顔のたるみは”頭皮のコリ”が原因 !? 美容師ができるエイジングケア

更新日:2024/09/03
毛髪診断士由樹

「最近ほうれい線が目立ってきた…」「頬やフェイスラインが下がってきた…」こんな風に顔のたるみにお悩みの美容師さん、お客様はいらっしゃいませんか?

リフトアップのために顔マッサージ器を購入したり、スキンケア用品をエイジングケア用品に変えたりする方も多いのではないでしょうか。「色々やっているけどたるみが改善しない…」という方は”頭のこり”が原因かも!?

このページでは、顔のたるみと頭皮の関係や、たるみなどの悩みに対して美容師さんができることについて解説します。

この記事を書いた専門家

毛髪診断士講師&日本化粧品検定特級・由樹

公益社団法人日本毛髪科学協会の毛髪診断士®講師、日本コスメティック協会のスキンケアマイスター兼、日本化粧品検定特級コスメコンシェルジュを有する美髪・美肌研究家。日々、頭皮や毛髪、お肌について研究し、正しい情報を広める活動を行っている。

顔と頭皮はつながっている

頭にある大きな筋肉としては、「前頭筋」や「側頭筋」「後頭筋」、頭頂部を覆う「帽状腱膜」という筋膜などがあります。

そして、顔と頭は一枚の皮膚で繋がっているのはもちろんのこと、内部で筋肉と筋膜でつながっています。その為、頭の筋肉や筋膜が凝ると、顔の筋肉を引き上げる力が弱くなり、顔のたるみやシワなどを引き起こすのです。

つまり、顔をリフトアップしたければ、顔のケアだけでなく、頭の凝りのケアも必須

逆の言い方をすれば、「もう年だから…」と諦めていた顔のたるみやシワなども、頭皮の凝りをほぐすことで改善する可能性があるということ。

ぜひこの機会に顔のたるみと頭の筋肉の関係を理解して、美容師だからこそできるエイジングケアをお客様に提供して!

側頭筋が凝ると、頬のたるみやほうれい線に!

側頭筋は、こめかみから耳の上あたりを覆っている大きな筋肉。頬や顎の筋肉とつながっていて、頬や口元を引き上げる役目はもちろん、食べ物を咀嚼をする時に使われるパーツの一部でもあります。

側頭筋が凝って縮まると頬や口元を引き上げる力が失われ、頬がたるんだり、ほうれい線ができてしまいます。

側頭筋がこる主な原因は、目の使い過ぎ、奥歯の食いしばり、歯ぎしり癖、ストレスなど。特に、食いしばりや歯ぎしりの影響を受けやすい筋肉で、普段から奥歯に力を入れる癖がある人は凝りやすい部位と言えます。

後頭筋が凝ると、フェイスラインのたるみや二十顎に!

後頭筋は頭の後ろの下の方にある筋肉で、頭全体を後ろに引っ張り、リフトアップする役目があります。

後頭筋のさらに下側には、眼球の動きをサポートする4つの筋肉「後頭下筋群」があります。

後頭筋が凝ると、頭頂部やサイドから頭を引き上げる力が弱まります。すると額から目元、顔の側面から頬、あごまわりが全体的に下がってたるみ、顔が大きく見えたり、二十顎にもなりやすくなります。

デスクワークやスマホの見過ぎにより長時間うつむいた姿勢が続いたり、目を使い過ぎると後頭筋が凝ります。

猫背になりがちな人や、肩や首が凝りがちな方も、後頭筋肉が凝っている可能性大!

前頭筋が凝ると、まぶた・おでこのたるみに!

前頭筋はおでこから髪の生え際あたりまでを覆っている筋肉。目や眉、鼻の筋肉いわゆる”表情筋”と繋がっており、眉やまぶた、おでこを引き上げる役割を持ちます。

前頭筋が凝ると、眉や上まぶたが動きにくくなります。

さらに、前頭筋が衰えたり凝り固まったりしてしまうと、額の皮膚を引き上げておくことができずに、上まぶたがたるんで目にかぶさって、目が小さく見えたり、目尻のシワ、おでこのシワやたるみといった悩みに繋がってしまいます。

長時間のデスクワークやスマホの見過ぎで目を酷使したり、ストレスが多いと、前頭筋が緊張して凝りがちに。

また、上まぶたを額の筋肉で開ける癖も凝りの原因になります。

帽状腱膜が凝ると、あらゆる老け顔の原因に!?

帽状腱膜は頭頂部を覆う”筋膜”で、前頭筋、側頭筋、後頭筋3つの筋肉をつなぎ、頭全体を支える役割を担っています。

帽状腱膜が凝り固まったり、衰えると、繋がっているまわりの3つの筋肉も下がってしまいますつまり、おでこのシワ、まぶたのたるみ、目尻のシワ、ほうれい線の出現やフェイスラインのたるみなど、あらゆる老け顔のお悩みに繋がってしまうのです。

帽状腱膜は筋肉ではなく筋膜で、頭頂部には筋肉がないため、血流が滞りやすく、老廃物が溜まりやすい傾向があります。

帽状腱膜をマッサージして、ほぐすようにしてあげましょう。

頭皮マッサージで、頭皮の凝りと顔の老け見えを改善!

