Recruit

【美容師の手荒れ対策】原因と正しいケア・予防方法とは?

更新日:2022/02/13
美容室社長中村英二

美容師さんにとって深刻な悩みの一つが手荒れでしょう。手荒れが原因で美容師を辞めたという方も少なくありません。今回は、その原因と対策・ケア・予防方法について詳しく解説していきます。シャンプー時におすすめのグローブはどれなのか?検証結果も必見です!

話を聞いた専門家

スキンケアマイスター&毛髪診断士・由樹

日本コスメティック協会のスキンケアマイスター兼、日本化粧品検定1級取得のコスメコンシェルジュ、公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®資格を有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。

美容師の手荒れは職業病

職業に従事することによって発生する皮膚疾患を「職業性接触皮膚炎」と言い、美容師の手荒れはまさにこれです。

独立行政法人労働者安全機構が行った宮城県内の理・美容師へのアンケート調査によると、美容師の61.3%と過半数が「現在皮膚炎あり」もしくは「過去に皮膚炎あり」と答えました

就業してから1年未満で皮膚炎を発症することが多い

美容師が皮膚炎を発症するタイミングは美容室に入社後1年未満、なかでも3か月未満での発症が最多です。

経験年数が増えるに従って手荒れを訴える方は少なくなりますが、これはアシスタント時代が最も洗髪業務が多いからだと考えられます。

美容師が手荒れを起こす主な原因と症状

美容師は日々洗髪やカット、染毛、パーマなどの水仕事や手作業を繰り返し行っている為、肌が本来もつバリア機能が低下してしまいがちです。結果、シャンプーやカラーなどの刺激物によって手荒れを引き起こしてしまうのです。美容師の手荒れは、大きく「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー皮膚炎」の2種類に分類されます。

刺激性接触皮膚炎

刺激性接触皮膚炎は、外的な刺激を受けてダメージが加わることで生じる皮膚炎です。これは原因物質自体がもつ刺激によって起こるため、アレルギーに関係なく誰にでも起こる可能性があります。

症状初期は乾燥で、進行すると亀裂が入ったり、指先にささくれができたり、赤みやかゆみ、ぶつぶつができます。痒みの為にひっかくと皮膚に細菌が入り、膿がたまったり、水膨れになったりする症状を経て、皮膚がジュクジュク状態になります。さらに悪化すると、その膿や水ぶくれが破れ、肌の表皮が剥がれて真皮が露出します。これがいわゆる肌がただれた状態です。

シャンプー

美容師の場合、一日に何度もお客様の髪を洗髪します。水仕事を繰り返し行うことで、外部の刺激からお肌を守っているバリア機能が低下し、本来は弱刺激物質であるシャンプーの界面活性剤などがお肌に刺激を与え、手荒れに繋がります。

ドライヤー

ドライヤーの温風も、1日に繰り返し浴び続けると手が乾燥し、亀裂やかゆみが出やすくなります。

パーマやカラー

パーマやカラーの第一剤に含まれるアルカリが原因で、急性の刺激性皮膚炎になることがあります。

アレルギー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎は特定の物質に対してアレルギー反応を起こすことで、皮膚にかゆみや発疹、炎症などが起こるものです。アレルギー性皮膚炎の場合、原因物質に少し触れただけでも手荒れを起こすことがあるので注意が必要です。また、初めは問題なくても、アレルギーは触れている間に蓄積されて、突然発症することもあります。

カラー

美容師のアレルギー性皮膚炎の原因としてもっとも多いのが、カラーの第一剤に含まれるパラフェニレンジアミンです。

パーマ

パーマ液に含まれるニッケルなどの金属でアレルギー性皮膚炎になる方も多くいらっしゃいます。

カット

金属アレルギーを発症してしまい、ハサミに触れるたびにかゆみを感じる様になる方もいます。

ゴム手袋

施術中に着用する手袋に含まれるラテックスが原因でアレルギー性皮膚炎となる場合もあります。

美容師のアレルギー性皮膚炎の原因物質は複数であることが多い

美容師のアレルギー性接触皮膚炎では、複数の物質に感作されている例が多いことが報告されています。

前述したとおり、美容師さんはシャンプーなどの水仕事などにより皮膚のバリア機能が低下しがちです。そうなると、アレルギーを引き起こす原因となる物質が皮膚から侵入しやすくなるため、症状が出易くなってしまうのです。

