Recruit

美容室は商標登録すべき?方法や費用、しない場合のリスクとは?

更新日:2022/07/29
美容室社長中村英二

美容室は商標登録をすべきなのでしょうか?しなかった場合に起こりうるトラブルやリスク、商法登録の流れ、美容室の場合の登録区分、かかる費用まで、詳しく解説します。

商標登録とは?

商標登録とは、店舗名や商品名とそのロゴを特許庁に登録することです。審査の結果、登録が認められ、特許庁に登録料金を納付することで、商標登録されます。

商標登録完了後、商標登録出願をした出願人に「商標権」が付与され、「商標権者」は、権利の範囲内で登録した商標を独占して使うことができます

また、他人が同一・類似の商標を使うことを禁止することができます。この商標権の効力は、日本全国に及びます。

美容室ビジネスでは、美容室名やオリジナル商品名とそのロゴを商標登録するのがポピュラーです。

ご自身が経営する美容室の名前を商標登録しておけば、同じ名前の美容室に対して「その名称は私が商標権を持っているので使用を禁止します。」と警告することができます。

美容室の商標登録の例

実際に美容室で商標登録している事例を見てみましょう。商標登録の状況は、特許情報プラットフォームで公開されており、誰でも閲覧が可能です。

登録番号 商標見本 商標 区分 権利者 登録日
登録6473795 AFLOAT 41 株式会社エターナル 2021/11/19
登録5175850 §EARTH 44 ビックモア株式会社 2008/10/24
登録3008187 TAYA 42 株式会社田谷 1994/10/31
商願2020-136257 ASH 3、35、41、44 株式会社アルテ サロン ホールディングス 出願中
登録6528465 hair salon\amie 44 株式会社Ashanti 2022/03/15
登録6164020 A∞HAIR SALON\gu. 3、35、37、44、45 B-first株式会社 2019/07/19
※2022年7月1日時点

大手美容室チェーンは大抵商標登録されていますね。ちなみに、私が経営している美容室Anphiも1店舗目オープン時から商標登録をしております。

美容室が商標登録をしなかった場合に起こりうるトラブル

ここで、商標登録をしなかった場合に起こりうるトラブルについて考えてみましょう。

同じ名前の美容室ができても使用禁止にできない

あなたが商標登録をせずに美容室を運営していた場合、後から同じ名前の美容室が登場しても文句は言えません。もし、近隣にできてしまった場合でも使用禁止にする権利はないのです。

そのため、お客様が間違えて予約をするなんてこともありえます。また、関連店だと誤解されて、無関係なお店の苦情があなたの元へくる可能性もあります。

あなたのお店がSNSなどでちょっとした人気店になった場合には、あなたのお店の知名度を利用して、同じ名前の店舗を作ったり、その店名の美容商品を作って販売されたり、なんていうことも考えられます。

ブランドイメージの棄損

先の例のように、同じ店舗名の美容室ができたり、その店名がついた商品やサービスの販売が開始されてしまった場合、あなたがそれまで築いてきた美容室のブランドイメージが損なわられる可能性があります。

せっかくそれまで「〇〇美容室=おしゃれでクオリティの高いお店」だったのが 「〇〇美容室=クオリティの低いお店」 とお客様から思われてしまうリスクがあるということです。

美容室名の変更を余儀なくされる

商標登録は早いもの勝ちの制度です。お店を作った順番ではなく、登録した順番が早い方が勝ちです。

その為、もしあなたが長年美容室を経営していたとしても、商標登録をしていなければ、ある日突然店名を使用禁止にするよう警告が送られてきて、愛着のあった店名の変更を余儀なくされる可能性があります。さらに、商標権侵害として損害賠償を請求されることもあります。

店名を変更したら、お客様から違うお店になったのかな?と誤解されてしまい、失客に繋がる可能性もありますね。

店名変更に伴う費用の発生

店名の変更を余儀なくされた場合、ロゴや看板、印刷物、ホームページなどさまざまなものを変更しなければならず、かなりの費用がかかってしまいます。店舗数が多ければ多いほど、出費は多くなりますね。

20年以上営業していた美容室の店名を変えざるを得なくなった「cache事件」

実際に、美容室で商標権を行使されて、20年以上使用していた店名を変えざるを得なくなった事例があります。

この事件では、被告の方が先に「chache」という名前の美容室を開業し長く営業していましたが、後に原告が美容室「chache」を開業し、原告が「chache」で商標登録を行いました。

その後、原告は被告に対して店名「chache」を変更するように申し入れを行い、被告は美容室名「cache(カーシェ)」を「aise エゼ」に変更する旨の届出を行ったそうです。

「自分の美容室は1店舗で特に目立たないし、気にしなくて良いだろう。」と考えていても、インターネットの普及でお店の名前が簡単に調べられるようになった昨今、もし勢いのある美容室の会社がたまたまあなたのお店の名前と一緒だったら、愛着のあった店名を変更せざるを得なくなるかもしれません…。

