シェアサロン

シェアサロンとは?働く美容師のメリット・デメリットや業務委託サロンとの違い

更新日:2024/02/19
美容室社長中村英二

話題の「シェアサロン」って実際はどういうところ?働く美容師にとってのメリット・デメリットや、有名6社の料金比較、どんな美容師にとって合っているのか、業務委託サロン・個人独立との違いなどを詳しく解説します。

シェアサロンとは?

シェアサロンとは読んで字のごとく「シェア」する「サロン」で、一つの美容室空間を色々な美容師と区画を分けてシェアするという形態です。月単位、日単位、時間単位で細かく区切って借りることができます

美容師はお店に所属せず、「フリーランス美容師」としてシェアサロンの一画を借りて利用料を支払い、お客様の施術を行います。

面貸しサロンとは異なる

よく「面貸し」と一緒ではないのか?とおっしゃる方もいらっしゃいます。「面貸し」は正社員の美容師が働く通常の美容室の1席を借りるシステムです。一方で、シェアサロンはお店全ての席が借りられることを想定した美容室です。

近年シェアサロンは急増している

シェサロンの数はここ数年で急増しています。中でもシェアサロン最大手のGO TODAY シェアサロンは、2017年11月に1号店目をオープンした後、2024年1月現在で38店舗まで急増しました。

他にも、通常の美容室を20店舗以上運営する株式会社storageもシェアサロンビジネスに参加。現在シェアサロンJAMを13店舗運営しており、美容室業界全体でシェアサロンへの注目が高まっていることが分かります。

2020年に株式会社GO TODAY SHAiRE SALONがTSUTAYAで有名なカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)から総額10億円の資金調達をしたというニュースは業界に衝撃を与えました。

あの頃から美容室オーナーたちもよりシェアサロンビジネスに注目するようになりましたね。

シェアサロンのメリット

サロンで楽しそうに働く美容師

月単位、日単位、時間単位で細かく区切って借りることができる

シェアサロンは、月単位、日単位、時間単位で細かく区切って借りることが可能な点が最大の特徴です。契約は月単位で、プランによって週に何回使えるか、土日祝も使えるかが異なるというサロンが多いです。

会社に縛られない自由な働き方が可能となる

シェアサロンを利用する美容師は雇われているわけでなく、あくまでも区画を借りている個人事業主です。その為、会社やお店のルールに縛られない自由な働き方が可能となります。朝礼、終礼、ミーティングなどももちろんありませんし、後輩の指導に時間を費やす必要もありません。

もちろん、Wワークも自由にできます。また、独立を控えていて指名顧客を多く抱えている美容師にとっては、1~2カ月のみの利用が可能なのが利点です。

通常の美容室に勤めている場合は辞める際も、「顧客やスタッフ引き抜き禁止」や「近隣にお店を出すのは禁止」というルールがあったり、「後任を育ててからじゃないと辞めてはいけない」「人手不足で今辞められると困る」などと言って引き留められる等のトラブルが発生しがちです。シェアサロンなら、そのような心配はありませんね。

通常のサロンよりも歩率が高い

通常の正社員雇用のサロンでは、一般的に歩率は指名売上の10~30%バックが多いです。一方、シェアサロンは月額の固定家賃を払えば、歩率は売上の80%バックとなるなど高歩率となります。他にも、固定家賃のみの場合もあります。以下に例を挙げます。

例.シェアサロンの使用料金例

  1. 固定使用料5万円/月+売上25%
  2. 固定使用料15万円+売上10%
  3. 固定使用料4万円/月
  4. 平日750円/30分、土日祝1,100円/30分

例①の「固定使用料5万円/月+売上25%」は、週5日使用する場合のプランで、シェアサロンで生計を立てたい方向けです。月の固定使用料5万円に加えて、売上の25%を支払う料金設定です。言い換えれば売上の75%バックということになります。これが週3日でよければ固定使用料3万円/月+売上30%になる等、料金も変わってきます。

例②の「固定使用料15万円+売上10%」は、固定の1席を占有できるプランの料金例です。例①の場合は1席を複数人がシェアするので、自分が使用していない時間は他の人が使用することになります。一方、例②の場合は1席を占有できるので、席に自分専用の物を置いていけるのはもちろん、席周辺を自分の好きなように飾り付けすることもできます。

