Recruit

外国人美容師が日本で働く方法|ビザの種類や美容室の条件とは?

更新日:2022/05/17
美容室社長中村英二

「日本の美容室で外国人が働いているのを目にする機会って少ないな…」と感じている方が多いと思います。それもそのはず、日本で外国人の方が美容師として就労するには様々な制約があるのです。

ですが、2021年に発表された国家戦略特区の外国人美容師育成事業で、2022年中にもその制限がある程度緩和される見込みとなっています。

このページでは、これから日本で美容師として働きたい外国人の方や、外国人労働者を自分の美容室で受け入れたいオーナーさん向けに、日本の外国人美容師の就労の現状とこれからの変化、働くため・受け入れる為の条件について詳しく解説します。

美容師免許の取得は外国人でも可能

そもそも日本で美容師として働くためには、日本の国家資格である美容師国家試験に合格して、美容師免許を取得しなければなりません。

美容師国家試験を受験するためには、厚生労働大臣または都道府県知事の指定した美容師養成施設に入学し、中間・夜間課程の通常課程は2年以上、または通信課程3年以上の課程を修了する必要があります。

美容師国家試験受験資格

理容師・美容師養成施設で、次の課程を修了した人
昼間課程2年以上
夜間課程2年以上
通信課程3年以上

美容師国家試験の資格条件には、国籍に関する規定は明記されていないため、外国人も受験できることが分かります。

つまり、日本の美容専門学校を無事に卒業できた方なら、国籍に関わらずどなたでも美容師免許を取得することが可能ということです。

日本の美容室で働ける外国人美容師は限られている

美容師免許を獲得できても、日本の美容室で働ける外国人は限られていました。というのも、外国人が合法的に日本に滞在し、報酬をもらう活動をすることを認める資格である「在留資格」通称「ビザ」には、美容師が含まれていません

在留資格一覧表

こちらが在留資格一覧です。現在全部で29種類あり、その内「就労が認められる在留資格」が18種類、「身分・地位に基づく在留資格」は4種類、「就労が認められない在留資格」が5種類、その他に1種類の資格があります。

日本に滞在するには、上記のいずれかの在留資格を持つ必要がありますが、一覧を見れば分かるように「美容師」という在留資格は存在しません。よって今まで外国人の方は、就労ビザで日本で美容師として働くことはできませんでした。

今まで働けたのは、身分系の在留資格を持っている人のみだった

「身分・地位に基づく在留資格」は活動制限がありませんので、この在留資格を持つ外国人の方は美容師として日本の美容室で働くことが可能です。

「身分・地位に基づく在留資格」には4種類あり、下記のいずれかに該当する方が在留資格を取得することができます。

  1. 永住許可を受けた「永住者」
  2. 日本人の配偶者・実子・特別養子にあたる「日本人の配偶者等」
  3. 永住者・特別永住者の配偶者や、日本で出生し引き続き在留している実子である「永住者の配偶者等」
  4. 日系3世,外国人配偶者の連れ子等である「定住者」

逆を言えば、上記に当てはまらない方は、日本で美容師として働くことができなかったのです。実に狭き門だということが分かりますね。

当美容室でも、この「身分・地位に基づく在留資格」を持ち、実際に美容師として活躍されている方がいらっしゃいます。

今でもアルバイトとしてなら、留学生や家族滞在の在留資格の方でも働ける

留学生や家族滞在の在留資格の方は今でも、アルバイトとしてなら美容室で働くことが可能です。ヘアデザインはできませんが、受付やアシスタント業務等で働けます。日本では外国人をアルバイトとして雇う場合のハードルは若干低く、留学生や家族滞在の在留資格を持つ方にも認められているのです。ただし、「週28時間以内」の勤務しか認められていませんので、生計を立てようとすると難しいのが現状です。

外国人美容師育成事業で身分系在留資格取得者以外の外国人も美容師として就労が可能に

前述の通り、今まで外国人は身分系の在留資格を持っていないと日本の美容室で美容師として働くことはできませんでしたが、2021年より「国家戦略特区外国人美容師育成事業」が始まり、2022年中には外国人が美容師として就労可能になるように準備が進められています。

この「外国人美容師育成事業」は、他の就労ビザとは異なり、在留期間は最大5年間であったり、雇う美容室側は監理実施機関への育成計画の提出や状況報告、関係自治体との連携等が必須であるという特徴があります。

