スプリナージュジェントルモイストを全11項目で徹底検証!
美容室専売品シャンプーの『スプリナージュジェントルモイスト』を美容室に取り入れるか検討している美容師さんやオーナーさんに代わって、実際に使用&実験を行い徹底解析しました。
検証項目は、泡立ち・液質&泡質・シャンプー残留性・洗浄力・水分量の変化・タンパク質変性・50回洗髪した後の毛髪の手触り・実際に人間の頭髪で洗った際の使用感・一週間以上使用しての髪や頭皮の状態・香り・成分の全11項目。毛髪診断士認定講師と美容師が忖度せずに公平公正に解析します!美容室専売シャンプーの購入を検討している一般のお客様もぜひご一読くださいね。
この記事を書いた専門家
公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®講師、日本コスメティック協会のスキンケアマイスター兼、日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュを有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。
とろみのある液体&弾力はなくへたりやすい泡質
スプリナージュジェントルモイストを手に取ると透明なオレンジ色の液体で、感触としてはとろみがあり、粘り気も若干ありました。
泡立てネットで泡立ててみたところ、泡の粒が大きめかつ弾力のないへたり易い泡ができました。洗い流した後に手や髪にシャンプーが残る感じはなく、すすぎ性は良い印象です。
泡立ち
泡立ち検査では、38℃のぬるま湯30mlにシャンプーを2.5ml入れて、電動泡だて器で2分間ブレンドし、どのくらいの泡の量が出来るのかを計測しました。計3回実施した結果、スプリナージュジェントルモイストは4.50㎝。全35種類の美容室専売シャンプーの平均は4.45㎝でしたので、スプリナージュジェントルモイストは平均より少し良いという結果に。
同シリーズのスプリナージュパフスムースと比べて泡立ちが良かったです。
シャンプー残留性
残留性テストでは、頭髪にシャンプーが残ってしまわないかを検証します。なにもつけていない人毛束の重さを量り、その後にスプリナージュジェントルモイストで洗浄&ドライして再度計量。人毛にシャンプーがどのくらい残るのかを検査しました。より正確な値が出るように、0.001g単位で測れる風除け付きの計りを使用しています。
結果は写真のとおり、洗浄前1.986g→洗浄後1.986gとなり差異は0g。残留性は無しとの判定となりました。
実際に頭髪で洗ったときの感触としても、すすぎ性が良好で残った感じがありませんでした。
洗浄力
続いてシャンプーのメインの役割である汚れをどのくらい落とせるのかをチェックします。なにもつけていない人毛の重さを量り、その後にしっかりタイプのワックス「N.オムスタイリングワックス <ハード>」を塗布し計量。
ワックスがべっとり付いた人毛をシャンプー&ドライして、再度計量。
ワックスがどれくらい落ちたかで、スプリナージュジェントルモイストの洗浄力をチェックしました。なお、洗浄時は予洗い20秒、シャンプー20秒、すすぎ20秒で行っています。
計量結果
元の毛 | ワックス塗布後 | 洗浄後 |
---|---|---|
2.116g | 2.390g | 2.116g |
洗浄前2.116gだった毛束が、ワックス塗布後2.390gで、シャンプー浄&乾燥後2.116gともとに戻りました。べっとり塗ったワックスがきちんと落ちており、洗浄力があると言っていいでしょう。
洗浄前後の肌の水分量の変化
肌にとっても髪にとっても、潤って水分量の多い状態が理想です。そこでシャンプー前と後で、肌の水分量がどう変化するか、業務用の精密機器を使用して2分おきに計測しました。日程を変えて3回行い、平均をグラフにしています。
通常、洗浄直後は肌が潤うので水分量が上がり、その後急激に乾燥するため水分量が下がります。そして下がりきった後、肌の再生機能で元の水分量に戻っていきます。重要なのは、一番下がった時の値が、洗浄前と比べてどのくらい下がるかです。それでは検証結果をご覧ください。
洗浄前は肌の水分量の平均は64.7で、洗浄直後は72.3までアップ。2分後には一気に67.3まで下がり、その後67~66をいったりきたりしました。洗浄後一番水分量が低くなったのは16分後の64.7と、洗浄前と変わらない数値でした。
多くのシャンプーが洗浄前より乾燥しがちな中、スプリナージュジェントルモイストは水分量をキープ。このことから肌や髪の毛の潤いを保ちながら洗えるシャンプーという判定になりました。