例③の「固定使用料4万円/月」は月60時間使用できるプランで、固定使用料さえ支払えば売上に対しての追加料金を支払う必要はありません

例④の「平日750円/30分、土日祝1,100円/30分」は30分単位のスポット利用向けの料金プランです。月に数時間だけシェアサロンを利用したい人向けで、何十時間も利用する人にとっては割高なので不向きとなります。

料金体系、歩率はシェアサロンによって異なります。上記の料金設定の中でも材料費が含まれているケースとそうでないケースがありますので、契約前にしっかりチェックしましょう。

低リスクで独立開業ができる

通常、一人サロンを開業しようとしたら、初期費用として10坪のお店の場合で800万円(物件取得費、内装費、美容器具、薬剤、その他備品、運転資金etc.)くらい発生します。

シェアサロンで独立開業する場合は、上記の資金は必要ありません。月々の使用料を支払えばOKなので、貯金がなくても一人独立できるというわけです。使用料も、一人サロンで家賃+光熱費を払うよりも安くて済みますので、低リスクと言えるでしょう。

薬剤、備品はシェアサロンにあるものを使用することもできる

多くのシェアサロンでは、サロンが提携しているメーカーやディーラーの薬剤や備品を使用することができます。薬剤備品代金は、月額の使用料に含まれている場合と、薬剤代金を別途支払う場合の2種類があります。

シェアサロンのデメリット

暗い雰囲気のシェアサロン

集客は自身で行わなければならない

シェアサロンでは通常のサロンのようにお店が集客を行ってくれるわけではありません。お店はホットペッパービューティーや楽天ビューティー、チラシ等も行っていませんので、お客様は美容師自身が連れてこなければなりません

多くの方はSNSやYoutube、ブログ、LINEなどの発信や、既存顧客からの紹介で新規集客を行っています。ホットペッパービューティー等よりも費用が安いminimorequpoなどを利用して集客を行っている美容師さんも多いですね。

シェアサロンは既存客がたくさんいて、さらに個人発信が得意な方に向いています。逆に、今のお店から既存客をつれていく自信がない方や、個人発信が苦手な方には不向きです。

同じフリーランス美容師でも業務委託サロンならお店が集客を行っている

シェアサロンで働く場合、個人事業主として開業届を税務署に提出して働くわけですが、これは業務委託サロンで働く美容師も同じです。業務委託サロンでは、美容師が個人事業主としてお店に所属して働きます。

この2種類の業態の大きな違いは、シェアサロンは集客を行ってくれませんが、業務委託サロンは集客を行ってくれるという点です。 ですので、自由な働き方をしたいけれども、自身で新規集客をするのは不安があるという方には業務委託サロンの方が向いているでしょう。

区画を借りているだけなので「自分のお店」という感覚は得られない

シェアサロンは一人独立をしたい美容師さんにとって、低リスクでできる有効な手段と言えますが、あくまでもお店の一角を借りているだけですのでどうしても「自分のお店」感は得られにくいのが現実です。

特に「将来は自分のお店を持ちたい」と思って美容師になった方は、シェアサロンで働きはじめても物足りなくなって、やはり自身のお店を持つことにするという方も少なくありません。もしくは最初から独立する予定で、前のサロンと独立店オープンまでのつなぎとしてシェアサロンで働く方も一定数いらっしゃいます。

確定申告などの経理業務を行わなくてはいけない

フリーランス美容師はもれなく全員、年に1回確定申告を行わなければいけません。年金や、健康保険も個人で入る必要があります。

確定申告では業務で利用したさまざまな領収書を保管し、計算して、その年の所得と支払うべき税金の額を税務署へ申告します。最近では、アプリやネットで確定申告が完結できますので、そういったソフトやサービスを利用すると良いでしょう。

シェアサロンによっては、薬剤は自身で仕入れる必要がある

メリットで「薬剤、備品はシェアサロンにあるものを使用することもできる」と書きましたが、シェアサロンによっては薬剤は用意がなく、自身で仕入れをする必要があるサロンもあります。その場合、ご自身が美容室で働いていた時の材料の値段よりも高い料金で仕入れることになると思っておいた方がいいでしょう。なぜなら、チェーン店や複数店舗展開しているサロンであれば、数の利で単価を抑えて仕入れられますが、個人で仕入れる場合はそういった割引はしてもらないからです。

最終的に売り上げからそういった経費を差し引いた額がご自身の収益となりますので、その辺りもしっかり加味した上でシェアサロン選びをすることをおすすめします。

将来への不安は払拭できない

シェアサロンで一人で美容師業を行う場合、もちろん先輩も後輩も同僚もおらず、はじめはそれが「煩わしくなくて良い」と感じても、徐々に「自分はこのあと何十年もこれを続けられるのか」という将来不安を持つ方が少なくありません。

