーチ毛でかつ毎日アイロンをするので髪がパサつきがちなのですが、このシャンプーを使っている間は比較的パサつきが気にならず、まとまりがありました。

美容師力武

ダメージで硬くなった毛がやわらかくなりました。しっとり手触りがよくまとまりがある感じ。今までで一番良かったです!

香り

美容師純平

スタンダードな香りで、嫌いではありません。適度に香りが残るのは良いですね。

美容師SAYAKA

ちょっと昔によくあったシャンプーの香り。

美容師力武

柑橘系のさわやかな香りなので、苦手な人は少ないそう。

総評

それでは最後に、インプライムシルキーモイストβの今回の実験についての評価をまとめます。なお、レーダーグラフの数値は今回実験した美容室専売シャンプー全35種類の中での相対評価で、数値が高いほど評価が良いという意味です。

「シルキーモイスト」という商品名のとおり、シルク由来のタンパク質系アニオン界面活性剤「ラウロイルシルクアミノ酸K」がメイン洗浄剤として水の次に多く配合されています。クリーミーな泡質が髪の毛を包み込んで、シルクに含まれる吸着性、保湿性の高いタンパク質が、傷んだキューティクル表面の凹凸を整え、滑らかな手触りに。

泡量検査では数値が平均以下でしたが、弱酸性下において起泡力が高まる界面活性剤が配合されているため、実際の頭皮で泡立てる時の使い心地としては「泡立ちが良かった」という感想も。

肌の水分量検査では洗浄前と比べ+1と、今回実験した全35種類の中でもベスト3に入る良い数値に。「加水分解シルク」や「加水分解カゼイン(牛乳)」などの毛髪補修&保護成分が配合されていることもあり、髪にうるおいを与え、しっとりまとまる仕上がりになります。

香りは昔ながらの薬品っぽいシャンプーの香りで、評価は分かれましたが、ダメージヘアで髪の毛のパサつきや広がりが気になる方にはおすすめしたいシャンプーです。

関連記事