ブランク有りでも美容師に復帰できる?収入はどうなる?
美容師の仕事は立ち仕事で体力が必要であり、コミュニケーション能力も必要。そして何より専門的な知識と技術が必要な非常に難易度の高い仕事です。カットやシャンプー、パーマ、トリートメントなどの技術向上はもちろん、日々移り変わるヘアやファッションのトレンドも追っていかなければなりません。
そのため、結婚や出産などを機に美容室を辞めてブランクが開いてしまうと、美容師への復帰を諦めてしまう方も多いですよね。
しかし、「せっかく美容師免許を取ったのに…。」「美容師の仕事は好きだったのに…。」という想いがあるのなら、復帰を諦めてしまうのはもったいないです!
このページでは、ブランクがある方が美容師に復帰する方法や、ブランク有りでも働き易い職場の選び方、実際の収入などを詳しく解説。「美容師に復帰するか迷っている。」「復帰したいけど不安。」という方は、ぜひご一読ください!
ブランクがあっても美容師として再就職はできるのか?
まずは、そもそもブランクがあっても美容師として再就職はできるのか?という疑問にお答えします。答えはもちろん、YESです。
美容室は年々人手不足が深刻化しており、一部の有名ブランドサロン以外はどこも常に人を欲しています。その為、たとえブランクがあったとしても、美容師免許を持っていて、美容師として頑張りたいという意思がある方なら、多くの場合歓迎してもらえるでしょう。
「ブランク歓迎」の美容室はたくさんある
実際に、美容師専門の求人サイトを見ても「ブランク歓迎」と明記されている美容室は多いです。2024年3月21日現在で、リジョブで美容師で「ブランク歓迎」と検索してみたところ、全国で3,015件が該当しました。
※画像引用元:リジョブ前回調べた2022年7月28日時点では2,518件でしたので、およそ1年半でブランクがある方を歓迎する美容室が500件増えていることが分かります。
まずはご自身のお住まいの地域の近くに「ブランク歓迎」と記載のある求人があるかチェックしてみて下さいね。
ブランク有りでも復帰する方法
あなたが辞めた際、アシスタントだった場合はもちろん、かつてはスタイリストだった場合でも5年~10年ブランクがある方は、まずはアシスタントとしての再就職となるでしょう。
アシスタントとして雇用してくれる美容室を探す
最もスタンダートな方法は、まずアシスタントとして雇用してくれる美容室を探す方法です。
あなたご自身の技術力・サロンの方針によりますが、元スタイリストの方なら1~3カ月程でスタイリストデビューも可能でしょう。もともとアシスタントだった方は、半年~3年はアシスタント期間が必要になります。
アカデミー併設の美容室を探す
アカデミー併設の美容室なら、ブランクがあってもまずはアカデミーで技術を学びなおし、卒業後にアシスタントとして勤務もしくは卒業と同時にスタイリストデビューすることも可能です。
アカデミーなら教育システムがしっかりと構築されているので、技術もきっちりと習得できるでしょう。復帰時すぐに現場に出るのは抵抗がある方にはおすすめです。
講習を受けてから復帰する
「以前はスタイリストで働いていたから、復帰時にアシスタントからやるのは抵抗がある。」という方や、「スタイリストとして復帰したいけど、技術に不安がある。」という方は、就職先選びの前に、外部の有料の講習会を受けることをおすすめします。
ブランクがある美容師さん向けの短期間の講習会やレッスンなどがありますから、そういったところで学びなおせば、感覚を思い出したり、最新の知識も身に着けられ、自信をもって就職活動に臨めますよね。
日本カットアカデミー
日本カットアカデミーでは、体系化されたカット理論を最短7日で学べる講座を東京、名古屋、大阪、福岡で定期的に開催しています。オンライン講座もあるので、通えない方でもOK。受講生の約30%の方がブランクがある方だそうですよ。
You Tubeなどで技術動画を見て勉強するのも◎
「講習会に行くのもちょっと迷うな…。」という方は、まずは自宅で練習をしてみるのも良いでしょう。最近ではYou Tubeに沢山の美容師向け技術動画がアップされていますから、それを参考にしてウィッグなどで試し切りをしてみて、その上で講習会へ行くかどうか決めてはいかがでしょうか。
当サイトでも美容師さん向けの技術解説ページがありますので、良ければそちらも参考にしてみて下さい。