頭皮の凝りは、頭皮を動かしてあげる習慣をつけることが大切。

髪を洗う時のついででも良いので、毎日30秒でも頭皮を揉んでマッサージして頭皮の凝りを緩和し、ほうれい線やたるみなどの顔のエイジングケアサインの解消を目指しましょう!

ここでは、頭皮が凝っているお客様にお伝えしたい、セルフマッサージ方法を解説します。

前頭筋のほぐし方

  1. 手を軽く握りこぶしを作り、指の第2関節~第3関節の平たい面を生え際にあてる
  2. 食いしばらないように口を半開きにする
  3. 頭頂部からこめかみに向かって少しずつ移動しながら、小さく円を描くようにほぐす

前頭筋をほぐすことで、おでこの横シワの予防、上まぶたのリフトアップ、頭痛改善が期待できます。

帽状腱膜をほぐす

  1. 指を広げて、指の腹を頭頂部に置く
  2. 生え際から頭頂部に向かって、指の腹で頭皮を動かすように細かく動かしながらほぐす

前頭筋から額の動きが良くなり、まぶたを引き上げる筋肉の力が復活!また、頭頂部の血流がよくなることで、髪にハリコシが出たり、白髪・薄毛予防も期待できます。

側頭筋をほぐす

  1. 手を軽く握りこぶしを作り、目の横あたりの頭皮に当てる
  2. 円を描くようにして揉みほぐす
  3. 少し場所を変えながら、「凝っているな」「痛気持良いな」と感じるところを重点的にマッサージ
  4. 側頭筋に手のひらを押し当てる
  5. こめかみから耳のあたりを上へ持ち上げるように圧をかけながらマッサージ
  6. 手の位置を変えて何度か行う

口の中で上下の歯がくっつかないように気をつけて下さい。歯を噛みしめていると筋肉が緊張し、ほぐれにくくなります。

側頭筋をほぐすことで、小顔効果、たるみ、シワ予防、リフトアップ効果も。

後頭筋をほぐす

  1. こぶしの平らな面を後頭部にあてる
  2. 頭蓋骨を感じるくらい圧をかけて小刻みに動かしながら筋肉のこりをほぐす
  3. 位置を下に移動しながら頭のつけ根までまんべんなくほぐす
  4. 頭と首の境は凝りが強くなりやすい場所なので丁寧に

顔は正面を向きながら&猫背にならないように注意して!首と肩のこりもケアすれば、背中からの引き上げ効果がアップしますよ。

頭皮マッサージをやらない方がいいケースと注意点

頭皮マッサージで頭のコリを解消すると、顔のたるみやフェイスラインのもたつきなどの悩みの解決が期待できますが、間違ったマッサージは逆効果になることもあるので注意が必要!

どんな時に頭皮マッサージをやらない方がいいのか、マッサージ時にやってはいけない行為について解説します。

頭皮環境が悪い状態でのマッサージはNG

頭皮環境が悪い状態でマッサージをすると、かえってマッサージが刺激になってしまう可能性があります。

頭皮に赤みや湿疹があったり、フケが出るなどの頭皮トラブルがある場合、日焼けをした直後など、頭皮が敏感な状態の場合には、頭皮マッサージは控えるようにしましょう。

爪を立ててのマッサージはNG

爪を立てて頭皮をマッサージするのは、爪で頭皮を傷つけてしまうためNG。頭皮が傷つくと炎症が起こりやすくなり、髪のトラブルにつながりかねませんので絶対にやめましょう。

また、指の腹でマッサージするよう気をつけても、爪が長いとどうしても頭皮にあたってしまうため、爪は短く切ってからマッサージしましょう。

頭皮を強くたたく・髪を擦る行為はNG

頭皮をたたくようなマッサージ方法や、髪をゴシゴシこするようなマッサージは頭皮や髪に負担がかかるため要注意!

かえって頭皮がダメージ受けたり、枝毛や切れ毛などの髪のトラブルを増やす可能性が増えますので、髪を強くこすらず圧でマッサージをするようにしてください。

ただ、血行を良くしようと必要以上に力を入れてマッサージする行為も、頭皮や毛根に負担がかかります。

マッサージは「気持ち良い」「心地良い」と感じる程度が一番大切です。

頭皮マッサージで、美容室ならではのエイジングケアを!

頭皮マッサージは、頭の凝りを解消して顔のたるみをリフトアップする効果はもちろん、血行がよくなることで肌のくすみ予防にも繋がります。

さらに、頭皮環境がよくなることで髪の毛の立ち上がりが良くなり、髪がサラサラになるなどの効果も期待できます!まさに髪のプロである美容師こそができるエイジングケアと言えるでしょう。

お店でのヘッドスパメニューでのケアはもちろん、自宅でできる正しいマッサージ方法を伝授して、お客様の綺麗のお手伝いをしてあげて!