商標登録の流れ

商標登録にはどのような手続きが必要なのでしょうか?流れを見ていきましょう。

特許庁のホームページで既に登録がないか確認

まずは、あなたが使いたい店名が既に登録されていないかを、特許情報プラットフォームで確認しましょう。

特許庁へ商標登録願を提出

確認が済んだら、特許庁へ商標登録願を提出しましょう。商標出願と言います。自宅や会社等のパソコンからオンラインで行う方法(電子手続)と書面(特許庁へ持参又は郵送)で行う方法があります。

審査

出願後に特許庁の審査官による審査が行われます。この審査期間は近年の出願件数増加の影響で年々延びており、2022年現在で約5~10カ月かかるといわれています。

特許庁の審査に通ると『登録査定』が届く

特許庁の審査にて問題がなければ『登録査定』が届きます。一方、審査において、登録できない理由があると、審査官が判断した場合は、『拒絶理由通知』が届きます。

拒絶理由通知に対しては、特許庁に意見書を提出して商標登録されるべき理由を主張したり、手続補正書を提出して商品やサービスを補正したりすることができます。

登録料を納付&登録完了

登録査定が届いてから30日以内に登録料を納付すれば、商標登録がなされます。

商標登録にかかる費用

商標登録の費用はどのくらいかかるのでしょうか?ご自身で全ての手続きをする場合と、専門家に依頼する場合に分けて説明します。

自身で出願をする場合

商標には「出願時の費用」「登録時の費用」というものが存在します。

出願する際に発生する費用3,400円+(区分数×8,600円)
登録料を納付する際に発生する費用区分数×28,200円(10年分の一括納付)
区分数×16,400円(5年分毎の分割納付)

上記の表の通り、費用は商標登録願で指定する商品・サービスの「区分の数」によって変わってきます。区分の数が1つなら、自身(もしくは自社)で出願をする場合に発生する費用は下記の通りです。

3,400円+8,600円+28,200円=41,200円

商品・サービスの種類が増えれば、もちろんそれにあわせて費用も増えていきます。

専門家に依頼して商標登録する場合

弁理士事務所や特許事務所といった専門家に依頼する際には、先の費用に加え『特許事務所の手数料』が発生します。

特許事務所によって料金体系はまちまちですが、だいたい10~15万円ほどです。区分の数が増えればその分手数料も増えるのが一般的です。また、特許庁から拒絶理由を通知された場合には、その対応の為の手数料も発生することがあります。

美容室の区分

続いて、美容室の場合「区分」は何にするべきなのか、確認していきましょう。

第44類・「美容・理容」「ネイルアート」

まず、美容室の場合に必須の区分は「第44類」の区分に含まれる「美容・理容」です。美容室内でネイルも行っている場合は同じ第44類に含まれる「ネイルアート」を追加しましょう。

第44類・「美容及び理容に関するコンサルティング及び指導」

美容室経営の指導やコンサル事業も行う場合は、同じ第44類に含まれる「美容及び理容に関するコンサルティング及び指導」なども記載するといいでしょう。

第41類・「美容の教授」「理容・美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」

店舗内外の美容師向けにセミナーを開催しているような場合は、「第41類」の区分を追加して、これに含まれる「美容の教授」、「理容・美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」を記載しましょう。

第45類・「着物の着付け」

成人式向けの着付けのサービスにも力を入れている場合は、「第45類」のクラスを追加して、これに含まれる「着物の着付け」を記載するのも良いでしょう。

第3類・「シャンプー」や「ヘアトリートメント」

OEMで作ったシャンプーやトリートメントなど、店舗オリジナル商品を販売しているような場合は、「第3類」のクラスを追加し、これに含まれる「シャンプー」や「ヘアトリートメント」等を記載することもご検討下さい。

有効期間

商標登録の有効期間は、商標登録の日から10年間です。更新登録の手続きを行わない場合は、商標権が消滅することになります。

更新するためには、存続期間の満了前6ヶ月から満了の日までに、特許庁に更新登録料を支払って、更新手続きを行ってください。

商標登録は何度でも更新することが可能ですので、更新登録の手続きを行っている限り、半永久的に権利を存続させることができます。

美容室が商標登録するメリット・デメリットまとめ

最後に美容室が商標登録するメリット・デメリットをまとめておきます。

美容室が商標登録をするメリット

美容室が商標登録をするデメリット

商標登録を取る目的は主に【攻撃的商標登録】と【防御的商標登録】に分けられます。

美容室及びヘアサロンビジネスは属人性が強く、お店の看板よりも【人】で売ってる要素が強いので、あまり商標を考えていない美容室オーナーさんが多い印象です。

ただ、経営者になったら【もしもの時】のシュミレーションは常にしておいた方が良いと思います。

Anphiと言う美容室名もネットで検索すると他にも色々出て来ますが、うちは【防御的商標登録】の意味合いでAnphiの屋号を取得しております。

なるべくトラブルがないようなサロン運営をみんなで心掛けて行きましょうね!

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

関連記事