カット専門店からリスタートする
復帰当初から、カットやカラー、セット、パーマ、縮毛矯正などのさまざまな技術を提供するのが不安な場合は、カット専門店からリスタートするという手もあります。
カット専門店に就職して、まずはカット技術を思い出し、カットに自信がついたら、通常の美容室に転職するというように段階を踏むのも良いかもしれませんね。
復帰時の美容室の選び方
美容師として復帰する時、職場選びを間違えたくないですよね?ここでは、復帰時の美容室のおすすめの選び方を解説します。
アシスタントなら、教育制度が整っていて、営業時間中に練習を見てくれる美容室を選ぶ
まず、あなたがアシスタントなら教育制度が整っていて、かつ営業時間中に練習を見てくれる美容室を再就職先に選ぶことをおすすめします。
営業時間中はアシスタント業務だけで、練習は営業時間後だけや、お店の定休日に練習だけという職場だと、復帰してからスタイリストデビューまでに1年~3年ほど時間を要してしまいます。
一方、営業時間中に練習できる美容室なら1日の練習時間が長いですから、あなたの技術によっては復帰後1、2カ月で、時間がかかっても1年以内にスタイリストデビューして、活躍することができるようになります。
また、応募要項に「教育制度が整っている」や「アカデミー併設」と記載があったり、「教育係在籍」と明記されているかチェックしましょう。
子育て中なら、時短勤務可能で同世代のスタッフがいるサロンを選ぶ
あなたが子育て中のママ、パパで、育児にしっかり時間を割く必要がある場合は、時短勤務可能で、かつ同世代のママやパパ美容師が働いている美容室を選ぶことをおすすめします。
時短勤務をしたいなら、パートかアルバイト、もしくは業務委託という働き方があります。パート・アルバイトなら時給で給料をもらう形式、業務委託なら個人事業主として報酬をもらう形式です。
売上や指名数を気にせず一定の給料をもらいたい場合はパートやアルバイトがおすすめ。時短勤務でも美容師としてやりがいをもって、しっかり稼ぎたい方には業務委託サロンがおすすめです。
サロン見学時には、その店に子育て中のスタッフがいるかを確認するといいでしょう。できれば同世代の子持ちがいたり、あなたのお子さんより学年が上の子持ちママやパパが働いていればなお良いですね。子育ての大変さや、子供が熱を出した場合、学校行事などのイレギュラー対応も理解して協力してくれるでしょう。
逆に、子持ちが1人もいない若手中心の美容室に勤めてしまうと、子育ての大変さを理解してもらえず働きづらくなってしまう可能性が高いので注意したいですね。
新規のお客様がたくさん来ているサロンを選ぶ
復帰しても、その美容室に新規のお客様が少ししか来なかったら、あなたは先輩スタイリストの手伝いがメインで、自分の指名のお客様を増やすことができず、稼ぎも悪くなってします。そうならないためにも、就職先を選ぶ際には、サロン見学時にお店の月間の新規来客数を聞いてみましょう。
もう一点注意してほしいのが、新規客が多くても総来客数にたいして新規客数が多すぎる場合です。新しいお店ではないのに新規来客数が非常に多く、総来客数に対して新規の割合が高い場合、その美容室はお客様が付きにくい、もしくは美容師が続々と辞めてしまっている可能性が高くなります。
入社後のギャップを減らすためにも、サロン見学時には遠慮せずに色々と質問をしましょう!
ヘッドスパや髪質改善サロン、アイラッシュなどへ就職するという手も
美容師の技術を学びなおすのはちょっと…という方は、ヘッドスパ専門店や髪質改善サロン、アイラッシュサロンへ就職するという選択肢もあります。
ドライヘッドスパは昨今人気で店舗も増えていますよね。数日の研修でスパニストとして活躍することが可能です。
髪質改善サロンなどの高級トリートメント専門店は、トリートメントのみのお店や、トリートメントとカットシャンプーのみでOKのお店が多いです。パーマやカラー、縮毛矯正などのメニューがないので、勉強項目は少なくて済みますね。
マツエクを行うアイリストは、美容師免許が必須なため、元美容師の女性に人気の職種です。必要な技術は美容師とは異なるので、一から練習が必要ですが、美容師ほど学ぶ項目はないため3~6カ月でデビューできます。
30代、40代、50代…何歳までなら美容師に復帰できる?