アトピー性皮膚炎をもっていると手荒れになりやすい

もともとアトピー性皮膚炎を発症している方は、皮膚のバリア機能が低下しています。そのため、手荒れを発症するまでの期間が短く、重症化しやすい傾向にあります。

【対策①】グローブで防ぐ

パーマ剤やカラー剤を塗る際にはグローブをしている美容師さんが多いですが、シャンプーなどの洗髪時は素手で行っている美容師さんがほとんど。これは、グローブをしているとお客様の髪の毛がからまったり、お湯の温度が分かりにくかったり、そもそもお店のルールで洗髪の際は手袋禁止になっているなどの理由が考えられます。

ですが、先に話した通り、まず水仕事による刺激性皮膚炎を予防することが、アレルギー性接触皮膚炎の予防にもつながりますので、洗髪時のグローブ着用はとても重要です。

グローブは中で蒸れないようにするために、できるだけ薄めの手袋が良いです。また、あまり長期間使っていると、グローブの中で細菌が繁殖し、手荒れを悪化させてしまいますので、使い捨てタイプの物をおすすめします。

実験!手荒れ予防にはどのグローブを使うべき?

美容師さんの手荒れ予防のために、今回私たちが試したのは下記のグローブ3種類です。

  • ロイヤルタッチグローブ(ロングタイプ)
  • シルクラテックスグローブ
  • ニトリスト スーパーロング

美容ディーラーさんや、美容師さんからの口コミを参考に選びました。これらを使用して実際に美容師さんにシャンプーを行ってもらい、美容師目線の使いやすさと、お客様側の感触の良し悪しを確かめました。

ニトリスト・スーパーロング

ショーワグローブのニトリスト・スーパーロングは、腕まで覆う40cmの長さのゴム手袋。素材は合成ゴム(ニトリルゴム)です。

商品名ニトリスト・スーパーロング
素材合成ゴム(ニトリルゴム)
サイズS/M/L
枚数50枚

美容師的には長くて水が入りにくいのは良いのですが、厚さがしっかりあるので、頭皮や髪の毛の感触はゼロ。お湯の温度も分かりません。また、濡れた髪の毛がひっかかり、シャンプーがやり易いとは言えませんでした…。

客側としても、いかにもグローブでやられているという感覚と、髪がひっかかっている感があり、あまり気持ち良いシャンプーとは言えないですね。

ロイヤルタッチグローブ

滝川のロイヤルタッチグローブのロングタイプは、ポリウレタン製で薄さがなんと0.03㎜。ずり落ち防止の専用ゴム付きです。

商品名ロイヤルタッチグローブ(ロングタイプ)
素材ポリウレタン製
サイズフリーサイズ
枚数10枚

確かにものすごく薄いです!シャワーの温度はもちろん、お客様の頭皮の感触や体温も感じられます。髪にひっかかることなく滑らかにシャンプーが出来ますね。

気になる点としては、フリーサイズでサイズが選べない点です。男性の私には手袋のサイズが小さめで、着ける際に時間がかかりました。パウダーを付ければスッと入りましたが、パウダー無しで無理やりつけようとしたところ、極薄素材のため一枚破けて無駄にしてしまいました…。女性美容師にはサイズがちょうど良く、苦労なく着用できたようです。

客側としては髪の毛が引っ張られている感は全く感じませんでした。ただ、若干滑り過ぎな気がして、個人的な好みとしてはもう少し肌に密着する方が、マッサージされている感があって気持ち良いのかなと思います。

シルクラテックスグローブ

シルクラテックスグローブは、日本国内で生産された “まゆ玉”から抽出された美容液等にも使われているシルクプロテインを手袋の内側に施してあり、手肌に優しい仕様なのが特徴です。指先には滑りにくい表面エンボス加工済。