タンパク質変性
卵白を使用したタンパク質変性のテストを3回実施。10mlの卵白に、38℃のぬるま湯で5倍に薄めたシャンプー剤を2ml投下し、30秒混ぜた後5分放置。シャンプー投入前後のビフォーアフターを写真で撮影しました。
タンパク質変性率が高いものは白濁した凝集物がたくさんできますが、スプリナージュジェントルモイストはほどんど白濁した凝集物は見当たらず、うっすら白いモヤが見える程度。今回の実験結果では、タンパク質変性率は少ないと判断できます。
卵白のアルブミンタンパクでこの程度でしたら、髪の毛のケラチンタンパクでタンパク質変性が起こる心配はまず心配しなくて良いでしょう。
なお、タンパク質変性率が高いもので卵白はどうなるのかが気になる方は、タンパク質変性実験ページをご覧ください。今回の全35種類の実験結果が見ることができます。
50回洗浄した後の毛髪の手触り
人毛の毛束をホームカラーで染めた後に、スプリナージュジェントルモイストで洗浄→ドライヤーで乾かすという工程を約1カ月かけて50回繰り返しました。
50回洗浄&ドライを繰り返した毛束は、毛先には多少パサつきを感じるものの、大きく広がっていることはなく、悪くない手触りでした。
構成成分
- 水
- ラウロイルメチルアラニンNa
- ラウラミドプロピルベタイン
- ココイルメチルタウリンNa
- ヘマトコッカスブルビアリス油
- スクワラン
- アルガニアスピノサ核油
- プラセンタエキス
- マカデミアナッツ油
- コンフリー葉エキス
- ベルガモット果実油
- コメ胚芽油
- ローズマリー油
- ユーカリ葉油
- ラベンダー油
- テレビン油
- ローマカミツレ花油
- マヨラナ葉油
- ベタイン
- グリチルリチン酸2K
- DPG
- ジステアリン酸PEG-150
- クエン酸
- ラウリルグルコシド
- PEG-50水添ヒマシ油
- ポリクオタニウム-10
- ラウレス-16
- BG
- ポリクオタニウム-52
- トコフェロール
- EDTA-2Na
- ヒドロキシプロピルシクロデキストリン
- メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
- ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
- クエン酸Na
- BHT
- フェノキシエタ ノール
- ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル
- 香料
シャンプーを含む化粧品は全成分表示が必須で、誰でも内容成分を確認することができます。含有量が1%を超えるものは、多く含まれている成分順に記載することが義務付けられているので、成分表示の初めの方をチェックしていきましょう。
ラウロイルメチルアラニンNa
スプリナージュジェントルモイストで「水」の次に多く配合されているのは、ラウリン酸とアラニンからなるアミノ酸系のアニオン界面活性剤「ラウロイルメチルアラニンNa」です。
皮脂を取りすぎない適度な洗浄力と脱脂力を有しながら、洗浄成分としては比較的低刺激とバランスの良い成分です。また弱酸性下において泡立ちがとても良く、泡質がクリーミーであるのが特徴です。
さらに、コンディショニング効果があるため、指通りが良く滑らかな洗い上がりが期待できます。
ラウラミドプロピルベタイン
3番目に多く配合されているのは「ラウラミドプロピルベタイン」で、ラウリン酸と脂肪酸のアミドアミンを合成して得られる両性界面活性剤です。メイン洗浄剤の泡立ちや粘度を調整したり、コンディショニング効果を与えるなど補助洗浄剤として用いられる成分です。アニオン界面活性剤と併用することできめが細かく、ふわふわとした大きな泡を作れるようになります。
「コカミドプロピルベタイン」の次に多く配合されているのは、アミノ酸系のアニオン界面活性剤「ラウロイルメチルアラニンNa」。
洗浄力とコンディショニング効果のバランスが良く、皮脂を取りすぎずに洗えます。また、単体ではさほど起泡力はありませんが、弱酸性下で両性界面活性剤と同時に配合すると泡立ちが非常によくなります。また、泡質がクリーミーで、コンディショニング効果もあることから、洗髪中の髪の指通りが良くなることが期待されます。
ココイルメチルタウリンNa
4番目に多く配合されているのはタウリン系アニオン界面活性剤の「ココイルメチルタウリンNa」。皮脂を取りすぎることのない適度な洗浄力があり、頭皮や毛髪の潤いを保ちながら、髪のまとまりも損なわずにふんわりと仕上がります。