これはシェアサロンで働く方だけでなく、一人独立した方にとっても同様の悩みと言えます。実際に、私の経営している美容室にも月に1人くらいそういった悩みの方が相談にいらっしゃいます。

シェアサロンで働く際に、例えば先も見据えて「70歳まで現役でお客様と向き合い続けたい」という考えのもと独立開業して働きはじめれば全く問題ありませんが、「なんとなく独立したい」という考えで、シェアサロンで働きはじめると後々このような不安が生まれてしまいます。

後悔しないためにも、自身の適正や将来像をしっかりと見定めてから、シェアサロンで働くことをおすすめします。

シェアサロンと個人独立や業務委託サロンの違い

     
項目シェアサロン個人独立業務委託サロン
働く形態個人事業主
初期投資0円(場合によっては登録料金2万円など)約800万円0円
月額費用5万円~10万円~0円
歩率70%~100%100%30%~60%
集客個人で行うサロンが行う
薬剤個人orサロン個人で行うサロンが行う
メニュー設定個人の自由サロンが決める
社会保障の有無フリーランスとして国民健康保険や国民年金に加入する(厚生年金には加入できない)
確定申告の有無必要

シェアサロン、個人でお店を出す場合の個人独立、業務委託サロンの共通点や違いについてまとめた表を用意しました。内容を解説していきます。

共通点

働く形態は全て「個人事業主」。働きはじめて1カ月以内に、税務署に個人事業主開業届を提出する必要があります。また、年に1回は税務署に売上や所得、支払う税金を申告する「確定申告」をする必要があります。

シェアサロンと個人独立や業務委託サロンいずれの場合も、正社員サロンに勤めていた時と違って国民健康保険や国民年金にご自身で加入する必要があります。その他、将来厚生年金と同額の年金を受け取るために国民年金基金に入る方もいらっしゃいます。

初期投資は大きく異なる

違いとして大きいのが、まず初期投資でしょう。個人独立は10坪のお店の場合で800万円くらい発生します。シェアサロンは0円のところもあれば、初期登録費として2万円程取られる場合があります。

業務委託サロンではそういった費用は一切発生しません。逆にサロンによっては入社祝い金などを支給してくれる場合もあります。

私が経営する美容室Anphiでは、引っ越し手当30万円や紹介手当10万円などの手当があります。

Anphiの手当・保険について

月額の費用も異なる

初期投資に加え、月額の費用も異なります。シェアサロンは料金システムがお店によって異なりますが、月額費用の相場は5万円~です。

個人独立では、家賃・水道光熱費・通信費が必須の月額費用です。こちらもどんなお店にするかで大きく異なりますが、少なくとも10万円は見ておいた方が良いでしょう。

業務委託サロンでは月額費用はもちろんかかりません。

歩率

売上に対する歩率も大きく異なります。シェアサロンでは、月額固定費が10万円程で売上は100%美容師のものというサロンもありますし、月額固定費が5万円と安い変わりに売上の30%を追加で支払うというサロンもあります。つまり売上に対するバック率の相場は70%~100%です。

個人独立の場合は、もちろん売上のバック率は100%です。ただし、先の家賃や水道高熱費を払っていますので、売上の100%が所得になるわけではありません。むしろ諸々差し引くと実際には50%程度になる可能性もあります。

業務委託サロンでは、売上の30~60%が収入となる場合がほとんどです。月額費用などを払わなくて良い代わりに、シェアサロンと比べると歩率は低くなりますね。

個人集客かサロン集客か

続いて集客方法も違いが出ます。シェアサロンや個人独立の場合は個人で集客をする必要がありますが、業務委託サロンではお店が集客をしてくれます。

シェアサロンで新規集客に悩む美容師さんも少なくないようで、最近では「追加料金でホットペッパーに掲載できる」プランがあるシェアサロンも増えています。

薬剤選定やメニュー設定の自由度の違い

薬剤については、シェアサロンでは個人で手配する必要がある場合と、シェアサロンにある薬剤を使える場合があります。

個人独立はもちろん、個人でディーラーやメーカーとやり取りをして買い付ける必要があります。自由度が高い分、在庫管理などの雑務が発生します。

業務委託サロンではお店にある薬剤を使うのが基本です。メニュー設定は、シェアサロンや個人独立なら自分の好きなように設定できますが、業務委託サロンだとお店のメニュー設定にそって施術を行うことになります。