事業目的は「日本式の美容に関する技術や文化を世界へ発信する担い手を育成する」こと

ここで、内閣府の外国人美容師育成事業についての説明文を見てみましょう。

外国人美容師育成事業は、日本の美容製品の輸出促進や、インバウンド需要に対応するため、日本の美容師養成施設を卒業して美容師免許を取得した外国人留学生に対し、一定の要件の下、美容師としての就労を目的とする在留を認め、日本式の美容に関する技術や文化を世界へ発信する担い手を育成する事業です。

引用元:外国人美容師育成事業|内閣府

この文章を読むと、外国人美容師育成事業の目的は労働力の確保ではなく、日本で身につけた技術を母国へ持ち帰り広めてもらうことを目指してつくられた事業だということがわかります。だからこそ就労期間は最大5年なのです。

国家戦略特区の10区域でのみ事業が認められる

外国人美容師育成事業は国家戦略特区でのみ行うことが認められる事業です。その為、全国どこでも行えるわけではありません。また、地域によって実施事業は異なります。外国人美容師育成事業が下記の全区域で行えない可能性もあります。

国家戦略特区の指定区域
東京圏:東京都、神奈川県、千葉市、成田市
関西圏:大阪府、兵庫県、京都府
新潟市
養父市
福岡市・北九州市
沖縄県
仙北市
仙台市
愛知県
広島県・今治市

国家戦略特区とは?

国家戦略特区は、地域や分野を限定して大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度です。成長戦略の実現に必要な大胆な規制・制度改革を実行し、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設されました。

美容室で必要な業務は一通り行うことが可能

外国人美容師が従事可能な業務は下記の通りです。

  • シャンプー
  • カット
  • トリートメント
  • ブロー
  • セット・アイロン
  • カラー
  • パーマ・縮毛矯正
  • ヘッドスパ
  • まつげエクステンション
  • ネイル
  • エステティック
  • 着物着付け
  • メイク
  • 洋装ブライダル
  • 出張美容
  • 美容所の経営管理に関すること
  • その他関係自治体が必要と認める業務
  • その他付随業務
引用元:国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領

シャンプー、カット、トリートメント、カラー、パーマといった美容師として活躍するために必要な業務は一通り行うことが可能です。その他にも、まつエク、ネイル、出張美容なども含まれています。

逆を言えば、上記以外のことを行うと違法行為となります。例えば、掃除やチラシ配りなどを主な業務として行うことも認められていません。不随業務として行うことはOKです。

外国人美容師育成事業を利用するための条件【美容師編】

外国人美容師育成事業を利用して日本で美容師として就労するためには下記の条件全てに当てはまらなければなりません。

  • 厚生労働大臣または都道府県知事の指定した美容師養成施設にて知識及び技能を習得し、成績優秀かつ素行善良である
  • 美容師免許の取得(見込み含む)
  • 日本語能力試験でN2以上
  • 満18歳以上
  • 日本式の美容に関する技術・文化を世界へ発信する意思を有する

日本の国家資格である美容師免許を取得できたのであれば、”美容師養成施設にて成績優秀”であり、”日本語能力試験はN2以上”や”満18歳以上”という条件は満たせているでしょう。注意したいのは「素行善良である」という部分です。

アルバイトのしすぎや、出席率が低くならないように要注意!

専門学校で「素行善良である」と判断されるために気を付けなければいけないのが、出席率やアルバイトでの長時間労働です。

留学生の場合、アルバイトなどの資格外活動は週28時間以内と決められています。その時間を超えてアルバイトをしていたり、専門学校への出席率が低いと、学校を卒業して美容師免許も無事取得した場合でも、「在留不良」と見なされ、「留学」から外国人美容師育成事業への在留資格への変更ができない場合があるので注意しましょう。

勤められる美容室は育成機関として認められた美容所のみ

条件として予め覚えておきたいのは、この事業を利用して勤められる美容室は限られているということです。外国人美容師育成事業において外国人美容師を雇うことができる美容室は、監理実施機関に事前に申請して「育成機関」として認められた美容所のみとなります。

国家戦略特区のどこの美容室でも勤められるという訳ではないのです。制度を利用する予定なら、前もって自身が通える範囲の美容室に育成機関があるか確認しておきましょう。場合によっては、引っ越しを覚悟する必要もあるでしょう。