商品名シルクラテックスグローブ
素材天然ラテックスゴム
サイズXS/S/M/L
枚数50枚

薄いためお客様の髪の毛の感触はしっかり分かりますし、お湯の温度も感じることができます。シャンプーをしていてもお客様の髪がひっかかることはありません。私は今回Mサイズを使用してちょうど良かったです。

こちらの製品も、髪の毛が引っ張られている感は全くありませんでした。また、ほどよく掴まれている感があり、3種類の中で一番心地良かったです。

使い心地はシルクラテックスグローブがおすすめ

今回3種類のグローブを検証した結果、使い心地で一番おすすめなのはシルクラテックスグローブという結果になりました。サイズ展開も4種類あるので、男性女性問わずちょうど良いサイズを見つけれるはずです。価格も50枚入りが3,300円ほどで購入できるため、使い捨てし易く衛星的ですね。

ただしラテックス天然ゴムにアレルギーをお持ちの人にとっては、内側にシルクプロテインが加工されているとはいえシルクラテックスグローブはおすすめできません。そういう方には、ポリエチレン製のロイヤルタッチグローブがおすすすめです。

【対策②】ぬるま湯でよく洗い流す

薬剤を触った後、スタイリング剤を触った後には必ず、35~38℃のぬるま湯でよく洗い流しましょう。

薬剤が残っていると、手荒れの原因となります。例えば、スタイリング剤を付けた後、タオルや濡れタオルなどで拭き取るだけの方もいると思いますが、それだと手に薬剤が残ってしまっているので不十分です。かといって、ゴシゴシ洗い過ぎるのは禁物。強く洗い過ぎると摩擦で角層を傷つけるため、手荒れを悪化させる原因になります。

熱いお湯は皮膚に必要な皮脂まで取り除いてしまいます。必ずぬるま湯で洗い流しましょう。

【対策③】清潔なハンカチやタオルで水分をよく拭き取る

ぬるま湯でよく洗い流した後は、清潔なハンカチやタオルで水分をしっかりと拭き取りましょう。濡れたままにしておくと、手肌が乾燥して手荒れが悪化しやすいからです。

拭くときもゴシゴシとこすらず、ハンカチやタオルに水分を吸い込ませるように、やさしく拭き取ってください。

【対策④】ハンドクリームを適切に塗る

ハンドクリームは手を洗う度に塗るのが理想です。ただし美容師は一作業の度にハンドクリームを塗ると言うのも難しいでしょうから、お客様の入客が終わる度や、せめて休憩の度に塗れると良いでしょう。

また、ハンドクリームは塗る料が少ないと効果が得られにくので、たっぷりと量を手に取って、肌になじませるようにマッサージしながら塗って下さい。

ハンドクリームを購入する際は、見た目や香りばかりでなく、成分に着目して選んで下さい。肌の保湿をしてくれる成分と、ベールをはり肌を保護してくれる成分の両方が入っているものがおすすめです。

水分保持(保湿効果)のある成分

  • グリセリン
  • セラミド
  • 乳酸
  • ピロリドンカルボン酸ナトリウム
  • 尿素
  • ヒアルロン酸etc

ベールをはり肌を保護してくれる成分

  • 天然油脂
  • 長鎖脂肪酸
  • 脂肪酸エステル
  • ラノリン
  • リン脂質etc.