ただしサロンによっては、自分が連れてきた顧客には自分で料金設定を決めて良いというところもあります。

シェアサロン6社の料金プランを比較

シェアサロンで有名な6社をピックアップし、料金プランを比較してみました。なお、各社複数プランがありますので、スタンダートプラン、専用個室プラン、時間貸しプランに分けて比較します。

スタンダートプラン

シェアサロン名利用料金
GO TODAY SHAiRE SALONS月5万円(税抜)+売上25%
月3万円(税抜)+売上30%
月2万円(税抜)+売上20%【平日限定】
月1万円+売上10%【平日10時間まで】
SALOWIN月額5万円+売上20%
月額8万円+売上20%【集客サポート付き】
Emanon月額3万円+売上20%
月額2万円+売上20%【平日限定】
FBeauty月額176,000円~+共有費16,500円~
月額27,500円+1,320円(1h)~
月額11,000円+1,320円(1h)~【月20時間まで】
JAM月額22万円~【集客サポート付き】

利用料を払えば好きな時にシェアサロンの空いている席を借りられるプランの料金一覧です。上記のサロンはどこも、プラン料金に加えて材料費が別途必要になってきます。

月額料金+売上の20~30%バックのところが多いですが、JAMは月額料金が他より高いのに比べて売上に応じた追加支払いの必要がありません。

ホットペッパー掲載プランも登場

以前は「シェアサロンは、美容師自身が集客しなければいけないもの。」が通例でしたが、最近でははじめから【集客サポート付き】のプランが用意されているケースや、追加料金を払えばシェアサロン側がホットペッパーで集客してくれるというケースがあります。

例えば、GO TODAYでは基本プランに応じてプラス月0〜3万円で、ホットペッパービューティーに掲載が可能。新規集客に苦戦する美容師さんが多かったため誕生したと考えられます。

時間貸しプラン

シェアサロン名利用料金
EMANON平日550円/土日祝1,100円(30分)
SALONIN平日750円/土日祝1,200円(30分)
JAM平日613円~/土日祝日1,100円(30分)
Fbeauty1,320円(1h)~【月5時間まで】

時間貸しプランは、月に数時間だけスポットでシェアサロンを利用したい方向けのプランです。

月70時間未満の利用なら時間貸しプランでOK

スタンダートと時間貸しのいずれかで迷っていますか?ざっくり月70時間未満の利用でした時間貸しをおすすめします。それを超えてくるとスタンダートの方が割安になってきます。

お店によって異なりますので、ご自身の働く時間で計算してみて下さいね。

専用個室プラン

シェアサロン名利用料金
GO TODAY SHAiRE SALONS月額20万円〜+売上5%
Emanon月額25万円、月額28万円、月額5万円+売上25%
JAM月額22万円~
THE SALONS月額26万円〜

専用の個室を借りられるプランの料金です。一部屋を専有できるだけあり、個人独立するのと変わらないくらいの月額費用がかかります。

特にTHE SALONSは割高ですが、個室にはセット面が2席あり、内装も自由にアレンジできる等のメリットがあります。2人で一緒に美容室をやろうとしている方には良いかもしれませんね。

専用個室プランにするなら個人独立でお店をオープンする手も

もし専用個室プランに惹かれているなら、一度個人独立する場合のシミュレーションもすることをおすすめします。シェアサロンなら確かに初期費用は個人独立に比べて割安で済みますが、専用個室プランだと月額利用料金が20万円を超えるため、そこで長くお店をやると、総額が個人独立の方が割安で済む場合があります。

例えば、月額20万円の専用個室を5年間借りると、20万×12カ月×5年=12,000,000円になります。1人サロンの開業資金以上の額を支払うことになりますので、長期間の利用を考えている場合はよく検討してみて下さいね。

まとめ

シェアサロンは、会社のルールに縛られない自由な働き方をしたい方に人気の働き場所です。ただし、基本的に集客はご自身で行わなければなりませんので、SNSなどでの個人発信や顧客からの紹介がキーになってくるでしょう。

自身のお店をオープンする前の準備期間に利用する美容師さんも多くいらっしゃいます。個人独立をした後やっていけるのかを見極めるためにシェアサロンを利用するのも手だと思います。

ぜひ、自信の将来を見据えて、ご自身にあった働き方ができるサロンを選んで下さいね!

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

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