「ココイルメチルタウリンNa」はアニオン界面活性剤の中では比較的刺激性が低いとされ、頭皮のフケや痒みが気になる方や、ヘアカラーのダメージや退色が気になる方におすすめの洗浄成分。乳化作用もあるため、乳液や美容液などの洗い流さない化粧品に使用されることもあります。
保湿成分が高配合
成分表示で5、6番目と8番目という比較的前の方に「ヘマトコッカスブルビアリス油」や「スクワラン」、「プラセンタエキス」などの保湿成分が配合されており、髪や頭皮の潤いを保ちながら洗えそう◎髪のパサつきが気になる方におすすめしたいシャンプーですね。
精油が複数種類ブレンドされている
「スプリナージュジェントルモイスト」には「ベルガモット果実油」「ローズマリー油」「ユーカリ葉油」「ラベンダー油」「テレビン油」といった精油が複数種類ブレンドされています。
精油はアロマトリートメントなどでも用いられるようにさまざまな薬効が期待できますが、植物エキスと比べて成分が凝縮されていることから刺激ににもなり得ます。もちろん1、2種類でかつ健康な肌の人でしたら、シャンプーに配合されるのはごく少量なので問題ありません。
しかし、このシャンプーのように複数種類がブレンドされていると、敏感肌の人にとっては刺激になるリスクが高まります。そしてもし刺激になった場合、複数種類ブレンドされているがためにどれが自分に合わなかったのかを特定するのが難しいので、あまりおすすめできません。
また、これらは全て香料としても使われる成分で、香りがあります。天然の香料というと聞こえは良いですが、これだけの種類がブレンドされると複雑な香りになり、好みが分かれそうです。
スプリナージュパフスムースよりも保湿成分の配合量が多く、比較的しっとりとした洗い上がりになりそうな成分構成です。
抗酸化作用がある「ヘマトコッカスブルビアリス油」や、保湿作用のある「スクワラン」「プラセンタエキス」などが配合されており、普通~乾燥肌の人、髪のパサつきやダメージが気になる人におすすめできます。
一方で「ベルガモット果実油」「ローズマリー油」「ユーカリ葉油」「ラベンダー油」「テレビン油」など精油が複数種類ブレンドされており、敏感肌の人にとってはいずれかがアレルゲンとなる可能性もあるため、あまりおすすめできません。
美容師が自身の頭髪で洗った時の感想
神奈川県の美容室Anphiの現役美容師さんにシャンプーを自宅で一定期間使用してもらい、感想を教えてもらいました。なお、商品名やパッケージの印象に感想が左右されないように、トラベル用の使い捨て容器に入れたものを使ってもらっています。
スタイリスト井上夢那
髪質・肌質 |
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軟毛/細毛/カラー毛/普通肌 |
シャンプー選びのポイント |
軟毛かつ細毛なので、ボリュームを落とし過ぎないものを選ぶようにしています。 |
洗っている時の使用感
そんなに泡立たない印象でした。
一週間以上使用しての髪や頭皮の状態
髪はサラサラの仕上がりで、手触りも良かったです!!オーガニックぽいから髪にも良さそう。
香り
オーガニック?あまり好みの香りではなかったです…。持続は少ない感じ。
総評
それでは最後に、スプリナージュジェントルモイストの今回の実験についての評価をまとめます。なお、レーダーグラフの数値は今回実験した美容室専売シャンプー全35種類の中での相対評価。数値が高いほど評価が良いという意味です。
泡のキメは大きく、弾力のないへたり易い泡で、特にスタイリング剤を付けていると泡立ちにくい印象のシャンプーで、泡質や使用感は点数が伸びませんでした。
「ヘマトコッカスブルビアリス油」や「スクワラン」、「プラセンタエキス」などの保湿成分がしっかり配合されていることもあり、肌の水分計測では肌のうるおいをキープできるという結果に。タンパク質変性テストの結果も良好。
適度な洗浄力がありながらコンディショニング効果もる「ラウロイルメチルアラニンNa」と、バランスがよくおすすめの成分である「ココイルメチルタウリンNa」が配合されており、髪の毛の仕上がりはサラサラで良い手触りとなり高評価に。
「ベルガモット果実油」「ローズマリー油」「ユーカリ葉油」「ラベンダー油」「テレビン油」といった精油が複数種類ブレンドされている為か、複雑な香りで、残念ながら今回の被験者には不評でした。またこれらの精油は、植物エキスと比べると濃度が濃く、健康な頭皮の人には全く問題ありませんが、敏感肌の人にとっては刺激になる可能性も。