また、ひびやあかぎれの症状がある場合は、炎症を鎮めるグリチルリチン酸ジカリウム、dl-カンフル、グリチルレチン酸などの抗炎症成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。

【対策⑤】寝る時は布手袋で保護

寝る前には、ハンドクリームや外用薬を塗ってから、布手袋をしましょう。ポリエステルなどの化学繊維の手袋ではなく、お肌に優しい綿100%のものや、絹素材の製品がおすすめです。乾燥を防ぐのはもちろんのこと、寝ている間に手をひっかいて悪化させるリスクを防いでくれます。

【対策⑥】手洗いのハンドソープを見直す

薬用せっけんや、「除菌」と書いてあるハンドソープ、除菌ジェルなどは手荒れには逆効果となる場合が多いです。薬用ハンドソープでの手洗いやを繰り返すと、必要な皮脂まで取り除いてしまうため、肌のバリア機能を低下させてしまいます。

ハンドソープは洗浄力が強すぎるものを避け、お肌に優しいアミノ酸系の界面活性剤を使用していたり、保湿成分を含むハンドソープに変え、皮脂の喪失を防いで下さい。毎日ご自宅で使用するシャンプーも同様です。

アミノ酸系界面活性剤

  • ココイルメチルタウリンNa
  • ココイルメチルアラニンNa
  • ココイルグルタミン酸TEA
  • ココイルグリシンK
  • N-アシルグルタミン酸塩
  • ヤシ油脂肪酸メチルタウリンNa
  • ラウロイルメチルアラニンNa
  • ラウロイルグルタミン酸K
  • ラウラミノプロピオン酸Na
  • ラウリミノジプロピオン酸Na

コロナ禍のアルコール消毒も手荒れを悪化させている

最近では、コロナ禍におけるアルコール消毒のし過ぎによる手荒れも問題となっています。手荒れでお悩みの美容師さんは、アルコール消毒はなるべく最低限ですませ、保湿ケアを心掛けましょう。

【対策⑦】冬の外出時は防寒用の手袋を

多くの美容師さんが、空気が乾燥する冬場に手荒れが悪化しています。対策としては、まずは外出時に防寒用の手袋をしたり、家庭や職場でも保湿器を使用して、乾燥を防ぐようにしましょう。

症状が悪化する前に早めに皮膚科へ受診を

少し赤みやかゆみがある程度でしたら、上記のような対策でもOKですが、強いかゆみ、皮膚のめくれ、水ぶくれがある場合は、早めに皮膚科へ受診して、適切な治療を受けてください。放置すると、症状が悪化する可能性があります。

皮膚科では、炎症している場合はステロイド外用薬が処方されたり、痒みがある場合には抗ヒスタミン薬などの内服薬が処方されるのが一般的。また、体質改善を目指して漢方を処方される場合もあります。

手荒れの原因がアレルギー性皮膚炎の場合は、原因物質の特定が鍵になります。「アレルギー性皮膚炎かも?」と考えるのであれば、皮膚科でパッチテストなどの検査を受け、手荒れを起こす原因物質が何なのかを特定してもらい、できる限りそれに触れないで済む対策方法を考えましょう。

【まとめ】手荒れは予防が一番大事

美容師が手荒れに一度なってしまうと、仕事も休むわけにいかずにどんどん悪化する恐れがあります。事前の予防、もしくは初期段階での対策をすることが大切です。

「自分はこれまで手荒れになったことはないから大丈夫。」と思わずに、手荒れがひどくなる前に、手洗いや拭き方を見直したり、ハンドクリームの習慣化や寝る時の布手袋の着用などを行ってみて下さい。最後にこのページでご紹介した対策方法をまとめておきます。

手荒れ予防は美容師さん自身だけでなく、美容室のオーナーこそ理解し、お店としての予防策を講じていくことが重要です。

スタッフが手荒れで辛い思いをしたり、それが原因で美容師業を諦めなくて良いように、お店全体が理解してアシスタントに手荒れに対する予防方法の指導や、グローブやハンドクリームをサロン備品として用意したり、シャンプー作業ばかりをやらせない、シャンプーをアミノ酸系の界面活性剤が入ったお肌に優しいものに変える等の対策を行っていくことが、「職業性接触皮膚炎」になる方を減らすことに繋がるのではないでしょうか。

私もアシスタント時代は手荒れが本当にひどくて苦労しました。そういった美容師が一人でも減らせるよう、お店側の努力もしっかりやっていきたいですね。

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

関連記事

Home > その他 > 【美容師の手荒れ対策】原因と正しいケア・予防方法とは?