お店の方針にもよりますが、基本的には、美容師の仕事が好きで、身だしなみにも気を遣えている方なら何歳でも復帰できると思っています。
美容室のお客様は、50代の方も60代の方もたくさんいらっしゃいます。そういったお客様の中には「若い子よりも、同世代の美容師さんの方が落ち着く。」とおっしゃる方も多いです。美容師=若くないといけないということは全然ありません。
私が運営している美容室Anphiでは、ブランクを経て入店している方で一番年齢が高いのは50代の男性。30代後半まで美容師として勤めた後、他業種に転職し17年ほど美容師の仕事から離れていらっしゃったという経歴の方です。
シュッとしていておしゃれで素敵なおじさまという感じで、今ではスタイリストとしてご活躍されていますよ。
どのくらい稼げるようになる?実際の収入をチェック!
せっかく努力をして美容師に復帰しても稼ぎが想像より少なかったらがっかりしてしまいますよね。
ここでは、実際に美容師として復帰したらどのくらい稼げるようになるのか、現役美容師500人に聞いたアンケート結果を見てみましょう。
アンケート結果を見ると分かる通り、一番多いのは月収20~25万円で23.7%。続いて25~30万円。僅差で15~20万円です。
ブランク後、美容師に復帰した人の収入の実例
働き方別の給料を見てみましょう。実際に美容室Anphiで働いているブランクを経て美容師として活躍している人だけピックアップしました。
年代 | 性別 | ブランク期間 | 働き方 | 月収 |
---|---|---|---|---|
30代 | 女性 | 7年 | 週4日時短勤務 | 月収21万円 |
50代 | 男性 | 17年 | 週4日フルタイム勤務 | 月収23万円 |
17年のブランクがあった50代の男性は、現在だいたい週4日のフルタイム勤務で、月収23万円ほどです。
30代女性は、3人のお子さんがいるママさん美容師です。この方は、20代のアシスタント時代に結婚・出産されて家庭に入り、家事育児に専念されていましたが、お子さんたちが大きくなってから美容師に復帰されました。現在は、週4日の時短勤務で働かれて、月収21万円ほど稼がれています。インタビュー記事もありますので、よければご覧になってみて下さいね。
ブランクの不安を解消!Q&A
ブランクを持つ方がよくされる質問にお答えしていきます。
Q.技術に自信がありませんが、復帰できるでしょうか?
技術に自信がないことをお店に伝えて、アシスタントとして雇用してくれたり、入社前に無料で練習を見てくれるなどの対応をしてくれる美容室を再就職先に選ぶことをおすすめします。以前スタイリストとして働いていらっしゃったのなら、ブランクがあっても「実際にやってみたら意外と身体が覚えていた。」とおっしゃる方が多いですよ。
もしくは再就職前に有料の講習会に参加して、ご自身の腕を試してみるのも良いでしょう。練習した上で就活に臨めば、サロン側も「この人はやる気があるな!」と判断してくれ、よりスムーズに再就職できるでしょう。
Q.ブランク期間は何年までなら通用するでしょうか?
当社では7年ブランクの方も、17年ブランクの方もご活躍されています。もちろんブランクが短いに越したことはありませんが、あなたのやる気次第で、期間は関係ないと私は考えます。
Q.仕事と子育てを両立できるでしょうか?
お子様がまだ小学生以下の場合は、パート・アルバイト・業務委託などで時短勤務が可能な美容室に勤めることをおすすめします。
夕飯の支度の時間に帰ることができ、土日のどちらかは必ず休めるお店を選べば、両立は可能なはずです。ママ美容師さんでご活躍されている方はたくさんいらっしゃいます。
Q.復帰後はまたアシスタントから始めないといけないのでしょうか?
そんなことはありません。ブランクがある方でも最初からスタイリストとして雇用する美容室はいくらでもあります。もちろんお店にもよりますが、1~3年のブランク程度ならまず普通にスタイリストとして入社できるでしょう。
4年以上のブランクがある方でも、入社前に何回かモデル練習をしたり、テストをしたりして、問題なければスタイリストとして入社できるというケースが多いですね。
Q.体力的に体がついていけるか心配です
ブランク期間中、サービス業や立ち仕事をしていなかった場合は、復帰直後はお疲れになるだろうと思います。体力面がご不安な方は、いきなりフルタイム勤務ではなく、まずは週3日や、時短勤務などで身体を慣らしていくことをおすすめします。
今回は「ブランクがあっても美容師として不安なく復帰する方法とは?」についてお話しをしましたが、いかがでしたか?ブランク期間が長くなればなるほど、不安というのは大きくなるでしょう。ですがその不安は当然のことです。
美容師に未練があるのなら、ぜひ復帰できるかトライしてみてはいかがでしょうか?実際に手を動かしていけば、おのずと不安は解消されるはずです。みなさんの未来が明るいことを祈っています!