外国人美容師になるまでの流れ

外国人美容師育成事業を利用して外国人美容師になるまでの主な流れは下記の通りになります。

  1. 美容師養成施設に入学し、美容師になるための勉強をする
  2. 美容師国家試験を受験する
  3. 外国人美容師育成事業を利用するために必要な要件を満たした上で、育成機関から採用内定を得る
  4. 育成機関が育成計画の申請を行い、自治体の認定を得る
  5. 美容師養成施設を卒業する
  6. 美容師国家試験に合格し、免許を取得する
  7. 外国人美容師として働く
引用元:外国人美容師育成事業に関するQ&A

スムーズにいけば、美容学校を卒業と同時に外国人美容師として働けます。

在留資格変更許可の申請も忘れずに

なお、在留資格変更手続きが必要になります。お住まいの地域を管轄する地方出入国在留管理官署へ行き「留学」から「特定活動」の在留資格変更許可を申請しましょう。

給料は日本人と同等額以上

実際に美容室で働く際、気になるのがその給料でしょう。外国人美容師育成事業を利用して美容室で働く場合は、「育成」目的だからちょっと給料を安く設定されるのでは?と考えるかもしれませんが、実施要項には「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と記載があります。

実施要項の報酬について抜粋

  • 外国人美容師が、特定美容活動に日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
  • 外国人美容師が、監理実施機関及び育成機関から保証金等を徴収されないこと及び労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等が締結されていないこと
引用元:国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領

外国人美容師の給料は日本人と同額以上であり、監理実施機関や育成機関から保証金等や違約金などを求められないことが定められています。

不当に安い報酬で働かせられることは禁じられていますので、働き手としては安心ですよね。

日本の理・美容師の平均年収は322.99万円

では、日本で美容師として働けたらいくらぐらい稼げるようになるのでしょうか?働く地域やお店により上下しますが、厚生労働省の調査によると理容・美容師の平均年収は322.99万円ですので、それと同額以上と考えておけばいいでしょう。

美容師はよくも悪くも成果主義で、正社員雇用だとしてもお客様から沢山指名されるかどうかで給料額は大きく変わってきます。せっかくなら外国人であることを活かして、平均以上を稼げるようになりたいですね。

外国人美容師育成事業を利用するための条件【美容室編】

育成機関として認められた美容所

美容室が外国人美容師育成事業を利用して、外国人美容師を雇うためには一定の条件を満たし、事前に監理実施機関と関係自治体から「育成機関」として認められる必要がありますなお、法人・個人事業主いずれのお店でも大丈夫です。1美容所あたりの外国人美容師の受け入れ可能人数は3人までとなっています。

育成機関の要件概略

  • 育成計画を実施できる美容所を、事業実施区域に有している
  • 管理美容師を配置している
  • 健全かつ安定的な経営状況である
  • 労働及び社会保険に関する法律の規定を遵守している
  • 禁錮以上もしくは各種罰金の刑に処せられ、その執行を終えた日から起算して5年を経過しない者に該当しない
  • 引用元:国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領

上記の通り、育成機関には外国人美容師が実践的な美容に関する知識及び技能を修得するための環境が整っていて、国家戦略特別区域内にある美容所で、管理美容師を配置し、労基などの法律に順守した経営ができていることが求められます。

育成機関として認められた後も、外国人美容師を1人雇うごとに監理実施機関へ育成計画の提出や育成状況の報告が求められます。

まだまだ労働関連の法律や、社会保険への加入が守られていないサロンが散見されます。外国人労働者を雇いたいのなら、これを機会にしっかり見直したいですね。

まとめ|日本で外国人美容師が働くことは可能!外国人美容師育成事業の施行が待ち望まれる

ここまで外国人美容師は日本で働けるのか、現状と今後の展望についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか?最後に概要をまとめておきます。

今はまだ、一部の外国人の方しか日本で美容師として働くことはできませんが、今後の規制緩和によっては日本の美容室で外国人の美容師が活躍しているのを日常的に見かけることができるようになるかもしれません。外国人美容師育成事業のスタートに期待したいですね!

この記事を書いた人

中村英二

神奈川・東京に大型美容室Anphiを複数店舗展開する会社、株式会社イーグラント・コーポレーションの社長。「美容師ファースト」を掲げ、日々より良いサロン創りに奮闘中!

関連記事

Home > その他 > 外国人美容師が日本で働く方法|ビザの種類や美容室の条件とは?